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俺も彼女も結婚不適合者  作者: 高壁護
第1章 1年1学期(4月~5月)
11/112

お誘いは週末に

 入学式が終わり、家に向かっていた。

 家に着き、入ろうとすると、

(つばさ)も、今帰ってきたの?」

後ろから、突然言われたので、バッと振り返ると、真由(まゆ)だった。

 制服姿の真由は、たいそう可愛いものでした。

「ま・・・柳井(やない)さんも入学式ですか?」

「柳井さんって呼ばないで!」

「分かった。『さん』付けにしないようにする」

「そういうことじゃないの!」

 真由は、頬を膨らましていた。やっぱり可愛い。

 どうしても、「真由」と呼んでしまいそうになるのは、何とか直したいものだ。

「それで、どうしたの?」

 俺がそう言うと、

「あぁ、えーと、この後暇かな? よかったら、買い物とか行かない?」

 真由が俺を誘ってきた。だから、俺は、

「あー、ごめん。明日、課題テストがあって、夜に勉強するために、今から寝るから暇じゃない」

 丁重にその誘いを断った。

「それって、暇じゃん! いいから、遊びに行こーよー」

「課題テストは、俺にとっては、大切なんだ」

「課題テストなんか、成績に入んないじゃん」

「と、とにかく、俺は寝たいから寝る。それじゃ、さよなら。またどこかで」

「あー、逃げないでー」

 真由に、別れを告げ、俺は家のなかに逃げた。


 自分の部屋に入って、携帯を見ると、メールが来ていた。

 相手は、真由だった。

 内容は、「明日も、翼は午前で、学校終わるんでしょ。その後、遊びに行かない?」と、書かれていた。

 俺は、「明日は、試験勉強からの疲れで、遊びたくないし、家で寝るつもりだから、行けないです」

 そう返信した。そして、春休みの課題を見直す。



「はぁ・・・」

 家について、私は、ため息をついてしまった。

春休みに、翼に会いにいって、謝ろうとしたら、怒られて、危うく絶交されそうになったけど、何とか「友達」という関係からやり直せることになった。

 翼に告白されたあの日。

 私は、「幼馴染」という関係を壊したくなかったために、告白を断ってしまった。その上、私は、翼とは別の男の子と付き合ってしまった。ただ、Hなことやキスなんかはしていない。

 デートに月に一回か二回行ったぐらいだ。

 翼とケンカした翌日に、私はその彼と、別れた。

 翼にはそれをまだ伝えていない。

 なるべく早く伝えたい。


 それでも、卒業式に、翼がそれを見ていたことを知ったときが一番辛かった。

 翼に隠していたし、それの罪悪感もある。

 私はひどい女だと思う。翼にひどいことをした。

 もう一度やり直せるなら、告白の日に戻って、付き合いたい。そうすれば、ずっと一緒に過ごせたしだろうし、買い物デートにも行けたし、もっと言えば、一緒の高校に行けたかもしれないのに・・・。

 あの日から、あの時から・・・。

(私の方が、ずっと前から好きだったのに......)

 そんなことを思い、私は翼からのメールを読む。

 デートは、断られてしまった。

 私は決心する。

 もう二度と迷わない。

 他の男なんかどうでもいい。

 翼にだけ愛されたい。翼じゃなきゃ嫌だ。

 これからは、翼を絶対振り向かせる。

 そのためだったら、何でもする。

 幸い、明日が終われば、週末なので、その日ならと思い、私はまたメールをする。



 真由からまたメールが来た。

「明後日の土曜日なら、いいでしょ? 欲しいものがあるから、翼と一緒に行きたいな♪」

 真由から三度目の誘いが来た。

 さすがに、ここまでされたら、断るわけにはいかない。

 俺は、「了解」と、漢字二文字で返信した。

(そういえば、真由って、彼氏いたよな。俺と遊んでていいのかな?)

 俺はメールで聞こうかと思ったが、何か嫌な気分がしたため、携帯を閉じ、カバンに閉まった。



 私は今、すごく嬉しい。

 翼と買い物デートに行ける。やったー♪

 しかも、翼と二人きりで行くのは、初めて。

(土曜日までに、欲しいもの探さないと......)

 私は思わず、ベッドにダイブした。

 今が、人生で一番嬉しい瞬間なんだもん。

「翼・・・大好きだよ」

 私は、そう呟いて、全身の力を抜けた。

 土曜日に、翼に彼氏と別れたこと言おうかな。



 俺は、課題の答えを全て覚えようとした。

 数学は解き方と、答えを覚えて、テストに出たとき、どうしても解き方を忘れたら、覚えた答えを埋める。

 国語と英語は、答えだけ覚える。

 このようなやり方は、高校のテストのためには、うってつけだが、その先の入試とかになると、通用しなくなる。

「さて、一回寝るか」

 帰ってきて、約三時間ずっと答えを覚えていた。

 一回寝て、脳をリフレッシュしないといけない。

 現在四時過ぎ。

 二時間程度、ベッドで俺は、寝ることにした。


 目覚めると、六時半。

 ある程度、予定通りに起きることができた。

 リビングで、晩ごはんを食べ、風呂に入った。

 八時過ぎに、自分の部屋に戻り、再び答えを覚える。

 携帯を見ると、村上(むらかみ)君からメールが来ていた。

 メールが来ていたのは、五時頃だった。

「日曜日に、どこか遊びにいきませんか?」

 敬語で誘われた。村上君は、気遣いとかもちゃんとできる人なんだろうな。

「ごめんなさい。寝てました。日曜日は、特に予定ないから大丈夫だよ」

 俺は、返信して、少しばかり待っていた。

 約十五分後。

 メールが来た。

「それじゃあ、詳しいことはまた明日学校で」

 多分、村上君は、このメールで大丈夫だろうかとか考え過ぎて、この文だけで、十五分もかかってしまったのだろう。

 分からなくもない。

 相手と知り合ってそんなに日が経ってないので、相手がどう思うか考えてしまう。

 そう思うと、俺と真由は、結構仲良しなんだな。

「じゃあ、また明日」

 俺は、そう返信して、勉強を続けた。

 久しぶりに、土日の予定が埋まった。


 約三時間勉強して、俺は、ベッドで眠りにつくことにした。

 だが、昼寝をした分、ちょっと眠りにつけない。

 気分転換で、ラノベを読むことにした。

 ラノベは、普通の小説に比べると、読みやすいから、ずっと読める。結果二時間が経ってしまった。

「寝よっと」

 まだ少し寒さがあるため、布団に潜り込む。

 気が付くと、俺はスヤスヤと、寝ていた。



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