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胡蝶の夢b

はっとして、目を開いた。

 教室はいつも通りの在り方でそこに佇んでいた。ギィちゃんはいつの間にか目を開いてスマホをいじっていた。

夢か。僕の中で何かが身じろぎするのを感じた。大まかに言えば、ほっとしたのかもしれない。でも、それだけは足りない何かが僕の中には生じていた。安穏に近づくことの安心感とともにそれに対する嫌疑や苛立ちが僕の中に生まれていたのが、おぼろげながらに感じられた。

 身体が熱い。厭な熱さだ。気持ちが悪い中で目が覚めるといつもこんな感じの熱さが身体に宿っている。そしてそれは目覚めた後もしばらくは身体に張り付いてなかなか取り除けない。僕は身体をクルクル回る椅子の上で窮屈そうに動かした。熱が逃げていくまで少しでも身体をゆるい姿勢でキープしておこうと思った。

 相変わらず目の前のパソコンには大量のタージマハルが整列させられていた。

 白身だけなら。

 気怠い頭と身体がぼんやりとその台詞を再生した。

 白身だけなら。

 何だろう? この感覚は。妙に粘着質なんだ。この身体から、頭から、離れようとしない。今現在、僕の周りの世界で起こることは、こっちから近づいて行ってもなかなかそれらを保持できないというのに、この言葉とそれによって起こされる感覚はなかなか僕から離れていこうとしなかった。何かこの感覚には重要な意味があるのかもしれない。僕はそう、思った。


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