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俺も彼女も結婚不適合者  作者: 高壁護
第1章 1年1学期(4月~5月)
35/112

予定

 今年のゴールデンウィークは僕たち一年生にとっては、素晴らしいものになっていた。

 来週の水曜から二泊三日なのだが、その最終日である金曜は祝日になり、振替休日が月曜日に持ち越される。そして、火曜日から祝日三連休になり、実質六連休になる。

 二、三年は、普通に月曜日が授業なので、面倒になる。


 空本(そらもと)さんにメールを送っています。

「待ち合わせは、土曜日に駅前で昼の一時にしようかと思ってるんだけど、大丈夫ですか?」

 部活での約束の待ち合わせについてのメールを送っているのだが、ある程度時間を決めてからでないと、予定を組み立てられない。

 返信待機してると、真由(まゆ)から電話が来た。

「もしもし」

「もしもし、(つばさ)~、ゴールデンウィーク空いてるよね? 遊びに行こっ♪」

 俺が空いてる前提で話されてるのはさておいて、

「ゴールデンウィークは今、友達と約束したから、また空いてる日が分かったらメールするから」

「誰と?」

 ひぇー、怖い声が聞こえてきたよ。別にあやしいことなんかしてないのに、この電話は切りたい。

「べ、別に誰とでもいい、じゃないか」

「あやしい~。まさか、私以外の女の子と遊びに行くとか考えてないよね」

 ゴールデンウィークには遊ばないけど、言い当てられちゃった。探偵でも目指してるのか。

「べ、別に~」

「むぅ、誰よ、誰なのよ! 教え」

 ここで電話を切ってやった。

 早く予定を決めておきたい。

 また村上(むらかみ)君とも遊びたいし・・・。




「姉ちゃん、翼の家にいつ行きたい?」

「え、えーと、まだ決めてないけど……」

「一応、バイトとかの時間の関係があるから、なるべく早く決めておいてね」

「うん。考えとく」

「姉ちゃん・・・あれから翼とメールした?」

「してない……」

「本気で彼女になりたいんじゃないの!」

「だって、どんなことメールしたらいいか分からなかったんだもん」

「姉ちゃん、このままじゃ結婚どころか彼氏すら、一人も作れないよ」

「真が気にすることじゃないじゃん」

「いやいや、姉ちゃん独身で弟が先に結婚とか、笑えないから」

「真だって、結婚できるとは限らないよ」

「人の心配より、自分の心配をしなさい」

「うぅ、その言葉そっくりそのまま返してやる」

「早くメールを送りなさい」

「何、送ったらいいの?」

 姉ちゃんは、半分泣き顔だった。

「大丈夫、翼はよほどのことじゃない限り怒ったりしないはずだから。普通のこと送ればいいんだよ」

「普通、普通」

 姉ちゃんが、携帯と向き合う。ただ、全然手が進まない。はぁとため息をついて、姉ちゃんに喝を入れる。

「他の女の子に奪われるよ、このままじゃ……」

 姉ちゃんが目を見開いていた。そんな驚くことじゃないことだ。

「ど、どういう意味?」

「翼に聞いた話なんだけど、変な部活に入らされたらしいんだけど、多分女子と二人きりらしい」

 今の現状を伝えないといけない。

「それに、翼には確か同級生の幼馴染がいたはずだよ。何回かしか会ったことはないけど、確か姉ちゃんほどじゃないが、かなり可愛かったと思う」

 姉ちゃんには少し厳しい現実を伝える。

「ただでさえ、姉ちゃんと翼は、会う回数が少ないのに、メールもしなかったら終わりだよ!」

「翼君が他の女の子と……」

 このままでは、諦めてしまいそうな勢いだな。でも、姉ちゃんが頑張ればまだまだ可能性がある。


「分かった。お姉ちゃん頑張るからサポートしてね」


 意外な答えが返ってきた。

 姉ちゃんは、何かあったら諦めがちになる傾向があるが、今回は違ったようだ。

 余程、翼のことが好きで諦めたくないらしい。

 姉ちゃんをここまでにした、翼ってかなりすごい奴だったんだな。

 そして、姉ちゃんの手が動き出す。




「うーん。翼が浮気しそうだ~」

 電話を突然切られた私は、翼が心配になった。

他の女の子と遊びに・・・デートの可能性がある。特にゴールデンウィークはカップルにとって、天国なのだから必然的にデートになってしまう。

 まだ彼女にすらなれてない私は、嫉妬をする。

 ふと、机の上の写真を見る。

 翼と写った修学旅行の時の写真がそこにある。

 写真販売のときに、同じのを二枚買っておいた。一つは飾るためで、もう一つは保存するため。

 そして、翼が単体で写っているのも買った。

 写真とキスすることもしばしば。

 私ほど翼のことを好きな女の子はいないと自負できるほど、私は翼のことが大好きだ。

 彼氏がいたことは、消したい過去になっていた。

 もう一度、翼に電話したくなった。

 でも、一時間後ぐらいにしよう。絶対に嫌われたくないからね。




風花(ふうか)、晩ごはんよ。いつものところでね」

 メールをしていた私は、お母さんに呼ばれていた。いつものところというのは、普段の晩ごはんで使うリビングである。別のところの場合、お母さんと一緒に、そこまで付いていく。

 リビングにいくと、お父さんが既に待っていた。

「お父さん、おかえりなさい」

「あぁ、ただいま、風花」

 威厳のある父の声がリビングに響き渡る。

 晩ごはんが出されて、お母さんとお父さんと私の三人で、食卓を囲んでいる。

「あの、お父さん」

「これは、珍しいな。風花から話をするなんて」

「今度の土曜日、男の子の友達と買い物に行くのですが、いいでしょうか?」

 普段は休日は家にしかいない私からは、想像できないようなことだったのかもしれない。

「風花が遊びに行くか……許可なんかいらない。友達と買い物に行くことは大切なことだ。行ってきなさい」

「ありがとうございます」

「そんな礼を言う必要はない・・・ただ、少しその男の子の友達とやらに会ってみたいと思っている」

「確かにそうね、風花が男の子と仲良くするなんてね」

「確か今週の土曜日と言ったね、それまでにここに連れてきてはくれないか。これでも、風花のことは心配しているもので、変な男だったら、反対しないといけないからな。大事な娘を守るためだ」

「分かりました。明日予定が無いか聞いてきます」

「では、今週はできるだけ早く帰るとしようか」

 水本(みずもと)君に相談しないといけなくなった。

 また、このことをメールして、返信を待とう。



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