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俺も彼女も結婚不適合者  作者: 高壁護
第1章 1年1学期(4月~5月)
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高校生活の始まり

 「1ーD」の札がある教室に入り、これから一年間高校生活を共にするクラスメートが席に着く。

 俺は、左の一番前の席だった。

 先生が入ってきて、もう一度自己紹介をした。

「はじめまして、みんなの担任の森野(もりの)絢夏(あやか)です。年齢はヒ・ミ・ツ♪ よろしくね」

 周りのみんながヒューと声をあげた。

(どうせ、三十路手前(アラサー)だろ......)

 俺は心のなかでそう思ったが、決して口にしなかった。

 口にすれば、多分、後で呼ばれて殺されるから。

「今日は対面式もあるので、休憩してからもう一回体育館にいくから、そのつもりでね」

 先生がそう言い、一度トイレ休憩を挟んだ。

 俺は、トイレの場所を探るべく、教室をあとにした。トイレの場所は、少しだけ他のクラスより遠かった。


「それじゃあ、一度、みんなの名前の確認するために出席をとるから席についてー」

 そう言うと、みんなが席に着き、待っていた。

「出席をとります。えー、(いずみ)智也(ともや)君」

「はい」

伊野(いの)柚希(ゆずき)さん」

「はい」

俺はしばしの休憩です。


水谷(みずたに)駿(しゅん)君」

「はい」

 次で、ようやく俺の名前だ。

水本(みずもと)(つばさ)さん」

「はい」

「ごめんなさい、女の子の名前だと思って、『さん』付けしちゃった」

 クラスで少し笑いが起きる。

(いや、「翼」って名前は、女の子にもあると思うけど、名簿に性別「男」って書いてあるはずだろ。多分、ミスした私可愛いでしょ戦法だな)

 俺は、「結婚不適合者」に認定されてから、卑屈になった気がする。女の言うことが信じられない。

 そして、出席をとり終わり、先生が「少しだけ待ってて」と言い、教室から出ていった。


 すると、後ろから肩を叩かれた。

 振り向くと、

「水本翼君・・・だよね? はじめまして、村上(むらかみ)瑞希(みずき)っていいます。僕と友達になってください」

 僕の後ろの席に座っていた、村上君だった。

 新しいクラスになったら、とりあえず前か後ろの席と友達になるというのは学生生活あるあるだ。

 友達になってくださいなんて言わなくても、俺は別に一週間で記憶が無くなったりはしない。

「はじめまして、水本翼です。もちろん友達になりましょう」

 人見知り&ぼっちだった俺は、そう答えた。

 程なくして、メールアドレスの交換をした。

 本当は村上君も人見知りらしく、友達が出来るかどうか不安だったそうだ。何故、メールアドレスだったかというと、お互いに無料通話アプリをインストールしていなかったからである。


「水本君は、出身中は、どこなの?」

「俺は、松野(まつの)中。村上君は?」

「僕は、梅山(うめやま)中」

 梅山中は、確かこの高校に結構近いところの中学校だったはず。

「松野中って、ここから結構距離あるよね?」

「ここからだったら遠いかな」

「へぇー、じゃあ、電車通学?」

「うん。大体家から四十分~五十分ぐらい掛かる」

「それじゃあ、大変だね」

「大変だよ」

 久しぶりに、会話のラリーが出来たことに感動。

「水本君は、何の部活に入るの?」

「特に決めてない」

なぜなら、運動神経がそんなに良くないからです。

「それじゃあさ、卓球部に一緒に入らない?」

「卓球部か......考えとく」


 先生が戻ってきて、この後の予定を言ってきた。

 簡単に言うと、教室をすこし掃除して、対面式の準備ができるまで、待機ということだ。

 二、三年生は、一限~三限までが、課題テストらしい。

 四限目に対面式が予定されている。

 一年生は、今日は昼までには終わるらしい。

 一応、入学式の椅子は、二、三年でテストが終わり次第片付けるらしい。


 掃除は面倒くさいものである。

 だから誰も動こうとしない。

 俺はこういうときに率先してやりたくなる。

 一人が動けば、何人かが動く。村上君も来てくれた。掃除用具入れからホウキをとりだし、教室の前から後ろにごみを掃いていく。そして、ちり取りにごみを入れ、ゴミ箱に捨てにいく。

 これだけである。

 自慢じゃないが、俺の部屋は綺麗(きれい)だ。

 別にイメージを良くしようと思って、言ってるわけじゃないんだからね、勘違いしないでよね。

 俺は、心のなかで、ツンデレる。


 掃除が終わり、自分の椅子に座り、村上君と話を少しして、話終わったので、机に伏せて寝ようとした。教室の中じゃ、これがいつもの習慣なので、落ち着くが、少し悲しくなる。友達が少ない人間の宿命なのだろう。


 先生が教室に入ってきて、

「それじゃあ、準備が出来たから、体育館に向かうわよ」

 そう言い、廊下の前に体育館シューズを持ち、みんなが出ていく。二列に並ぶようだったので、俺はさっさと後ろの方にいく。俺は村上君の前に並び、そこで座るように言われる。


 体育館に入ると、既に二、三年生が列で待っていた。椅子は、体育館の端に置かれていた。

 あとで、片付けるのかもしれない。

 二、三年生を見ていると、その中に、一際輝く存在があった。

 生徒会長だった。

 明らかにオーラみたいなものがあり、目を引くものだった。近寄りがたい雰囲気もある。

 しかし、一番驚いたのは、彼女が二年生であるということだった。多分、頭も優秀なのだろう。

 学校内でも、生徒会長になる前から、有名人だったのはずだ。そうじゃなきゃ、なれるはずがない。


 全校生徒が体育館に入り、いよいよ対面式が始まる。対面式といってもそんなにすることはない。

 生徒会長の挨拶から始まり、新入生代表の挨拶が始まり、生徒会のパフォーマンスがあり、最後に、先輩が校歌を歌い、対面式が終わった。


 三十分程度で対面式が終わり、三年生から体育館を出ていく。続いて、一年生が出ることになった。

 二年生が、体育館の片付けにあたった。


 教室に戻ると、みんなが帰る準備を始めていた。

 先生が入ってきて、ホームルームを始める。

 明日が課題テストで、英語、国語、数学の三教科のみである。テストが終わると部活動紹介があり、明日は終わる。先生から明日はプリントを多く配るからファイルを忘れないようにと言い、ホームルームが終わった。


「それじゃあ、また明日」

「うん。また明日」

 そう言って俺は、教室を出ていった。

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