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俺も彼女も結婚不適合者  作者: 高壁護
第1章 1年1学期(4月~5月)
29/112

早朝は辛いよ

 今日は、きたる日曜日。

 先週も土日は埋まっていたのだが、中学校のときには滅多にないことだ。とうとう俺もリア充とやらになれたのか?

 ただ、今日は目覚めが少し悪い。

 理由は、俺の目の前にいる友達のせいだった。


(つばさ)~、起きてください! 朝ですよ~」

 その言葉を耳にしたのは、時計を見ると、朝の五時過ぎだったのである。嫌がらせにも程があるな。

「俺は、眠いから寝ます」

「朝ごはん作るから、リビングに来てね」

「人の話を少し聞いてください」

「頑張って作るから」

「意識は高いのは認めるから」

「ふふーん」

 鼻唄を歌いながら、真由が部屋から出ていった。

 こんな朝早いのに、いったいどうしたんだろう?

 そんなことを考えることもできないほど、頭が回らない上に、とてつもなく眠気が襲ってくる。

 ふぁぁと欠伸(あくび)をしてしまう。

 とりあえず、リビングまでとぼとぼ歩いていく。

「やっと来たぁ」

台所は完全貸切状態に陥っていた。母さんはどこ?

「ねぇ、真由(まゆ)、今日何かあった?」

「何で、そんなこと聞くの?」

「朝ごはん作ってるから」

 まっとうなご意見だと思いますが。

「だって、こういうの恋愛漫画とかの定番だから」

「ごめん、恋愛漫画とかそんな読まないから」

 ただし、ラノベのラブコメは、結構読むけどね。

 ハーレムものだったら、好きな女子キャラが出来やすいので、すごい好きになる。

「翼も恋愛漫画読んだ方がいいよ」

「また、空から借りるかも」

「私が、貸してあげようか?」

「いや、空から借りるわ」

 朝から何の話をしているのか、時事経済の話とかしないと、時代に置いてかれるよ。

「むぅ」

 何か()ねちゃった。可愛いけど。

「ところで、朝ごはん何作ってるの?」

話の切り替えをしました。幼馴染の料理下手って、結構、ラノベの定番だからな。

 あと、幼馴染があまり勝てな・・・これは、言わないでおこう。

「完成までのお楽しみ♪」

完成まで待ち遠しいな♪ それより早く言ってください。朝五時起きで、こっちは寝起きなんですよ。

 そういえば、真由は何時に起きたのかな?

 というか、どうやって家に入ってきたのかな?

 怖い、怖いよ。

この謎は、じっちゃんの名にかけて解決かな。

「翼は、朝から女の子にごはん作ってもらえて嬉しい?」

「そりゃあ、嬉しいに決まってるだろ」

「そうなの? 良かったー」

 どんな男も、朝起こされたら嬉しい(妹でも可)。

 朝五時でなければ良かったけど(七時がベスト)。

「もうすぐで出来るから待ってね」

「うん」

今にも寝てしまいそうだ。天使が俺を連れていく。

「完成!」

 真由が皿に、作ったのを乗せていく。

テーブルに真由の分と俺の分を持ってくる。

 目の前に出されたのは、スクランブルエッグという朝の定番の食事が出てきた。

「「いただきます」」

「翼、先に食べて」

 毒味とかじゃないよな? 俺は、一口食べた。

「どう?」

「うん。美味しいよ」

「本当に?」

「うん。かなり美味しいよ」

「毎日作ってあげようか?」

「朝五時起きじゃなければ考える」

「考えてはくれてるんだぁ」

 何だか、夫婦のようになってきてる。

「ごちそうさま」

「はーい」

 皿を流しの所に置いて、部屋に戻る。

 朝が早すぎて眠くなったので、再び布団に入る。昼まで寝てから、待ち合わせ場所に向かおう。

 しかし、簡単にはいかないものだ。

「翼、一緒に寝てもいい?」

「家帰って寝た方がいいんじゃないの?」

「翼と一緒がいいの!」

女の子にこんなこと言われたら、始まっちゃうよ。

「・・・分かりました」

「やった♪」

 結局、一緒に寝ることになったのだが、彼女の服装を改めて見ると、結構際どいような感じがする。

 太ももがあらわになっている。

 真由がそーっと布団に入ってくる。

「翼と一緒の布団で寝るのって久しぶりだね」

「そうだったかな?」

 あんまり思い出したくない記憶が(よみがえ)る。

「一緒に寝たじゃん、幼稚園のとき……今、思い出したらドキドキしちゃうけどね」

「・・・」

「思い出してるよね。お昼寝タイムのとき」


 あれは、幼稚園のとき。

 みんなが布団を出してきて、昼寝をするだけの時間があった。それが、お昼寝タイムである。

 真由はいつも俺の隣を陣取っているのだが、いつも手を握りながら寝ていることがある。

 そんなある日、真由が俺の布団にこっそり入ってきた。そのときは、布団のなかに潜り、何も考えずに真由をぎゅーっと抱きしめて寝た。

 先生にバレないようにしていることがすごい良かった。

 真由と布団のなかでイチャイチャして、それから真由が自分の布団に帰っていった。

 そんな日が何日か続いていた。

 そして、真由が俺の布団に入りはじめてから、数日後。

 いつも通り、真由が布団に入ってくると、俺は抱きしめた。それからしばらくすると、真由の顔が俺の目の前に近づく。

 そして、チューをされた。

※チューとは、相手を異性として認識し始める前の期間のキスのことである。ちなみに、俺のファーストチューは、妹の(そら)と、三歳のときにした。


「翼君とチューしちゃった」

 布団のなかで、真由が耳もとで言ってきた。

「もう一回したいな」

「いいよ♪」

 そのときの真由は大人のような雰囲気だった。

 そして、毎日毎日布団に入ってきては、チューをするというのが、日課になり始めた。

 多分、数えられないぐらいしたと思う。

 ただ、幼稚園を卒園してからは一度もチューもキスもしていない。これが思い出でした。


「翼、こっち向いて」

「昼には起きるから」

「どこかに行くの?」

「友達の家」

「今日は遊んでくれないんだ」

「予定入ってるから」

人生のなかでこの台詞、あと何回言うのだろうか?

「分かった。今日は諦める……」

その言葉を聞いて、俺は眠りについてしまった。


 何故か暑く感じる。目を覚ますと、布団のなかにいた。

 真由には手を握りながら、こっちを向いていた。

 すると、真由も目を覚ました。

「さて、起きようか」

「ねぇ、久しぶりにチューしない?」

 どんな申し出なんだよ。

 そして、チューじゃなくてキスだし。

※キスとは、相手を異性として認識し始めてからする口づけのことである。ちなみに、俺にはまだその経験はない。


「しないよ」

「私のファーストキス奪ったのに」

「ファーストキスじゃなくて、ファーストチューだろ」

「じゃあ、チューしてよ。もう奪われたからされてもいいもん」

「今からは、キスになるからしません」

「キスしたくないの?」

 さすがに、この勢いではしたくない。

「キスしてもいいよね?」

「ダメだから」

 真由の目が本気になり始めている。

 これは、なかなか危険な状態である。

「分かった。いつか翼からしてもらうから」

 自分で納得したからいいとしよう。

「今何時だっけ?」

 布団から出て、携帯を確認する。

 十二時。

 まだ少しだけ時間はある。準備しよう。

「真由はそろそろ家に帰っといた方がいいよ」

「うん」

 真由は、落ち込んでいるというか、ふてくされているというか機嫌が良くない。


 真由が部屋から出ていくと、服を着替えた。


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