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俺も彼女も結婚不適合者  作者: 高壁護
第1章 1年1学期(4月~5月)
36/112

おやすみなさい

 空本(そらもと)さんと最後にメールをして、約一時間が経った。そろそろお風呂も沸いた頃なので、一旦湯船に浸かろうかと部屋を出る。

 リビングを見ると、(そら)がソファーで寝落ちしていた。

 タオルケットを掛けてから、風呂場に向かった。


 みんなのお待ちかね水本(みずもと)(つばさ)の入浴シーンだよ~。

 服を脱ぎ、すぐに湯船にチャポーン。

 シャワーを浴びて、シャンプーして、体洗って、

 入浴シーン終了。


 男の入浴シーンって、不必要なのでしょうか?


 リビングでは、空がまだ寝ていた。

 母さんが帰ってくるまでこのまま寝かしておいてもいいのだが、昨日のこともあるし、起こして風呂に入らせて、寝てもらおう。部活も朝早いみたいだし。


「空~、起きなさいよ~。空~、空~」

 空の名前を呼んでいるが、起きてくれない。

 一番楽なのは、パワープレイで叩き起こす方法。

 しかし、空に何かあったらいけないので、それは除外する。空は、スースーと寝息をたてている。

 何て可愛らしいのでしょうか! そんなことを思う兄として、写真を撮っておきたいと思うのは、間違いでしょうか?・・・多分間違いだな。

何か踏み外すしそうな思想を持って生きています。


 結局、タオルケットをぶん取って、起こす。

「おにぃ~ちゃ~ん。優しく~起こしてよ~」

 寝てる姿も起きた姿も可愛いんだよね。

「起きたところ悪いが、お風呂に入って寝なさい」

「お風呂?」

「そう、お風呂だ」

「お兄ちゃん入ったの?」

「さっき、十分前ぐらいに入った」

「ちぇっ」

それどういう意味ですか? お兄ちゃんのあとは、嫌すぎて入りたくないということですか!

お兄ちゃん泣いちゃいますよ。

「はい、さっさと入る」

無理にでも入れてあげるのがお兄ちゃんの役目だ。

「眠い~」

駄々をこねる妹は、まさしく天使である。

「お兄ちゃん、お風呂場にまで連れてって」

 そう言って、俺に抱っこを要求する。前もこんな経験したのだが、妹なら何とも思わない。

「はいはい、立てますか~?」

「立てませ~ん」

「よいしょっと」

 空を抱きかかえたまま風呂場に向かう。

「風呂場で寝ないようにな。俺はリビングでくつろいでおくから」

「一緒には入ってくれないの?」

「逆に聞く、どうして一緒に入るの?」

「たまには兄妹水入らず・・・ね?」

「湯船という『水』があるのに?」

「つまんない」

「悪かった。とりあえず早く入って寝ろ」

「はーい」

 俺は自分の部屋から携帯を持ち出し、リビングでくつろぐことにした。

 リビングで携帯を開けると、電話一件に、メール二件が来ていた。電話は、真由(まゆ)からで、メールは、空本さんと(うみ)お姉ちゃんからだった。

 まず、空本さんからのメールを開けると、

「明日、放課後、時間ありますか? もしもあったら、お願いしたいことがあります。詳しいことは、また学校で話させてください」

 すごい敬語のメール来た。

 空本さん、いつも俺の「さん」付けのこと言ってくるくせに、まぁ許すけど。

「分かった。また昼ごはんか部室で」

 簡素的にメールを返信して、次に、海お姉ちゃんからのメールを開ける。

「ゴールデンウィークのことなんだけど、翼君の家に、(まこと)と二人で月曜日に行こうかなと思ってるんだけど、予定大丈夫? もしもだめだったら、連絡お願いね」

 月曜日は、俺もまこっちゃんも学校は休みだ。

「それでお願いします。まこっちゃんにも後で連絡してもらったら助かります」

 返信して、携帯を置く。

「分かりました。真にも伝えておくね。月曜日が楽しみになってきた♪」

「それまでに、部屋は片付けておきます」

「頑張ってね♪」

 ここの音符がハートに変わったとき、俺は昇天するんだろうな。

 とりあえず、予定がだんだん決まりつつある。

村上(むらかみ)君とも遊ぶつもりなので、明日会ったときにでも予定を聞いて約束しておこう。

 問題は真由からの電話だな。

さっきは切ってしまったし、今回は結果的に無視している感じになったから、今から電話をして謝りたいんだけど、拗ねてたら電話にも出てくれないかもしれないし、でも、一応電話をしてみよう。

出てくれなかったら、今日は諦めよう。

 真由に電話をする。

「もしもし」

ちょっと不機嫌な声だったが、ワンコールで出た。

ワンコールで出るとか、どこの会社だよ。

「真由~、さっきはごめん。風呂入ってたから電話に出られなかったんだ」

「ううん。電話してくれてありがと。それで聞きたいことがあるんだけど……」

「何?」

「ゴールデンウィークに誰とどこで遊ぶのか正確に教えてほしいんだけど」

 途端に恐怖が襲いかかる電話だな。

「何で?」

「理由が必要?」

「必要だろうな」

「私もゴールデンウィークには翼とどこか行きたいから、予定とか聞いておきたくて」

「真由はいつが空いてるの?」

「ゴールデンウィークなら翼のために空けてるよ」

重っ。気持ちがなんか重たいよ。嬉しいけど……。

 まこっちゃんと海お姉ちゃんが来るのが月曜日。

村上君と遊ぶのがいつになるかで決まりそうだな。

「うーんと、それじゃあ、明日まで待ってて」

「うん。分かった・・・待ってる……」

 待ってるの言い方どうにかならねぇかな?

「そ、それじゃあな。また明日」

「ちょっと待ってよ。翼が誰と遊ぶか聞いて」

 同じ相手に二度、電話を途中で切ってしまった。


「ただいま~」

 玄関から母さんの声が聞こえてきた。

 母さんは、そのままリビングに来た。

「おかえり~。父さんはまだ帰ってきてないよ」

「あっ、そう。翼起きてたの?」

 今は、十時をちょっと過ぎたところ。

いつもは部屋でのんびりしていて、リビングにはいないので、母さんは寝ていると勘違いしてるのだ。

「あぁ、空と二人でリビングでくつろいでた」

「空は?」

「今、風呂に入ってる」

「分かったわ。晩ごはんある?」

「食べてきてないの?」

「一応、コンビニで弁当とか食べたんだけど、ちょっと小腹が空いてね」

「ご飯なら少し余ってるけど……おにぎりでも作ろうか?」

「それじゃお願い」

 俺は台所で余ったごはんをある程度温めてから、おにぎりを作り始めた。

 といっても、そんなに工夫することもないし、具材がないから、少し味気ないかもしれない。

 一応、最後に塩でも多めにかけておくか。

「はい。出来たよ」

「ありがとね」

 一応、働いてくれてるから、これぐらいのことはしておかないと……。

 母さんがおにぎりを食べていると、空が来た。

「お兄ちゃん、風呂から上がったよ~。お母さんおかえり~」

「ただいま、空」

「空、明日も早いんだろ、早く寝よっか」

「うん」

「それじゃあ、母さん、おやすみ」

「お母さん、おやすみ~」

「二人とも、おやすみ」


 俺たちは自分の部屋に戻っていった。


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