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俺も彼女も結婚不適合者  作者: 高壁護
第1章 1年1学期(4月~5月)
28/112

姉弟は頑張ります

 (そら)とのお出かけが終わって、買ってきたラノベを読む。しかし、あまり頭に入ってこない。

 読むのをやめ、少し眠ることにした。

 明日、まこっちゃんの家に行くのか、新しい家だから、どうなっているのか分からない。

 そういえば、まこっちゃんのお姉ちゃん、元気かな? よく一緒に遊んでたし、バレンタインでチョコくれたし、お別れの時、一緒に泣いていたから会いたいな。

 少し思い出に浸っていた。

 お姉ちゃんは確か三つ上だったので、今、大学生のはずなんだけど、バイトしてたら会えないかも。

 晩ごはんまで少し寝よう。



「ねぇ、本当に(つばさ)君来るんだよね」

「来るって言ってんじゃん。楽しみなの?」

「そりゃ、た、楽しみだよ」

「まぁ、俺も楽しみだからな」

(まこと)にとっては、唯一の親友だもんね♪」

「姉ちゃんにとっては、初恋の人だもんね♪」

「うぅ。そうだけど……」



 姉ちゃんが翼のことを好きだなと感じたのは、姉ちゃんが中二ぐらいのときだった。

 いつも、一緒に遊んでいた姉ちゃんが突然、遊ばなくなり、俺たちを物陰からこっそり覗いていた。

 部屋のリビングでゲームをしていて、俺たちに近づいてきてはいても、俺にしか話さず、翼とは話さなかった。バレンタインには、こっそり翼に渡していた。

その次の日に、姉ちゃんから貰ったと報告が来た。

 そのときに、確信した。

 姉ちゃんは翼が好きなんだと。翼は多分、平均的な小学五年生だった。なのに、何でだろう?

 不思議に思った。姉ちゃんは何で、同級生に興味なかったんだろう? 色々気になった。

 思いきって姉ちゃんに聞いてみた。

「お姉ちゃんは、翼のこと好きなんだよね?」

 直球の質問にした。回りくどいよりいい。

「えっ、えっ、どど、どうして、えっ?」

 めちゃくちゃ動揺していた。

「男の子として好きなんだよね?」

 もっと直球にした。

「う、うん……」

「じゃあ、翼のどこが好きになったの?」

「えっ?」

「だって気になるじゃん」

「か、関係ないでしょ!」

「一応、翼は親友だし、関係はあるよ」

「・・・」

 別に嫉妬心とかはなかった。翼だもん。

 姉ちゃんと結婚とかしたら楽しそうだもん。

 当時はそんなことを思っていた。

 もちろん、今も嫉妬心はないよ。

むしろ翼と久しぶりに会って、姉ちゃんと早く結婚しろとか思ってる。

 姉ちゃんと幸せに暮らしてくれ。

「好きになっちゃったんだもん」

「えっ?」

「好きになっちゃったんだもん!」

 え~。もっと理由あるのかと思った。

「翼君、優しいもん。守ってくれたもん。だから、好きになっちゃったんだもん」

「守ってくれた?」

「うん。守ってくれた」

「どういう話?」

「私が中一のときに、学校から帰る途中の道で、上級生の女子に囲まれたの。そのときに、翼君がお姉ちゃんって言いながらやって来て、帰ろうよとか言って、私をつれて帰ろうとしたの」

「それで?」

「その上級生の子が私たちはお姉ちゃんに用があるの、お子ちゃまは早く家に帰りなさいとか言ってきたの。そのときに、翼君がお子ちゃまじゃないって言って、私の腕を掴んで全力で逃げたの」

「そいつ、本当に小学四年生か」

「顔見れば、翼君だったもん。間違いないよ。それで、お姉ちゃんは僕が守るって言ってくれて」

「翼、かっこいいな」

「その瞬間、胸がドキドキしたの」

「翼がそんなことしてたとは」

「本当だよ」

「いや、嘘だとは絶対思わないよ」

「それから、意識するようになっちゃって」

「告白とかしないの?」

「出来ないよ。そんなこと」

「まぁ、頑張って」

「うん。頑張る♪」

 こうして、姉ちゃんの初恋を知った。



「翼君、今どんな男の子になってるかな?」

姉ちゃんは、控えめに言っても可愛い女性である。

 ただ、人見知りが激しいから、なかなか友達ができない。もちろん、恋人なんかできたことがない。

 早くいい人と巡り会って欲しいのだが、このままでは、一生巡り会わない可能性もある。

 そのため、俺は翼と姉ちゃんが付き合って結婚してくれたら、とても嬉しい。

 そういう意味では、シスコンかもしれない。

 でも、翼は「結婚不適合者」だった。

言わないといけないかもしれない。言った方がいいはずである。それでも、姉ちゃんは多分、そんなこと関係なく好きだと思う。

 そういう俺も「結婚不適合者」だったな。

 女性恐怖症みたいな感じで、親しい女性以外は受け付けなくなってしまった。

 ただ、治せる気がしない。翼に相談しよう。

「バイトどうするの?」

 一応、聞いてみることにした。

「明日は夜に行くことにしてる」

「よかったね」

さて、姉ちゃんと翼が上手くいくようにしないと。

「真はどうして、そんなに応援するの?」

何て答えようかな? シスコンだからとかかな?

それとも、姉ちゃんが大事だからとか?

「翼と姉ちゃんに結婚してほしいからかな」

一番の理由かも。

姉ちゃんは翼と絶対上手くいくと思うし、夫婦になれば、幸せな雰囲気がすでに見えてる。

「け、け、け、結婚?」

「うん」

「そんなに急な話しなくても」

「姉ちゃんには翼が一番の相手だと思うよ」

「そう・・・かな?」

「自信もって!」

「うん! 頑張る」

「最低でも、メールアドレスの交換はしないとね」

「それは、少しハードルが高いよー」

これで、ハードルが高いとなると、何が低いのか?

 とにもかくにも、絶対交換してもらう。

 何事も積み重ねていくことが大切なのだ。


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