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四月二十一日、火曜日。

  窓に目を向けると、向かいの校舎が見えた。明るい緑を抱えた背の高い木々の合間から。雨、降らないはずだったのに。そう思いながら鈍色に曇る空を見上げた。三階の窓を通して。自分の目の前にぽつねんと据え置かれたパソコンには、画像検索エンジンが表示した無数のタージマハルが並んでいた。青空に浮かぶ白いタージマハル、オレンジに染まるタージマハルなんかがただ、並んでいた。インドで検索かけたのに。そう思いながらページを下にスクロールさせる。僕が見たかったのは、ガンジス川だ。もっと言えば、ガンジス川とそこに集まる人々と、川沿いの建物だ。それも夕日に照らされたやつを探していた。外を見ると、枝の先が凪いでいた。スクロールを続けていると、ようやくお目当てのものが見つかった。それを複数個名前をつけて保存した後、先ほど挿入したUSB flashにコピーする。ライブラリに残ったやつは削除して、ごみ箱からも抹消した。白い壁、白い天井、白いパソコン、白いプラスチックでできたデスク、白に汚染された教室の後ろの方で乱暴にキーボードを連打する音が鳴っている。それに相見えるようにして前方に立ってマイクを使って何事かを理知的な口調でもって話し続ける二十代後半の男性。隣のギィちゃんは講義が始まって十五分くらいたった後に入室してきた挙句、僕の横に座ってすぐにコックリコックリし始めた。今も半開きの目が開きかけたり、閉じかけたりしている。

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