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俺も彼女も結婚不適合者  作者: 高壁護
第1章 1年1学期(4月~5月)
15/112

仲を深めて

 私は昨日、(つばさ)に、彼氏と別れたことを報告した。

 だが、それは何らかの誤解を招いた。

 翼から言われた言葉。

「だから、女って信用できないんだよな」

 私は、どうすればいいのか分からなくなった。

 この先、こういう関係を続けていけば、きっと、失った信用を取り戻せると思ってた。

 でも、この報告は、逆効果になった。

 翼には、今、私はどう映ってるのかな?

 私はベッドに寝転び、泣きたくなった。

 でも、決めたことは変えない。

 翼の彼女になって、結婚することだ。

 これだけは、絶対に変わらない。

 諦めない。絶対に・・・。



 真由(まゆ)との買い物が土曜日で、村上(むらかみ)君と、遊びに行くのが日曜日である。

 今は土曜日の夜。

 買い物から帰ったとき、真由からの報告で、彼氏と別れたということを聞いた。

 実際、それは、俺が聞きたかった事であった。

 何故かと言うと、彼氏がいるのに、俺と買い物に行こうと誘ってきたから。

 もしかしたら、彼氏と別れたのかもと思った。

 実際、別れた事が少なからず嬉しかった。

 嬉しかったのに、俺は何か嫌だった。



 携帯電話が鳴る。

 真由からだった。

「もしもし」

「翼? 少し話してもいい?」

「うん」

「ありがとう。今日さ、彼氏と別れたって言ったじゃん」

「うん」

「翼はそのあと、『女って信用できない』って言ったよね。何を考えてたの?」

 真由は、あの言葉を気にしている。

だから、俺の思ったことをすべて言うことにした。

「だって、真由は、その彼氏とたった半年で、別れたんだよな」

「うん」

「その理由が、『他に好きな人ができたから』だったよな」

「うん」

「男から見たら、そんな女性、信用できないんだよ」

「・・・」

「そんな女性と付き合ったら、捨てられるとか思っちゃうんだよ。それに俺は、好きになった女の子は真由だけだし、その真由が、そんな女性だったから、女って言うのがちょっと信用できなかった。だから、真由には、そんな女性にはなって欲しくない」

「うん」

「わがまま言ってごめん」

「わがままじゃないよ」

「ありがとう」

「じゃあ、翼は一途な女性が好きなんだね」

「あぁ」

「じゃあ、翼のために、私、一途になるね」

「うん。そうして欲しい」

「じゃあ、もうひとつだけ聞いていい?」

「彼氏と別れたのを聞いたとき、嬉しかった?」

「ちょっと・・・嬉しかった」

「つまり、まだ私に可能性があるってこと?」

 今日、買い物に行ったが、俺は、真由のことがまだ好きだったと思う。

 好きになることはないって、言っておきながら、未練みたいなものがある。

 真由といることが、俺にとって、幸福なことだ。

「うん。あるよ」

 俺はそう言った。

「本当に? 本当に可能性があるの?」

「うん」

「やったー♪」

「それじゃあ、電話切るぞ」

「うん♪ またね♪」

 俺は電話を切った。

 可能性があるのかと聞かれて、あると言った。

 本当のことだった。

 真由から告白されたら、よろしくお願いしますって言いそうだ。

 でも、真由が、俺と付き合って、突然、他に好きな人ができたから別れてって言われたら、俺は死ぬと思う。

 だって、俺が真由を幸せにできなかったということになる。

 真由が原因じゃなくて、自分にも原因があるんだとか考えないといけないのか。

 それが、付き合うということなのかな?

 俺は、真由にメールをした。

「女の子が他に好きな男ができたときは、その彼氏はもっと努力すれば、その女の子は振り向いてくれるかな?」

 真由に恋愛のことを聞いてみた。



 私は、翼に電話した。

どうして「女って信用できない」って言ったのか、理由が知りたかったからだ。

 翼が言うには、私みたいに付き合ってすぐに別れる女が嫌だったり、付き合ってるのに、他の男を好きになったりするのが、信用できないらしい。

 私は、理由が聞けて良かった。

 それに、翼がどういう女性が好みなのかも分かった。可能性もあるって言われたので、嬉しかった。

 電話して良かった。

 すると、翼からメールがきた。

 内容を見た。私は、もっと嬉しくなった。

 私は、返信する。

「振り向いてくれるよ。きっと」



 翼、大好きだよ。

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