表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺も彼女も結婚不適合者  作者: 高壁護
第0章 中学~高校入学直前
3/112

入学説明会(中編)

 時刻は九時四十五分。

 親と一緒に来ている子たちが多かったようだ。

 みんなが体育館に入っていくので、その流れに乗って、俺も体育館に行くことにした。


 体育館では、たくさんのパイプ椅子が並べられていて、半分ぐらい埋まっていた。


(真ん中の端っことかに座ろうかな......)


 人見知りとかぼっちは、なるべく人がいないような所を自ら探し出さなければならない。これは常識である。


 結局、真ん中の端っこに空席があったので、そこに座り、携帯をサイレントマナーにした。

 少しだけ目を閉じる。休み時間に何もやることがないときに寝ている人は大体友達が少ないというか・・・いない。これも常識である。


 それから、五分が過ぎた頃、目を開き周りを見渡せば、体育館の椅子がほぼ全部埋まっていた。


「えー、これより常清(じょうせい)高校の入学説明会を始めます」


 教頭先生らしき人がマイクを持って喋っていた。


「まず始めに、校長より始まりの挨拶をしていただきます」


 校長先生が壇上に上がった。見た目は五十代後半で、髪はけっこうあった。


(校長先生の話って、長いのかな......まぁ、椅子があるから、そんなに問題は無いけど......)


 地べたで体育座りしてたら、確実に三十分で限界が来てただろうな。腰に異常な痛みが来るから、ばれないようにあぐらをかくけど、周りがみんな体育座りしているから、罪悪感しかない。

 結局、すぐ体育座りに戻してしまう。そして腰が痛くなったら、あぐら、二分後、体育座り。このループが地獄だったと俺は思う。


「えー、皆さん。常清高校入学おめでとうございます。みなさんは、春から高校生です。勉強や部活に(いそ)しんでもらいたいと思っております。高校のパンフレットには様々な・・・



 ーーーー十五分後ーーーー


「・・・ということで、これから三年間、この高校で、精一杯、悔いの無いような、学生生活を送ってください。以上をあいさつとさせていただきます」


 校長先生が礼をすると、ちらほら拍手が出たが、すぐに止んだ。


「続きまして、生徒会長よりあいさつがあります」


(生徒会長もあるのかよ......)


 俺は絶望を感じた。


 こういう絶望は、学生生活で頻繁に起こる。

 例えば、校長先生の話終了からの表彰状の引き渡し。ここまでは、想定の範囲内。

 他に先生方何か連絡ありませんか?→生活指導の知らない先生の話。

 これが絶望。腰の限界を越える。どこからか流れるため息。ちょくちょく聞こえる舌打ち。

 この自分たちを期待させて落としていくやり方。俺は凄く嫌いである。


 壇上には生徒会長らしき人すでに立っていた。

 第一印象としては、可愛いというより美人という感じだった。高嶺の花という言葉が似合いそうだ。


「みなさん、おはようございます。生徒会長の東島佐奈(ひがししまさな)です。御入学おめでとうございます。こういう風にみなさんと会えて、大変嬉しく思います」


 ーーーー十分後ーーーー


「これから三年間、頑張ってください。生徒会長の挨拶でした。ありがとうございました」


 恐らくこの場の男子のほとんどは、生徒会長に惚れているかもしれない。

 何故なら、壇上から降りると、校長先生とは比べものにならないほどの拍手が起きていたからだ。

 校長先生が可哀想に感じた。頑張って、校長。


「それでは、これからの予定をお伝えします」


 教頭先生も頑張れ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ