部活二日目
今日は、弁当を作ってもらえていた。
弁当をカバンに入れ、家を出る。
「おはよっ♪ 翼」
「おはよ」
「私以外の女の子と仲良くしちゃダメだよ」
「できるだけ頑張る。真由もだぞ」
「何が?」
「そ、その……俺以外とあんまり仲良くしない」
「うん♪ 分かった♪」
俺と真由は、別々の方向に向かって自転車で走っていく。
今日から本格的に授業が始まる。
一時限は、化学で、原子表を少し覚えないといけない。水素、ヘリウムから始まり、カルシウムの辺りまで。大学入試のためにしか覚えない。
次の時間は、現代文だ。女の先生だった。
今回は、テストが返ってくる。
村上君とは、数学で僅差だったから、なんとか勝ちたい。
結果は、俺が「81点」。村上君が「62点」。
勝ちました。残すは、英語のみ。
ただ、部分点とか、全然もらえなかったり、漢字の書き取りも、三問も間違えてたりと、勉強してなかったら、とんでもない点数になったいた。
次の時間は、現代社会であったが、授業の進め方やノートの取り方などを、五十分間フルで喋って終わった。おばちゃん先生に感心するわ。
次は、英語の時間だ。
テストが、返ってくる上、これで最後なので、合計点も分かってしまう。ちなみに四十代ぐらいのおじさんの先生でした。
「それじゃあ、テスト返すぞ」
テストを順番に返される。
普通に緊張する。俺の順番だ。
「よく出来ていたぞ」
先生からの一声が、スゲー嬉しい。
結果は「93点」。合計点は269点になった。
出来れば、あと一点欲しかった。平均90点になってたからなぁ。ちょっと、悔しい。
テストを見直して、先生がミスしてないかどうか確認をする。
全然ミスしてねぇじゃねーか。真面目か!。
この点数で、学内の順位はどうなるのだろうか?
三百人中で、十番以内に入りたい。
「水本くんどうだった?」
「93点だったけど。村上君は?」
「僕は、76点だったよ」
「そっか、それじゃあ、昼ごはん食べよーぜ」
「そうだね」
村上君の机を使って、一緒に弁当を食べる。
五時限は、体育館で、四月の下旬に行われる校外活動の説明会があった。
校外学習とは、二泊三日で、山の宿舎に泊まり、色々な活動をしていくというものである。
一応、スケジュールのプリントをもらったが、あとで、しおりは、クラス委員で作るらしい。
それから、先生から説明を聞くことになった。
六時限は、クラスで校外活動の班分けをすることになったが、名前の順番で分けることになった。
俺と村上君と水谷君の男子三人と、藤本さんと松井さんと松村さんの女子三人で、班になった。
班長は、クラス委員という理由で、俺になった。
女子からよろしくねと言われた。
頑張りますぐらいしか言うことがない。
そして、バスの座席を決めないといけないので、みんなが席に戻っていく。
「委員長と副委員長は、前の席に座ってね」
先生から、そう言われ、バスの座席表の一番前の席に名前を書かれてしまった。空本さんと隣同士で。
女子と隣同士は、あまり好きじゃない。
村上君とならいいんだけどね。
バスの座席は、大体明るいやつが後ろにいき、暗いやつが前の方になり、そこで本を読む。
六時限が終わり、ホームルームが始まる。
明日、朝一番に持ってきます宣言があったが、今日は何かが起こることもなく、終わりそうだ。
あぁ、部活か……。面倒くさい。
部室に行く前に、職員室で鍵を取りに行く。
鍵をもって、あの部室まで早歩きでいく。
もし、空本さんが待っていたら悪いので。
部室の前に到着したが、まだ来ていなかった。
開けると、昨日の状態だったので、一応、相談室のように模様替えをした。
簡単に言うと、面接する部屋みたいにした。
俺と空本さんが面接官側で、相談する人が面接を受ける人という感じにした。
「勉強でもするか・・・」
俺は、椅子に座り、机に勉強道具を置き、音楽プレイヤーでアニソンを聞きながら勉強を始める。
アニソン聞いていると、集中力とテンションが高まるので、高校入試までの間、今までもほとんどそんな感じで、勉強していた。
まずは、化学から勉強しよう。
それから、時間が結構経った気がした。
イヤホンを外して、少し休憩する。
「ふぅー、勉強ってしんどいな」
「あのー?」
「えっ? あっ、空本さんいたの?」
「水本くんひどいよ。ずっと隣にいたのに……」
「ごめん、集中して気付かなかった」
入ってきたことは、おろか隣にいても気付かないとか、俺って集中力メチャクチャあるな。
「部屋の模様替えしてくれたの?」
「うん。したけど」
「ありがとう。部活、一緒に頑張ろうね」
「相談者なんて、ほとんど来ないと思うよ」
「えっ? 何で?」
「知らないやつに、自分の恋愛の相談なんかしたくないもん。それに、この部室は目立ちにくい場所だから、なかなか来ないよ」
「じゃあ、どうしたらいいの?」
「この部室で、勉強すればいいと思う」
「それは、ダメだよ」
「そういえば、空本さんテストどうだった?」
「えっ・・・えーと、英語が91点で、国語が90点だったよ」
えーと、確か数学が92点だったから、合計点は負けてる。悔しい。メチャクチャ悔しい。
「水本くんは?」
「中間試験で、空本さんにリベンジする」
目標を宣言して、俺は、アニソンを聞く。
「今日の部活終了です」
先生が入ってきたらしいが、俺は気付かなかった。
空本さんに、イヤホンを外され、
「先生来たよ」
「分かった」
「鍵閉めよろしく、お疲れ」
あの人、本当に顧問なのだろうか?
「水本くん」
「空本さん、どうしたの?」
「明日は、ちゃんとお話しようね」
「うん。そうですね」
何か、空本さんと俺、は噛み合わないような気がする。仲良くなるには、時間がかかりそう。
「後、『さん』付けやめてね」
「ごめんなさい」
「それじゃあ、帰ろっか」
職員室で、先生に鍵を渡して帰る。




