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私が好きだったのは、あなたではなかった――悪役令嬢は元婚約者の首を刎ねる

作者: 月白ふゆ
掲載日:2026/07/28

 父の首は、一度で落ちた。


 処刑人の腕がよかったのだろう。


 斧が振り下ろされると、グスタフ・ヴァルデン公爵の首は胴から離れ、黒い処刑台の上を半回転して止まった。


 王都中央広場に集められた民衆は、誰も声を上げなかった。


 歓声も、罵声もない。


 首が落ちる音だけが、妙に大きく響いた。


「反逆者グスタフ・ヴァルデン。王家に対する謀反、および教会の権威を損なった罪により、刑を執行した」


 役人が罪状を読み上げる。


 その声を、レオノーラは幌馬車の隙間から聞いていた。


 両手は縄で縛られている。

 口には布を詰められ、左右には武装した兵士が座っていた。


 父の処刑が終われば、次は娘の番だった。


 王太子の婚約者でありながら、正聖女を妬み、階段から突き落とした悪役令嬢。

 聖具を壊し、食事へ毒を混ぜ、王太子と正聖女の仲を裂こうとした女。


 それが王家と教会によって与えられた、レオノーラ・ヴァルデンの罪だった。


 もちろん、すべて嘘だった。


 だが元婚約者である王太子アルフォンスは、正聖女セシリアを抱き寄せ、レオノーラの話を一度も聞かなかった。

 王妃は、聖女への不敬を許さぬと宣言した。

 国王は、公爵家の捜索令状と財産没収命令に王印を押した。


 父は、教会の帳簿を王宮へ提出しようとしていた。


 男から精気を受け取り、聖力へ変える聖女たち。

 彼女たちへ男性を仲介する代わりに、教会が受け取っていた寄進金。

 聖女の指名数、回復した聖力量、治癒した者の身分。

 表向きには神聖な秘蹟とされていたものが、裏では料金を伴う制度として運営されていること。

 その収益の大半が、教会幹部と王家へ流れていること。

 規定を超える人数を相手にさせられている聖女がいること。

 高位貴族や神官が、寄進すらせずに彼女たちを利用していること。

 そして正聖女だけが王太子の専属となり、ほかの聖女や見習いたちとは異なる待遇を受けていること。


 父は、その仕組みを明るみに出そうとした。

 だから反逆者になった。


 レオノーラは、処刑台の上に置かれた父の首を見つめた。


 泣かなかった。


 口に布を詰められていたからではない。


 ここで泣けば、父の死が悲しい出来事として終わってしまう気がした。


 その直後、広場の西側で火の手が上がった。


 荷馬車が横倒しになり、積まれていた油樽へ火が移る。

 民衆が逃げ惑い、広場を囲んでいた兵の列が崩れた。


 母が用意した陽動だった。


 護送兵の一人が首を押さえて倒れる。

 幌馬車の後部が切り開かれ、父に仕えていた老騎士が姿を現した。


「お嬢様、こちらへ」


 レオノーラの縄が切られる。


 老騎士から短剣を受け取ると、自分で口の布を外した。


「お母様は」


「西門の外でお待ちです」


 レオノーラは幌馬車から降りる前に、もう一度だけ処刑台を振り返った。


 父の首は、まだそこにあった。


 王太子も。

 王妃も。

 国王も。


 高い壇上から、それを見下ろしていた。



 ヴァルデン公爵家は、代々東部国境を守ってきた軍閥だった。

 当主は父で、次代を継ぐのは弟の予定だったが、公爵家に生まれた以上、レオノーラも無関係ではいられなかった。


 王太子妃教育と並行して、領軍の配置を学んだ。

 国境の地形を覚えた。

 備蓄量から籠城可能日数を計算した。

 兵の勇敢さより、靴と食料と矢の残数が戦争を決めると、父から教わった。


 ただし、実際に戦う日が来るとは思っていなかった。



 逃亡から2か月後。


 レオノーラは初めて、味方を置き去りにした。


 反乱軍は、王家の徴税隊から食料を奪った直後だった。

 荷車には小麦が120袋。

 それを待つ村が、3つあった。


 だが追撃してきた王家の騎兵は予想より早く、夕刻には背後の丘へ姿を現した。

 反乱軍は湿地を抜け、古い石橋を渡った。


 橋を落とせば、騎兵は足止めできる。


 問題は、負傷者だった。


「歩けない者が27名おります」


 老騎士が報告した。


「荷車へ乗せます」


「小麦を捨てることになります」


「では、馬へ」


「馬は斥候と伝令に必要です」


「担架を作りなさい」


「全軍の速度が落ちます」


 遠くで、角笛が鳴った。

 王家の騎兵が近づいている。


「全員を連れていけば、どこまで逃げられます」


「湿地を抜ける前に追いつかれます」


「小麦を捨てれば」


「村3つが冬を越せません」


 レオノーラは、橋の向こうに並べられた負傷兵を見た。


 腕を折った者。

 腹を刺された者。

 片足を引きずる者。

 顔を布で覆われ、もう自分で水を飲むこともできない者。


 27名。


 誰も、助けてくれとは言わなかった。

 だから余計に、決められなかった。


「ほかに方法は」


「ございません」


 老騎士が答えた。


「27名を橋の西側へ残します。敵を引きつけ、その間に本隊を退かせます」


「囮にするのですか」


「彼ら自身も、それを望んでいます」


「本人が望めば、置いていってよいと?」


「全員を死なせるよりは」


 角笛が、もう一度鳴った。


 先ほどより近い。


 レオノーラは、負傷者の名簿を受け取った。


 一人目の前へ立つ。


「ジャン・ロベール」


「はい」


 まだ20歳になったばかりの青年だった。


「ミハイル・デュラン」


「はい」


「パトリス・ランベール」


「おります」


 一人ずつ、名前を呼んだ。


 一人ずつ、顔を見た。


 彼らが兵になる前に何をしていたかも、できる限り聞いた。


 粉屋の息子。

 羊飼い。

 鍛冶屋の徒弟。

 妻と幼い娘を村へ残してきた男。


 27人目まで呼び終えたとき、王家の騎兵が丘を下り始めた。


「橋が落ちるまででよろしいのですね」


 ジャンが尋ねた。


「ええ」


 レオノーラは答えた。


「橋が落ちれば、敵は渡れません」


「では、その後は?」


 答えられなかった。


 ジャンは笑った。


「分かりました」


 負傷兵たちには、弓と油壺が残された。


 レオノーラは最後まで、橋の起爆索を自分で持つと言い張った。


 老騎士に腕を掴まれ、引きずるように東岸へ連れていかれた。


 本隊が湿地へ入った頃、背後から戦闘の音が聞こえた。


 短い叫び。


 馬のいななき。


 矢が盾へ突き刺さる音。


 レオノーラは何度も振り返った。


 霧の向こうに、橋は見えなかった。


「今です」


 老騎士が言った。


「まだ戦っています」


「だからです」


 レオノーラは起爆索を握った。


 火をつければ、27名も橋とともに落ちる。


 つけなければ、王家の騎兵が渡ってくる。


 反乱軍も。


 小麦を待つ村も。


 母も。


 すべて失う。


 レオノーラは火口を近づけた。


 火が縄を走った。


 数呼吸の後、轟音が湿地を揺らした。


 霧の向こうで石橋が崩れた。


 戦闘の音も止んだ。


 翌朝、レオノーラは27名の名を、自分の手で戦死者名簿へ書いた。


 字が何度も滲んだ。



 それから2か月後。


 別の撤退戦で、歩けない負傷者が14名出た。


「お名前は」


 そう尋ねかけて、レオノーラはやめた。


 敵が迫っていた。


 名前を聞いても、決定は変わらない。


「歩行不能者は14名ですね」


「はい」


「橋の西側へ残してください」


 その日の戦死者名簿は、書記官に任せた。


 さらに2か月が過ぎる頃には、レオノーラは死者の名より先に、残った兵の数を確認するようになっていた。


 名前では、次の戦いを決められない。

 人数なら決められる。


 あの日から、8か月が過ぎた。


「南門、落ちました」


 泥だらけの伝令が、石段の下で片膝をついた。


「守備兵280。死者73。投降191。残りは逃走しております」


「こちらの損害は?」


「死者19。重傷32。軽傷者は確認中です」


「重傷者は西棟へ。治療の優先順位は、明日までに戦列へ復帰できる者から」


「承知しました」


 レオノーラは教会を見上げた。

 白い尖塔の上には、まだ太陽神の旗が翻っている。

 正面門は破壊され、石段には血が流れていた。


 教会側は、ここが最初に攻撃されるとは思っていなかった。

 反乱軍が狙うのは王都だと決めつけ、王家の負傷兵を治療しながら、安全な後方にいるつもりだった。


 だがレオノーラは、王都へ向かわなかった。

 街道を外れ、森を抜け、夜のうちに教会領へ入り込んだ。

 負傷した王家の兵を何度でも治して戦列へ戻す場所を残したまま、王都を攻めるつもりはなかった。


「東棟の抵抗は?」


「終わりました。大司教と神官長を拘束しております」


「聖女たちは」


「地下礼拝堂に集められていました。正式認定者と見習いを含めて43名。全員、生存しています」


「兵を近づけないように」


「すでに女官と軍医を向かわせています」


 伝令は一度、言葉を迷った。


「その……聖女たちは、我々が聖務の相手を求めているのではないかと警戒しております」


「求めておりません」


 レオノーラは即答した。


「今、必要なのは本人たちの意思確認と帳簿です。勝手に触れた兵は、階級を問わず鞭打ち50回。暴力を用いた者は絞首刑と通達しなさい」


「はい」


「こちらの負傷兵を治療させるのも、新たな契約を結んだ後です」


「しかし、我々にも重傷者が――」


「教会がしてきたことを、占領したその日にわたくしたちが繰り返してどうするのです」


 伝令が頭を下げる。



 レオノーラは教会の石段を上った。

 8か月前までは、裾の長いドレスで歩いていた。


 今は革の長靴を履き、父が残した軍服の上から黒い外套を羽織っている。

 腰には剣。

 肩には乾き切っていない血。


 公爵令嬢らしいものは、背筋と口調くらいしか残っていなかった。


「レオノーラ」


 教会の玄関で、母が待っていた。


 エレオノール・ヴァルデン公爵夫人。


 夫を処刑され、領地を没収されながら、旧臣と領民をまとめ、娘へ兵と食料を送り続けた女だった。

 娘が剣を握るなら、母は帳簿を握った。


 どの村から何人出せるか。

 どこに小麦が残っているか。

 どの貴族が王家を見限りかけているか。


 反乱軍が8か月も戦えたのは、レオノーラの策だけではない。

 母が、戦争を続けられるだけの食料と金を絶やさなかったからだ。


「北倉庫を確認しました」


 母が言った。


「小麦が800袋。干し肉と塩もあります。すべて王都へ送る予定だったようですね」


「運び出せますか」


「3日あれば」


「2日で」


「馬車が足りません」


「巡礼者の馬車を買い取ります」


「足元を見られますよ」


「教会の金庫を開けたのでしょう?」


 母はわずかに口元を緩めた。


「あなたは、昔から父親に似ていました」


「お父様なら、もっと穏便に済ませました」


「ええ」


 母の目から笑みが消える。


「だから殺されました」


 声に感情はなかった。


 感情をなくしたのではない。


 使う場所を選んでいるだけだった。


「裏帳簿は地下です」


 母が続けた。


「大司教は焼こうとしたようですが、間に合いました。利用者の名、寄進額、聖女ごとの回数、聖力回復量まで記録されています」


「表へ出せない金ほど、細かく記録したがるものですわね」


「そのようです」


 地下礼拝堂には、白い衣を着た女たちが集められていた。

 最年少でも18歳。


 聖女となれば、何を職務とするのか。

 それを承知したうえで、自ら教会へ入った者たちだった。


 貧しい実家へ金を送りたい者。

 治癒術を学びたい者。

 聖女として尊敬されたい者。

 正聖女の座を目指していた者。


 理由は、それぞれ違う。

 だが、自分が何を差し出す職業なのかを知らない者はいなかった。


 一人の見習いが、レオノーラを睨んだ。


「私たちを助けたつもりですか」


「いいえ」


「では、なぜ聖務を止めたのです」


「あなた方と教会の契約が、適切に履行されていたか確認するためです」


「私たちは、自分で選んでここへ入りました」


「承知しております」


 レオノーラは、軍医がまとめた紙を受け取った。


「ただし、規定を超える人数を相手にさせられていた者が12名。発熱中にも聖務を続けさせられた者が7名。報酬の未払いが29名。大司教や高位貴族へ無償で奉仕させられていた者が35名います」


 女たちの間に、沈黙が落ちた。


「教会は、あなた方の身体を使って金と聖力を得ながら、その実態を公表しませんでした」


「聖務は神聖なものです」


 年長の聖女が言った。


「私たちは、公娼ではありません」


「男から金を取り、身体を用いて聖力を回復し、その聖力で治療を行う」


 レオノーラは帳簿を開いた。


「別の呼び名を用いたいのであれば、構いません。ですが、呼び名を変えても帳簿の数字は変わりません」


「神に仕える行為です」


「神聖な行為に、なぜ裏帳簿が必要なのです?」


 誰も答えなかった。


「わたくしは、聖女という職をなくすつもりはありません」


 何人かが顔を上げる。


「教会が結んだ契約はいったん停止します。続けたい者には、改めて条件を提示します。辞めたい者には未払い分を支払い、帰郷費用も渡します」


「国家に仕えろと?」


「まだ仕えていただく国家はございません」


 レオノーラは答えた。


「これから作ります」



 王都への進軍は、教会陥落から10日後に始まった。

 王家は、教会がわずか1日で落ちたことを認めようとしなかった。

 地方から集めた兵は王都周辺へ固められ、街道には陣地が築かれていた。


 レオノーラは正面から攻めなかった。


 川上の堤を切り、王都南側の低地を水没させた。

 王家の兵が東へ迂回したところで、森に隠していた弓兵に補給隊を襲わせた。

 退路は断たず、1本だけ残した。

 逃げ道があると思わせた方が、兵は崩れやすい。

 狭い石橋へ殺到したところで、火矢を放った。


「敵兵、約1,200が西へ逃走しています」


「追わなくて結構です」


「ですが、再編される恐れがあります」


「食料も指揮官も失っています。追撃へ兵を割くより、北門へ回してください」


「北門には近衛軍が」


「だからです」


 側近が命令を伝えに走る。


 レオノーラは血と泥で汚れた窓から、遠くの王都を見た。


 尖塔の数も。

 城壁の高さも。

 婚約者として通っていた頃と何も変わらない。


 だが今は、どの壁が薄く、どの門の守備兵が疲れているかまで分かる。


 王都の夜会で、誰がどの派閥に属しているかを覚えるより、ずっと分かりやすかった。


「楽しそうね」


 母が言った。


「何がです?」


「戦っているときのあなた」


「お父様の仇が近いからでしょう」


 レオノーラは答えた。


 それ以外に理由があるはずはなかった。


 父を殺した王家を倒す。

 自分を捨てた王太子を討つ。

 嘘をついた正聖女に罪を認めさせる。


 それが終われば、剣を置く。


 領地を立て直す。

 死者を弔う。

 母とともに、静かに暮らす。


 そのつもりだった。



 王都北門が落ちたのは、翌日の夜だった。


 近衛兵は、最後まで抵抗した。

 レオノーラは降伏勧告を三度出し、三度拒まれた後、門楼ごと火をかけた。

 炎の中から飛び出してきた兵を、反乱軍の槍が突き倒す。


 悲鳴が重なった。

 肉の焼ける臭いがした。


 レオノーラは目を逸らさなかった。

 父のためだと、自分へ言い聞かせることもなかった。

 必要なことだから、見ていた。


 王宮へ突入した部隊は、進軍開始時の3分の1近くを失っていた。


 ほかの部隊は城門、兵舎、街路の制圧に残している。


 玉座の間へ向かえる兵は、1,163。

 戦死403。

 重傷179。


 かつては、死者の名前を一人ずつ記録した。


 今は違う。


 損害数。

 再編可能兵力。

 残存する矢と食料。


 それで十分だった。



 玉座の間には、王太子アルフォンスがいた。

 その背後に、正聖女セシリア。


 近衛兵は、すでに武器を捨てていた。


 アルフォンスは剣を持っていたが、構えてはいない。


「レオノーラ」


 呼ばれた名前が、ひどく懐かしかった。

 婚約者だった頃、彼は何度もその名を呼んだ。


 庭園で。

 舞踏会で。

 二人だけの応接室で。

 レオノーラは、あの声を好きだった。


 それは確かだった。


「よく、ここまで来た」


「ええ」


「話し合おう」


「何をです?」


「すべてだ」


 アルフォンスは一歩進んだ。


「父上には退位していただく。私が王位を継ぐ」


 セシリアが、わずかに顔を動かした。


「君の父上の名誉は回復する。公爵領も返還する。処刑に関わった者も裁こう」


「ずいぶん気前がよろしいのですね」


「君を王妃にする」


 レオノーラは思わず笑った。


 アルフォンスの表情が明るくなる。


 彼はまだ、交渉が成立すると思っている。


「婚約も戻そう。私たちは、やり直せる」


「セシリア様は?」


「正聖女として保護する。王宮の外に新たな神殿を設け、必要なものはすべて与える」


「殿下」


 セシリアが息を呑んだ。


「政務には関わらせない」


「私をお捨てになるのですか」


「今は国の話をしている」


「私には殿下が必要です」


 その言葉に、レオノーラは剣の柄へ置いていた手を離した。


「必要?」


 セシリアの顔が青ざめる。


「聖力のことです」


「承知しております」


 レオノーラは教会から持ち出した帳簿を、近くの卓へ投げた。


「正聖女セシリア。王太子アルフォンス殿下より精気を受け、聖力へ変換。週3回から5回。ほかの利用者はなし」


「それは秘蹟です」


「教会はそう呼んでいましたわね」


「私が望んだことではありません」


「そうでしょうか」


 レオノーラは帳簿を開く。


「正聖女に選ばれる前、あなたは見習いとして73名の相手をしている。正聖女となってからは、王太子殿下1人だけです」


「それが何だというのです」


「ずいぶん待遇が違いますわ」


 セシリアの唇が震えた。


「殿下は、私を愛してくださいました」


「ええ。だから、正式な婚約者であるわたくしが邪魔になった」


「あなたは私を虐げました」


「階段から突き落とした?」


 セシリアは答えない。


「聖具を壊した?」


「……」


「食事へ毒を入れた?」


 沈黙が続く。


 アルフォンスが割って入った。


「今さら、それを蒸し返して何になる」


「本当なのですか、殿下」


「何が」


「わたくしが彼女を階段から突き落としたのですか?」


「セシリアがそう言った」


「あなたは見たのですか」


「彼女が嘘をつく理由はなかった」


「ございましたわ」


 レオノーラはセシリアを見る。


「王太子殿下の専属であり続けるため。教会へ戻らず、1人の男だけを相手に正聖女を名乗り続けるため。正式な婚約者だったわたくしは邪魔だった」


「違います」


「では、触れましたか?」


 セシリアは俯いた。


「わたくしがあなたを、階段から突き落としましたか?」


「……いいえ」


 アルフォンスの顔から血の気が引いた。


「セシリア」


「私には殿下が必要だったのです」


「だから嘘を?」


「教会へ戻りたくなかった!」


 叫びが、広い玉座の間へ響いた。


「あそこへ戻れば、また知らない男たちを相手にしなければならない。私は正聖女です。誰よりも強い聖力を持っているのに、どうしてほかの者たちと同じように扱われなければならないのです!」


 レオノーラは、しばらく黙って彼女を見た。


「見習いたちが、同じ職務をしていたことはご存じでしたわね」


「知っています」


「規定を超えて働かされていた者がいたことも?」


「それは教会が決めたことでしょう」


「報酬を抜かれていたことも?」


「私に何ができたというのです!」


「王太子殿下へ訴えられたでしょう」


 セシリアがアルフォンスを見る。


 アルフォンスは、目を逸らした。


「あなたは被害者ではあります」


 レオノーラは言った。


「ですが、自分だけが免除される仕組みを守った側でもある」


「私を殺すのですか」


「いいえ」


 セシリアの顔に、わずかな安堵が浮かんだ。


「あなたには、まだできることがありますもの」


 安堵が消えた。


 アルフォンスが剣を抜いた。


「彼女に何をするつもりだ」


「教会が運営していた聖女制度を、公表したうえで国家へ移します」


「そのようなものを認めると思うか」


「あなたの許可は必要ありません」


「レオノーラ」


 アルフォンスは剣先を向けた。


「君は変わった」


「いいえ」


 レオノーラも剣を抜く。


「あなたが知らなかっただけですわ」


 アルフォンスが剣を振り上げた。


 遅かった。


 王太子として剣術を学んではいたのだろう。


 だが8か月の間、毎日のように殺し合ってきた人間の速さではない。


 レオノーラは一歩踏み込み、彼の手首を切った。


 剣が床へ落ちる。


 アルフォンスが片膝をついた。


「待て」


「何をです?」


「君は、私を愛していたはずだ」


 その言葉だけは、嘘ではなかった。


 レオノーラは、かつて彼を愛していた。


 幼い頃から、王太子妃になるために学んだ。

 彼の好きな花を覚えた。

 彼の好む音楽を弾いた。

 彼の隣で国を支える未来を、本気で信じていた。


「そうですわね」


 レオノーラは剣を構えた。


「わたくしも、そう思っておりました」


「ならば――」


 剣を振り抜いた。


 刃は首の半ばまで食い込み、一度では落ちなかった。


 父の処刑人ほど、腕がよくなかったらしい。


 アルフォンスの身体が傾く。


 レオノーラは、もう一度剣を振った。


 首が離れた。


 床へ落ち、二度転がって止まった。


 セシリアが悲鳴を上げる。


「殿下!」


 彼女は王太子の胴へ駆け寄り、両手を傷口へかざした。


 白い光が漏れたが、切断された首と胴はつながらない。


「治しなさい」


 レオノーラが言った。


「無理です!」


「正聖女なのでしょう?」


「首が完全に離れているのです! これでは、いくら聖力があっても――」


 レオノーラは床に転がる首を見下ろした。


 胸の奥が、妙に静かだった。


 父の仇を討った。


 自分を捨てた男を殺した。


 偽りの断罪を終わらせた。


 もっと、何かがあると思っていた。


 涙。

 歓喜。

 安堵。

 長く刺さっていた棘が抜けるような感覚。


 何もなかった。


 代わりにあったのは、物足りなさだった。


 ここへ至るまでの8か月が、終わってしまった。


 夜の森で敵兵の足音を数えることも。


 橋を落とす時刻を決めることも。


 100の兵で1,000の兵を惑わせることも。


 味方の損耗と敵の食料を比べ、どちらが先に尽きるか計算することも。


 もう必要ない。


 王太子は死んだ。


 復讐は終わった。


 戦争も、終わる。


 その事実が、レオノーラには耐え難かった。


「そうでしたのね」


 自分の声が、ひどく遠く聞こえた。


「何がです」


 セシリアが怯えた顔を上げる。


 レオノーラは、元婚約者の首を見た。


「わたくしが好きだったのは、あなたではなかった」


 答える者はいない。


 アルフォンスを愛していた時期は、確かにあった。


 だが、その愛はとうに終わっていた。


 この8か月、自分を生かし、剣を握らせ、ここまで連れてきたものは、愛でも憎しみでもなかった。


 好きだったのは、彼を追い詰めるまでのすべて。


 戦場でしか味わえない、研ぎ澄まされた時間。


 人も、金も、食料も、命も、すべてが一つの目的へ向かって動く瞬間。


 戦争だった。


 玉座の間の扉が開いた。


 王妃が、近衛兵に支えられながら入ってきた。


 床に転がる息子の首を見て、膝から崩れ落ちる。


「アルフォンス」


 王妃は首を抱き上げた。

 血が衣装を汚す。


「よくも」


 顔を上げた王妃の目には、涙と憎悪があった。


「人殺し。化け物。悪役令嬢」


 8か月前と同じ言葉だった。


 レオノーラは笑った。


「ええ」


 剣についた血を振り払う。


「ようやく、あなたがお望みになった悪役令嬢になれましたわ」


「この国のすべてがお前を呪う」


「国民は、あなた方が徴発した小麦を返せば喜びます」


「王族を殺した女に、誰が従うものか!」


「従わない者とは、これから戦えます」


 その言葉を口にした瞬間、レオノーラの胸に熱が戻った。


 王妃は、それに気づかなかった。


 息子の首を抱いたまま、呪いの言葉を吐き続けた。


 レオノーラは一歩近づいた。

 今度は、一度で首を落とした。

 王妃の身体が、息子の胴へ重なるように倒れた。


 国王は玉座に座っていた。


 すべてを見ていた。


 左右に護衛はいない。

 王冠をかぶり、背筋を伸ばし、最後まで国王として死ぬつもりらしい。


「余を殺せば、誰が国を治める」


「わたくしが」


「簒奪者としてか」


「呼び名には興味がございません」


「余も含め王族を3人殺せば、周辺国は黙っていない」


「好都合です」


 国王の目が細くなる。


「お前の望みは何だ」


「父の名誉回復。公爵領の返還。教会と王家の不正の公表」


「すべて認めよう」


 国王は言った。


「余は退位する。第二王子エドガーを王位へ就け、お前を宰相とする。王太子と王妃の死についても、戦時の混乱として処理しよう」


 それは、受け入れるべき条件だった。


 これ以上、兵を死なせずに済む。

 公爵家の名誉も戻る。

 国も分裂しない。


 レオノーラが父のため、民のために戦っているのなら、断る理由はなかった。


「お断りします」


「なぜだ」


「第二王子殿下を、王にはしません」


「では、お前が女王になるのか」


「ええ」


「王位が欲しかったのか」


「いいえ」


「復讐か」


「それも、もう終わりました」


 国王はしばらく黙った。


 窓の外では、王都のどこかで戦闘が続いている。


 剣戟。

 悲鳴。

 崩れる石壁。


 それを聞いているレオノーラの顔を、国王は見た。


「そうか」


 国王の声が低くなる。


「お前は、王位が欲しいのではない」


 レオノーラは剣を握り直した。


「復讐ですらない」


 国王は、初めてレオノーラを恐れた。


「これが終わることを、恐れているのだな」


 剣を振った。


 国王の首が、玉座の肘掛けへ当たり、床へ落ちた。


 父よりも。

 王太子よりも。

 王妃よりも。


 国王は静かに死んだ。


 3つの首が、作戦卓へ並べられた。


 元婚約者だった王太子。

 彼を守り、公爵家を悪とした王妃。

 すべての命令に王印を押した国王。


 王宮の外では、勝利を告げる鐘が鳴っている。


「終わりましたね」


 母が言った。


「あなたのお父様も、これで眠れます」


 レオノーラは答えなかった。


 国王の首から王冠を外し、作戦卓の端へ置く。


「生き残った王族は?」


「第二王子エドガー殿下と、第一王女リディア殿下、第二王女マリアンヌ殿下。3名とも拘束しております」


「王女殿下方は、教会で聖女見習いをしていたはずです」


「ええ。第一王女殿下は正式認定の直前。第二王女殿下も、基礎教育を終えています」


「では、国家聖療院との契約条件を提示してください」


 母が娘を見る。


「王女としてではなく?」


「聖女見習いとしてです。契約するかどうかは、ご本人方に選んでいただきます」


「契約しなければ?」


「旧王族として監視下へ置きます。本人たちの生命については、第二王子殿下との交渉次第です」


 拘束された正聖女セシリアが、顔を上げた。


「国家聖療院とは何です」


「教会が運営していた聖女制度を、国家へ移したものです」


「廃止するのではないのですか」


「なぜです?」


 レオノーラは教会から押収した帳簿を開いた。


「男は料金を払い、聖女は精気を聖力へ変える。料金は運営費となり、聖力は負傷者の治療に使われる」


「結局、同じことをさせるのですか」


「教会が行っていた職務そのものは、違法ではありません。問題は収益を隠し、報酬を抜き、規則を破っていたことです」


 レオノーラは新しい規則書を卓上へ置いた。


「料金、本人への報酬、休養日、健康検査、暴力の禁止。すべて明文化します。人気のある聖女には、高い指名料と良い待遇を与えます」


「人気のない者は?」


「料金を下げます」


「それでも客が来なければ?」


「指名なしの利用者を割り当てます」


 セシリアの顔が歪んだ。


「することは変わらない」


「聖女を続けるのであれば」


「辞めることは?」


「できます」


 レオノーラは契約書を差し出した。


「署名しなければ、聖女の資格を返上していただきます。教会時代の未払い報酬は支払いますし、帰郷費用も出しましょう」


 セシリアは契約書へ目を落とした。


「私が聖女を辞めたら、負傷者はどうなるのです」


「あなた以外の者が治します」


「私ほどの聖力を持つ者はいません」


「ええ。ですから、最高の待遇をご用意します」


 正聖女という地位。

 奇跡を起こす者としての尊敬。

 美しい部屋。

 上等な衣服。

 自分にしか救えない命。


 セシリアは、それらを手放せない。


 契約書を見つめたまま、低い声で言った。


「最初の夜、私は泣きました」


 誰に語るでもない声だった。


「聖女になると決めたのは自分です。何をするのかも知っていました。それでも、知らない男を前にしたら、怖くなりました」


 セシリアは、紙の端を指で押さえた。


「先輩の聖女が教えてくれました。正聖女になれば、王族か高位貴族1人の専属になれる。1人だけで済むのだと」


 だから耐えた。

 だから力を磨いた。

 だから誰よりも強い聖女になろうとした。


「私は、あそこへ戻りたくなかっただけです」


 レオノーラは否定しなかった。


「ええ」


「それでも、私が悪いのですか」


「戻りたくないと思ったことは、悪くありません」


「では」


「そのために、無関係な人間を罪人にしたことは、あなたの責任です」


 セシリアは黙った。


「ほかの見習いたちが同じ場所に残されていると知りながら、ご自身の地位を守るために口を閉ざしたことも」


 セシリアは、膝の上で両手を握りしめた。


「正聖女を辞めれば、私は何になります」


「ただの一人の女性です」


「そんなものに、今さら戻れるはずがない」


「でしたら、お選びください」


 震える手で、セシリアは契約書を取った。


「この一文は?」


 指した先には、小さな文字が並んでいた。

 国家が非常事態にあると認定した期間中、契約終了後も公共救護に必要な聖務へ従事する義務を負う。


「辞めた後も、戦争が終わるまでは治療に協力するということですか」


「国家非常事態が解除されるまで、公共救護へ協力していただきます」


 契約書の冒頭に置かれた用語規定では、聖務には治療だけでなく、聖力補給も含まれている。


 だがセシリアは、そこへ戻らなかった。


「戦争が終われば、義務も終わるのですね」


「ええ」


 レオノーラは微笑んだ。


「戦争が終われば」


 セシリアは長い間、契約書を見ていた。


 やがて署名した。


「ようこそ、国家聖療院へ」


 レオノーラは書類を母へ渡した。


「正聖女には最上階の部屋を。専属医師と侍女を付けてください。料金は教会時代の3倍。本人への分配は4割で」


「ずいぶん良い待遇ですね」


「価値がありますもの」


「休ませるのですか」


「壊さないために、休養は必要です」


「人間としてではなく?」


「人間だからこそ、壊れれば回復に時間がかかります」


 母は何も答えなかった。



 第二王子エドガーは、兄によく似ていた。

 だが兄よりも静かだった。


 3つの首を見ても叫ばず、レオノーラが提示した文書を最初から最後まで読んだ。


「私を王にするつもりはないのだな」


「ございません」


「殺しもしない」


「あなたには、していただくことがあります」


「署名か」


「それも」


 旧王家の領地。

 財産。

 軍。

 外交協定。


 第二王子の署名があれば、新政権はそれらを継承できる。

 遠縁の貴族が、正統な後継者を名乗る余地も減る。


「私は、生きた王印というわけか」


「理解が早くて助かります」


「妹たちは」


「あなたが新政権への継承文書へ署名し、王統統合を受け入れるのであれば、生命は保証します」


「聖女として働かせるのか」


「聖女を続けるかどうかは、ご本人方に選んでいただきます」


「断れば、監禁か」


「旧王族として監視下で暮らしていただきます」


「それを慈悲と呼ぶつもりか」


「処刑よりは、選択肢が多いと思います」


 エドガーは目を閉じた。


「ほかには?」


「わたくしと結婚していただきます」


 エドガーの表情が、初めて揺れた。


「兄を殺して、私を王配に?」


「公爵家と旧王家、双方の血を持つ子が必要です」


「私を欲しいのではない。ただ、私の血が必要なのだな」


「そのとおりです」


「兄への復讐でもない」


「あなたには、何もされておりませんもの」


 エドガーは、自分の父母と兄の首を見た。


「それで、私の子を産むのか」


「わたくしたちの子です。次の王となります」


「拒めば?」


「妹君方を含め、旧王家の生命を保証する理由がなくなります」


「脅しか」


「交渉です」


 エドガーは、もう一度書類へ目を落とした。


 自分が署名すれば、妹たちは生きられる。

 聖女を続けるか。

 旧王族として監視下で生きるか。


 少なくとも、選ぶ権利は残る。


 彼自身は、女王となる女の王配として生きる。

 統治権も軍権もない。

 必要なのは、署名と血だけ。


「婚姻成立後の初夜には、証人を置きます」


 レオノーラが言った。


「侍女と宮廷医師。それに王統鑑定官。懐妊後には、王家の血を確認する儀式も行います」


「見張られる中で、君を抱けと」


「王家でも行われていた儀礼でしょう」


「君は、それを平然と言えるのだな」


「王統の継承に必要なことです」


「今夜か」


「可能であれば」


「兄を殺した日に?」


「王統は、空白を嫌いますもの」


 エドガーは文書へ署名した。

 最後の文字を書き終えたとき、玉座の間の扉が開いた。


 泥と血にまみれた伝令が駆け込んでくる。


「東部国境より急報です!」


 母が振り返った。


「申してみなさい」


「王都陥落と、国王夫妻および王太子死亡の報を受け、東方3国が共同声明を発しました」


 伝令が一度、息を整える。


「逆賊に囚われた第二王子殿下を救出し、正統な王統を回復すると」


 エドガーが顔を上げた。


「すでに国境付近へ、合わせて60,000の兵が集結しております」


 玉座の間が静まり返った。


 将校たちは互いの顔を見た。

 つい先ほどまで勝者だった者たちの表情に、疲労と恐怖が戻っていく。


 母だけが、レオノーラを見ていた。


 娘は笑っていた。


 アルフォンスの首を刎ねたあとに失ったものが、再び目の前へ差し出された。


「交渉の使者を出しますか」


 母が尋ねる。


「ええ」


「条件は?」


「我が国への軍事介入について謝罪。東方3国から、それぞれ国境都市を1つずつ割譲。賠償金として金貨500,000枚。進軍した全将兵の武装解除」


「受け入れるはずがありません」


「そうでしょうね」


「拒絶させるおつもりですか」


「まさか」


 レオノーラは東方の地図を広げた。


「相手にも、戦う理由が必要でしょう?」


 母は目を閉じた。


 夫の仇は討った。

 娘の汚名も雪いだ。

 公爵領も戻る。

 王家は倒れ、新しい王統を作る手段も得た。


 もう戦う理由はなかった。


「ここで止めなければなりません」


 母が言った。


「誰をです?」


「あなたを」


 レオノーラは母を見た。


「止めますか?」


 母は答えなかった。


 娘を拘束すれば、反乱軍は割れる。

 殺せば、将兵が王都を焼く。

 追放すれば、東方3国か別の国が彼女を拾う。


 そして今、この国をまとめ、60,000の軍を迎え撃てる者は娘しかいない。


 母は卓上の呼び鈴へ手を伸ばした。


 一度、鳴らす。


「兵站官を呼びなさい」


 控えていた侍従が青ざめた。


「今からでございますか」


「今だからです」


 母は地図を見た。


「東部へ送れる食料と矢の数を確認します。国家聖療院の稼働可能人数も」


「王女殿下方は?」


「まだ契約前です」


 レオノーラが言った。


「条件を説明し、ご自身で選んでいただきましょう」


「選ばなければ?」


「第二王子殿下が署名されました。生命は保証します」


 エドガーは、まだ乾いていない自分の署名を見た。


「ですが、王族として自由に暮らせるとは申しません」


 母は娘を見た。


「それを、選択肢と呼ぶのですか」


「どちらを選んでも、生きられます」


「生きるだけです」


「戦争では、十分に良い条件ですわ」


 レオノーラは、父が使っていた作戦卓へ手を置いた。


「ここまでは、お父様の戦争でした」


 国王の王冠を、東方3国との国境へ置く。


「ここからが、わたくしの戦争です」



 王都では、まだ勝利の鐘が鳴っていた。


 民は王朝の終わりを祝っていた。


 父の仇が討たれ、悪政が終わり、長い戦いが終結したのだと信じていた。


 誰も知らなかった。


 その鐘が、平和の始まりを告げるものではなかったことを。


 戦争を愛する女が、ついに国家そのものを手に入れたことを。

 今回は、かなり陰惨な悪役令嬢ものになりました。


 元婚約者への復讐を果たした瞬間、自分が本当に好きだったものに気づいてしまう話です。


 王家への復讐は終わりました。


 けれど、レオノーラの戦争は、ここから始まります。

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― 新着の感想 ―
そしてレオノーラもまた、いつの日か処刑台へと消えるのでしょう。 物語の終わりにもありますように、民からしたら地獄はまだ続くのです。 多かれ早かれ前提条件とそれに付随する折り合いが崩れる時、この国家は…
いろいろな反政府組織の指導者を思い出しました。彼らは反政府組織の中で、武闘派としてトップになる。ある程度戦火をあげて政権側から和平を打診される。現実的に見ればいい条件でも、たいていは和平しない。和平す…
主人公が本当の自分を見つけられたのがよかった
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