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俺も彼女も結婚不適合者  作者: 高壁護
第1章 1年1学期(4月~5月)
26/112

妹は大切に

 今日の授業の復習を終えて、風呂に入る。

 一日の疲れをほとんど回収する魔法の場所。

 早くても三十分。遅ければ一時間半も浸かる。なので、俺は毎回一番最後に入ることになってしまった。入る前にかけ湯をして、一気に全身を入れる。

「ふぅー。やっぱり最高だな」

 まずは、一回潜る。風呂に入るときの決まり事。

 頭の中が空っぽの状態になる。眠たくなる。

「はぁ、しんどかった。明日から二連休だー」

 叫びたくなる。

空本(そらもと)さんって可愛いな」

 普通に言ってしまう。恥ずかしくもない。

 この一週間は、忙しく進んでいったな。委員長には初めからなるつもりだったが、部活には入るつもりはなかった。

 そういえば、村上(むらかみ)君は卓球部に入ったのかな?

 また、メールで聞いてみよう。

 真由(まゆ)と最近話してないな。電話しようかな。

 風呂に入ると、頭は空っぽなのに、ずっと考えてしまう。

「あっつー」

湯船から上がり、頭と体を気が済むまで洗う。

 洗い終われば、もう一度湯船に浸かり、至福の時を味わう。何分経っているのかも分からない。

 頭がボーっとしてきたので上がろう。

バスタオルで体中を拭き、パジャマに着替える。

体がぽかぽかしていて、早く寝たいと思う。


 部屋に入り、少しだけ小説(ライトノベル)を読み始める。

 ガチャ。

「お兄ちゃん、一緒に寝てもいい?」

「いいけど」

 妹の(そら)が、パジャマ姿で部屋に入ってくる。

「お兄ちゃんと寝るの久しぶりだね」

「そうだな」

 俺が、自分の部屋をもらうまで、空と一緒に寝ていたのだが、部屋をもらってから、最初は一緒に寝ていたが、母さんに注意されてから、月に一回程度になってしまった。

「お兄ちゃん、受験だったから今年は始めてだね」

「あのときはありがとな」

 空と最後に一緒に寝たのは、去年の大晦日の前の日だった。

「ううん。お兄ちゃんが大事だから」

 空が立派に成長したのが嬉しすぎる。

「お兄ちゃん、布団入るね」

「はいはい、どうぞ。電気消すよー」

「はーい」

 今でも一緒の布団で寝ているのは、あるときに、空がベッドで、俺が床に布団を敷いて寝ていた。

 朝起きると、空と向かい合って寝ていた。

 そのときに、空に言われたのは、

「お兄ちゃんのそばで寝たかったから」

 それから、一緒の布団に戻った。

 空がベッドから落ちないように、向かい合わせに寝る。

「お兄ちゃん、少し甘えるね」

 そう言い、空の顔が俺の胸にうずまっていく。

「久しぶりなんだもん。甘えてもいいよね?」

「いいけど、苦しくないか?」

「ぜーんぜん」

 頭をなでなでしてやる。

「お兄ちゃん、もっとー」

 こんな楽しいことはない。可愛いな。

「お兄ちゃん、好きな人とかいるの?」

 恋愛トークが始まった。

「今は、いないかな」

「真由さんのこと、今、好きじゃないってこと?」

「振られたからな。でもまた、好きになるかも」

「ふぅーん」

「何か疑ってる?」

「別にー」

 今どき妹と一緒に寝るって珍しいのかな?

「さて、寝よっか」

「もう寝るの? もっと話したいー」

「明日部活あるんじゃないのか?」

「明日は休みだよ」

 本当に、空は何の部活やったるんだろうか?

「明日、出掛けない?」

「別にいいよ。どこに行く?」

「うーん。お兄ちゃんが決めて」

決めてと言われたら、何も浮かばない。どうしよ?

「本屋巡りでもするか?」

中三のときの土日の過ごし方を提案してみた。もちろんチャリで行っていたが。今回は歩きだろう。

「それって楽しい?」

 楽しくなければ、数ヶ月もやってない。

「好きな漫画あったら、買ってやるぞ」

「行く」

 またしても、土日が予定で埋まってしまった。

「今度こそ寝るぞ」

「うん……分かった」

 そんなに、話したかったのか? 明日は楽しませよう。

 俺たちは、眠りについた。

 空を抱きしめて寝るのがとても気持ちいい。



 俺は、目覚めてしまった。夜中に。

 空は、寝息をたててスヤスヤ寝ている。

 空の寝顔を見ることはあまりない。基本的に俺が先に寝てしまうか、同時に寝るからだ。

 可愛い。可愛すぎる。美少女なんだな、俺の妹。

 空が彼氏とか作ったら、泣いちゃうかも。

 シスコンなのかな? 嫌、これは一般的な兄である。

 空が俺をギュッと抱きしめていたので、身動きが上手くとれない。トイレに行きたいな・・・。

 我慢すればいいか。早く寝よう。

 しかし、尿意とは一度意識すれば、なかなかたちが悪いものである。

「はぁ、トイレ行きたい」

 空を起こそうかな? でも、絶対迷惑だしな。

 この状態が続けば、ある意味危険である。

 仕方ない。空を起こそう。

「空、空、起きてください」

 寝起きドッキリみたいな感じになっている。

「うー」

 うなり声が聞こえてくる。

「起きてください」

 空をゆさゆさと動かしたが、なかなか起きない。

「むぅ」

 ちょっとイライラしてるのかな?

「何~?」

「ちょっとだけ離してくれるかな? トイレ行くから」

「じゃあ、私も行く」

「分かった。じゃあ、ちょっと離して」

「やだ」

「この状態で行くの?」

「うん」

 空に抱きしめられていたので、俺も抱きしめた。

 トイレまでこの状態で、歩いていった。

「空、先トイレ行っていいよ」

「ありがとう」

俺は、トイレで待っていた。早く出ないかな?

 五分後。

 女子のトイレって何分かかるのかな?

変態的な疑問が出てきた。

 十分後。

 電気を消してみた。反応がない。

これは、完全に寝てるな。どうしよう。

 そろそろ限界だな。風呂場でしようかな?

一応、空に呼びかける。

「空~、起きろー」

中から何も聞こえない。もう風呂に入るため、服は脱ごうとしていた。

 朝シャンプーだと思えばいい。

 俺は、風呂に入った。シャワーを出す。

 ジャー。この間に放尿。

出しきって、俺はシャンプーをした。

一応体も洗うことにした。潔癖症とかじゃない。

 風呂から出ても、一向にトイレは開かない。

「空を起こさないと」

 一応責任みたいなものを感じてはいた。

 ドンドンドン。

 何度もドアを叩く。

「うーん」

 起きたようだ。電気をつけないと。

「あっ、お兄ちゃんごめん。寝ちゃった」

 ドジっ子だな、空は。

 ドアが開く。


「キャーーーー」


 ドアが閉まる。

「お兄ちゃん、何で裸なの?」

「えっ?」

 俺は、自分を見た。全裸だった。

 風呂上がりであることを忘れていた。

「ごめんなさい」


 トイレの前で土下座をしました。


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