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俺も彼女も結婚不適合者  作者: 高壁護
第1章 1年1学期(4月~5月)
14/112

女子と買い物≒デート (後編)

 昼ごはんを食べた俺たちは、ショッピングモールに向かった。

 行く途中、真由(まゆ)は、服が欲しいといったので、洋服の店に行くことになったが、別に隠す必要は、無かったのではないかと思ったが、女子の考えることだ。何か理由があったんだろう。

 休日とはいえ、ショッピングモールの中は、かなり混んでいた。

 俺たちは、また手を繋いで行くことにした。

 一度、免疫がついたので、さっきよりかは、恥ずかしさはなかった。真由は、少し赤かったけど。

 テレビとかで、女の子との服の買い物は面倒くさいと言われているので、少し気分は乗らなかった。

「どっちがいい?」という質問が、特に怖い。

 あれの正解って、何なのだろうか?

 こういうのを論文とかで、発表すれば、多分、その人は将来、偉人になると思う。


 洋服屋に到着した。踏み入れなければならない。

 入ってみると、オシャレな雰囲気で、客のほとんどが女性で、男性からしたら、居づらいに越したことはない。

 俺は、真由に付いていくしかできない。

 真由は、楽しそうに服を選んでいた。

 服を手に取っては戻し、手に取っては戻しの繰り返しだった。

 暇だなぁ。これは暇だなぁ。

 世の中の結婚もしくは、彼女がいる人を尊敬できるレベルになっている。

 みんなこれを経験していると考えると、すごいと思う。

「ねぇ、(つばさ)は、女子の服は、どんなのがいいの?」

「えーと・・・」

 ミニスカートに黒のニーハイなら、全部エロいと思っている俺には、難しすぎる質問である。

「俺は・・・優しい感じの色が好きだな」

 結局、色で答えてしまった。

 この答えは、捉え方によっては、水色なら何でもありといっているのと同義だ。

「じゃあ、こういう白のスカートとかがいいの?」

 真由が取り出したのは、膝丈ぐらいの白のスカートで、裾の部分が少し透けているものだった。

「そういうのが俺は、好きだな」

「ふぅーん」

 真由は、企んだような顔をした。

 もしかして、俺、なんか悪いことしたかな?

「それじゃあ、これ試着してくるね♪」

「分かった」

「あと、試着室の前で待っててね」

 真由はそう言い、試着室に向かった。

 俺も後を付いていく形で、試着室に向かった。

 俺は、試着室の前で待っていた。

 しかし、待っていても、真由は出てこなかった。

 すると、真由が顔だけ出して、

「何でもいいから、上の服持ってきて。来てきたのワンピースだったから、今、スカートにカーディガンしかないの」

 つまり、真由の緊急事態である。

 とりあえず、赤色のシャツを選んだ。

 中を見ないように、後ろ向きで渡した。

 真由から、ありがとうと言われ、安心する。

 でも、あのとき、真由はスカートに上は、下着だったのかとか思うと・・・。

 想像する俺は、どうしようもない変態だな。

「翼、出るよ」

 そう言って、試着室から出てきた真由は、

「どう? 似合う?」

「結構似合ってると思うよ」

 めちゃくちゃ可愛かった。

「ありがとう♪ それじゃあ、これにしよっかな」

「それでいいの? シャツとか他にあ」

「これがいい。その・・・翼が・・・選んでくれたから・・・」

 そう言って、試着室に戻っていった。

 真由が、シャツとスカートをもって、試着室から出てきてので、俺は、

「お金は、俺が出すから」

「えっ、大丈夫だよ。私が出すから」

「俺が出す」

「私が出す」

「俺が」

「私が」

 どっちも引かないこの戦い。

 すると、真由が、

「それじゃあ、割り勘にしない?」

「・・・そうだな」

 妥協案として、割り勘になった。

「じゃあ、レジに行こうか」

 そして、俺たちは、レジに向かった。

 財布を先に取り出しておく。

 レジに行って、お会計をする。

「二点で、一万二千円になります」

 俺は、サッと一万円札を二枚出した。

「えーと、六千円ずつだね」

 真由は、その時に財布を出していた。

「二万円からお預かりします」

「えっ」

「八千円のお返しとレシートと、こちら商品です。ありがとうございました」

「ちょっと、翼?」

 俺は、紙袋を受け取り、店を出た。


 店を出て、真由が、

「・・・ありがとう」

 完全に出し抜かれたので、少し怒っていた。

「もっと喜びなさい。そして、感謝しろ」

 冗談混じりに俺は、そう言ってやった。

「あっ、そうだ、六千円」

「いらない、いらない」

「でも・・・」

「こういうときは、男がおごった方がいいの」

「今度は、私が先に出してやる」

「張り合うな」

「でも、翼からのプレゼントって思えばいいかな」

「そう、そう」

「ありがとう、翼。また、お礼はするから」

「期待しておく」

 目的の買い物が終わったので、ショッピングモールを出ようとしたが、

「翼は、何か欲しいものないの?」

「これといって、特にないかな」

「じゃあ、もう帰るの?」

 そんな上目遣いで、見ないでください。

「本屋に、寄りたいかな」

「本屋? んじゃ、行こっか。レッツゴー」


 俺たちは、本屋を探すことになった。

 ショッピングモールなんて、滅多に来ないから、場所が分からない。それプラス、混んでいるので、思うように進めない。

 探すこと二十分。

 やっと本屋が、見つかり、中に入る。

 俺は、小説(ライトノベル)のコーナーに向かう。

 何か新しいものでも、買おうかな。

 三巻まで出ているやつの一巻を読む。

 面白そうだったから、買うことにした。

 三冊まとめて取り、漫画のコーナーに向かった。

新刊は、出ていなかったので、そこをあとにして、 大体見回ったので、真由を探すことにした。

 真由は、ファッション誌のコーナーにいた。

「真由は、買うものあった?」

「うーん、特になかった」

「それじゃあ、会計してくるから待ってて」

 俺は、レジに向かった。

 振り返ったが、真由は来ていなかった。

 さっきの仕返しにくるかもしれなかったから、警戒していたが、問題はないようだ。

「三点で、千八百七十八円です。ブックカバーは、お付けになりますか?」

「いや、大丈夫です」

 ブックカバーは、付けない派だ。

「二千円お預かりします。百二十二円のお返しとレシートです。ありがとうございました」


 会計が終わり、真由の元に急ぐ。

「ただいま」

「うん。それじゃあ、帰ろっか」

「そうだな」

 すると、真由が手を差しのべた。

「さっき、手繋いでくれなかった・・・」

「あぁ、ごめん、ごめん」

 俺たちは、三度(みたび)、手を繋ぐことになった。

 買い物のはずだったのに。

 これじゃあ、ただのデートじゃん。

 俺は、本当に「結婚不適合者」なのか?


 無事に家まで帰ってきた。

 やっと、真由の手を放すことができる。

 別に、嫌だったというわけじゃないんだからね。

「それじゃあ、また」

 家の門に入ろうとしたとき、

「部屋に入ってもいい?」

 真由から、突然の誘惑がきた。

「別にいいけど、何か話したいことがあるの?」

 彼女は、少しだけ頷く。

「じゃあ、上がっていいよ」

「ありがとう」

 そして、玄関に上がり、俺の部屋に連れていく。

 中学生のときに、部屋をもらったので、真由が俺の部屋に入るのは、多分はじめて。

「お邪魔しまーす」

 真由と俺は、部屋に入った。

「結構、綺麗にしてるんだね」

「うん」

「ベッドに座ればいいの?」

 俺の部屋は勉強机はあるが、テーブルがない。

 なので、真由にはベッドに座ってもらった。

「お茶、持ってくるね」

「うん。お願い」

 俺は、部屋を出て、お茶を取りにいった。



 ここが翼の部屋かー。

 思ってよりきれいな部屋で驚いちゃった。

 今、翼は、お茶を取りに行って、部屋にいない。

 私は、翼の寝ているベッドの上。

 ベッドの下を一応見ておく。

 特にヤラしいものはなかった。

 布団をめくってみた。特になにもなし。

 布団を一瞬だけ被ってみた。一瞬だけ。

 すぐに布団から出て、落ち着く。

 今日は、翼に彼氏と別れたことを伝えたい。

 翼が部屋に戻ってきた。

 翼が、勉強机の椅子に座った。

「それで、話したいことって何?」

「あの、えーと、その・・・」

「言いたくないようなこと?」

「ううん。ちゃんと言う」

 一呼吸して、少し時間をおく。

「あのね、私・・・彼氏と別れたの」

 言えた。はぁ、良かった。

 私の報告に、翼は、

「そう・・・なんだ」

 と、それだけしか言わなかった。



 お茶を取りにリビングにいった。

 真由から何を言われるのか、すごく気になった。

 前も何か話があるとか言われて、家に上げたら、ひどいことになった。

 あまり、深く考えないようにした。

 お茶を取って、部屋に戻った。

 真由にお茶を渡し、椅子に座った。

「それで、話したいことって何?」

 俺は、真由に聞いた。

「あの、えーと、その・・・」

 言いたくなさそうな顔だった。

「言いたくないようなこと?」

 俺は、一応聞いてみた。

「ううん。ちゃんと言う」

 何か大事なことなんだろう。俺は待った。

「あのね、私・・・彼氏と別れたの」

 それを聞いたとき、少なからず嬉しい気持ちが込み上げた。それと、同時にモヤモヤ感というのも出た。複雑な気持ちになってしまった。

「そう・・・なんだ」

 それしか、言えなかった。

「だから、私は今フリーなの」

 それを言って、俺に何をして欲しいのか分からない。

「付き合ってた期間は何ヵ月ぐらい?」

「えーと、半年ぐらいかな」

 つまり、真由は、半年で、付き合ってた男を捨てるってことなんじゃないだろうか。

「何で、別れたの?」

「えーと、その人より好きな人ができたから」

 つまり、真由は、半年で、付き合ってた男より好きな人を作ってしまうのか。女子の気持ちは移ろいやすいとはこういうことか。

「話したいことって、それ?」

「うん」

「だから、女って信用できないんだよな」

「えっ」

 俺は、何も言わない。これ以上言うと、真由を傷つけると思う。だから、言わない。

 でも、俺は「結婚不適合者」になった理由が少し分かったかもしれない。

 普通の人だったら、スルーできるところで俺は、立ち止まる。気にする。考えてしまう。

 その結果、人を疑い、信用しなくなる。

 何か裏があるのかもしれないとかそんなことばかり考えて、相手の気持ちを理解しようとしない。

 どこまでも、自己中心的で、嫌になる。

「ごめん」

 真由が謝ってきた。

「俺の方こそ、ごめん・・・」

 俺も謝る。

 少しの沈黙のあと。

「それじゃあ、私・・・帰るね」

「分かった」

「今日は、ありがとね」

 真由は、俺の部屋を出る。

 俺は、玄関まで見送る。

 遊びに行ったことは、楽しかったのに、後味だけが悪い。

 やっぱり、俺は「結婚不適合者」だ。

 俺は、深くため息をつき、部屋に戻った。


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