幼馴染の嫉妬?
俺は、家に帰り、自分の部屋の電気をつけた。
「ん?」
ベッドの布団が、膨らんでいた。
布団から、黒い足が出ている。
「人が寝てる」
俺は、恐る恐る、布団を開く。
そこで寝てたのは、真由だった。
あまりにぐっすり寝ているので、起こさないように、電気を消して、部屋を出た。
リビングに向かい、母さんと出会った。
「真由が部屋で寝てるんだけど」
「あぁ、今日ね、確か四時頃に、真由ちゃんが来たの。まだ、翼は帰ってないよって言ったら、部屋で待ってるって」
「母さん、今日仕事昼までだったの?」
「そうだよ」
「じゃあ、真由の分の晩ごはん作ってるの?」
「もちろん作ってるわよ」
「じゃあ、真由を呼んでくる」
「空もついでに呼んできて」
「分かったー」
まず、妹の空を呼ぶ。
「空、晩ごはんだから、リビングに来いよ」
「はーい」
多分、これで大丈夫。
俺は、自分の部屋に入り、電気をつける。
布団を顔までめくる。
「真由、起きてください」
敬語なのは、小学生のとき、起きろって言ったら、超不機嫌になったからである。
「んー、んっ」
今度は、ほっぺをチョンチョンする。
あまり、強く叩かないようにするのがいいらしい。
「うーん?」
どうやら起きたらしい。
「つ、つ、翼!」
「おはようございます。真由さん」
「えっ、おはよう? あれ?」
「晩ごはんできたから、リビングに来て」
「う、うん」
俺は、そう言い残し、部屋を出ようとすると、
「翼~、歩けないー、おんぶしてー」
真由が手をブラブラさせて、待っている。
真由のところに向かう。
「分かった。歩けないのか」
「うん♪ え、え? ちょっと、翼ー!」
俺は、真由を抱っこした。
真由の体を受け止めている。真由の胸が当たる。
思ったより軽いな。真由が少し暴れる。
「下ろせー!」
「分かった。下ろす」
だいぶ調子に乗ってしまった。
顔を真っ赤にした真由を下ろす。
「ごめん、真由」
「うぅ、翼のばかばかばか」
泣きそうになっていた。後で、謝ろう。
「歩いて、リビングに行けるか?」
「・・・抱っこ」
「えっ?」
「抱っこが・・・いい」
二回目は恥ずかしい。一回目は、ドッキリみたいなものだったので、遊び半分でやっていたから、今度は、絶対意識してしまう。
「分かった」
俺は、真由を再び持ち上げ、抱っこする。
真由は、さっきよりしがみついている。
真由と触れ合ってる部分に神経が集中する。
真由のハァハァという吐息が、エロく感じる。
俺たちは、一体何をしているんだろう?
もはや、友達とかいうレベルじゃない。
彼氏と彼女じゃねーか。
遡ること三時間前。
学校から帰ってきたので、翼の家に、お邪魔する。
翼は、帰宅部だから、早くて四時、遅くても五時には、帰ってるはずなので、部屋で待ち伏せする。
しかし、待っていても帰ってきてくれない。
五時になっても、帰ってこない。
翼がどっかで、事故に遭ったんじゃないかと不安になってしまう。一応メールをしておく。
翼の部屋を見渡す。ベッドがある。
バレないよね。翼のお母さんがいるけど、怒ることは無いだろう。
気が付くと、布団の中に入っていた。
翼の匂いを堪能する。前は、一瞬だったけど、今は、帰ってくるまでの間ずっと。
私変態なのかな? でも、好きな人の匂いを嗅ぐのは、多分いいことだと思う。
最近、私は、翼への愛情が日に日に増していると思う。早く、翼の彼女になりたい。
そう願い、私は、布団のなかで寝てしまった。
起きると、翼が目の前にいた。
翼の部屋のベッドで、寝てしまった。
「晩ごはんできたから、リビングに来て」
なんだかそっけない。私が来てるのに、相手にしてくれない。
少し嫌な気分だ。
だから、私は翼に甘えたくて、ワガママを言った。
「翼~、歩けないー、おんぶしてー」
おんぶしてもらいたかった。
翼がやって来た。やった、おんぶしてくれる♪
そう思っていたら、突然抱っこされた。
まさかの展開に、思わず、
「下ろせー!」
と言ってしまった。せっかくのチャンスなのに。
そして、翼に下ろされた。
「歩いて、リビングに行けるか?」
チャンスが舞い戻ってきた。
恥ずかしいけど、言うしかない。そう思い、
「・・・抱っこ」
言っちゃったー。
「抱っこが・・・いい」
そう言うと、翼が持ち上げてくれた。
翼の顔が、真横にある。すぐにキスできる距離。
恥ずかしさと嬉しさが混じって、息が荒れちゃう。
「ハァハァ」
私もだけど、翼も顔が真っ赤だった。
私たち、まだ付き合ってないけど、結婚生活は上手くいきそうだ。
俺たちは、リビングにやって来て、晩ごはんを一緒に食べた。
部屋に戻ると、真由も当たり前のように部屋に入ってくる。
「翼が今日帰ってくるの遅かった理由は何?」
尋問が始まった。
「放課後に先生に呼ばれたからです」
「だとしたら、帰ってくる時間が遅すぎるよ」
「そんなことはない」
「嘘ついちゃだめ。本当のこと言って」
真由が、詰め寄ってくる。顔が近い。
「・・・部活に強制入部させられた」
「どういう部活なの?」
「よく分からないんだよ」
本当によく分からない。『恋愛相談部』って何?
「他の部員はいるの?」
「俺と同じクラスの女子と、二人きりらしい」
「女子と二人きりで、部活……」
「それが、帰るのが遅くなった理由です」
空本さんのことは、あまり話さないでおこう。
「つまり、私以外の女の子とイチャイチャしてたんだ」
「イチャイチャなんかしてない」
「どうせ、私なんか思い浮かばなかったんでしょ」
「うん」
「否定してよー」
「あっ、でも、真由の話はしたよ」
「ふーん。どんな話?」
「真由が、俺を振った話、彼氏を作った話、家で喧嘩した話」
「私の悪い話しかしなかったんだー。ひどいよ」
「んで、結局、友達の関係に戻った話をした」
「・・・」
「そしたら、その女子が、真由が俺を騙してるって言ったのは覚えてる」
すると、真由が無表情になった。
「それ、信じてないよね?」
「何が?」
「私が翼を騙しているってこと。信じてないよね?」
「真由がそんなことするとは信じたくない」
「つまり、少し可能性があるって言ってるよね?」
やっぱり、少しは疑ってしまう。
「翼のためなら、何でもするから、二度とそんなことは思わないで!」
真由が本気で、怒っている。
「ごめんなさい。真由を信じます」
「信じてなかった翼にはお仕置きだね」
「えっ」
「ベッドに寝てください」
「いやいや、お互い高校生だし、そういうのは」
「お・し・お・き」
「はい……」
俺は、仰向けで、ベッドに寝る。
真由が、馬乗りになって、俺に乗る。
真由の手が、俺の服の中に入ってくる。
そして、俺は、くすぐられる。
「こちょこちょこちょ」
「・・・」
「こちょこちょこちょ」
「・・・」
「こちょこちょ・・・何で効かないの?」
「真由のくすぐりはもう効かない。残念だったな」
勝ち誇ってる俺だが、結構我慢した。
「お仕置きにならないじゃない!」
「諦めなさい」
「こうなったら・・・」
真由の顔が近づいてくる。そして、
「あぁ、真由、耳舐めないで。くすぐったいよ」
耳を舐められました。
「翼は、耳弱いんだー。情報ゲット♪」
そして、真由は、耳に舌を入れたりしてきた。
さすがに、それはダメだと思い、
「もうやめて」
と言って、
俺は、何とか真由をひっくり返そうとした。
真由を強く抱きしめ、ひっくり返す。
その時に、偶然、真由のお尻を触ってしまった。
「ヒャンッ! ふふ、もう、エッチだね」
今度は、俺が真由を馬乗りしていた。
端から見たら、俺が真由を襲ってるようにしか見えない。
「翼の中の狼さんに、食べられちゃう」
そう言い、真由は、目をつぶった。
この流れは、キスの流れだ。
ここでしなきゃ、男としてどうなのだろうか?
真由を全身眺める。
スカートがはだけて、下着が見えてしまってる。
色はピンクで、いかにも女の子っぽいものだ。
これは、興奮してしまう。俺でなくても。
俺は、決心して、真由に
「いたたたたっ」
ほっぺをつねってあげた。
俺と真由は、ベッドから起き上がる。
「キスしてほしかったなぁ」
「俺も一瞬しようと思った」
「何でしてくれないの?」
「恋人同士じゃないから」
やっぱり、恋人になってから、キスしたい。
「明日も学校かぁ」
俺は、話をはぐらかす。
「部活もあるしな、早く寝よーと。真由も帰った方がいいよ」
「部活の女の子と仲良くしちゃダメだからね」
「実は、その女の子と入学説明会で会ったことあったから、すごい運命感じるなぁ」
「絶対、絶対ダメだからね」
真由が嫉妬してくれてるのかな?
俺は、なんて幸せ者なんだろうか。
「俺、モテ期来ちゃったのかな?」
バカみたいなことを言ってみる。
「うぅ、やだ」
「冗談だよ。その子、お嬢様だったから、俺なんか眼中にないと思うよ」
「でも、その子に告白されたらどうするの?」
「うーん・・・」
「断ってよ。翼の隣は、私のものなんだから」
「告白されたらOKするかも」
「私が告白したら?」
「もうこんな時間だ。早く帰りなさい」
「質問にはちゃんと答えて!」
「お風呂入ってきまーす」
「もぅ、翼・・・女の子はそんな単純じゃないよ」




