表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋人に浮気され親友に裏切られ両親に見捨てられた俺は、学校のマドンナに救われた  作者: 夜空 叶ト


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/167

第18話 復讐の布石

「うっひゃあ~相変わらず俺の下駄箱はぐちゃぐちゃっと。皆そんなに暇なのかね~」


 学校についてすぐに下駄箱を見ると俺の下駄箱はごみ箱と化していた。

 昨日はこうではなかったから俺が帰ってからか俺が来るまでにこうなってたわけか。


「空?どうかしたの?」


「いや、何でもないよ」


 天音さんに下駄箱を見られないように体で隠しながら返答する。

 もし、見られたらいらぬ心配をかけてしまうかもしれないし、この話が美空に伝わったら面倒なことになりかねない。

 心配をしてくれるのは嬉しいけど、そこまで心配をかける場面ではないと思うし。


「そう?ならぼさっとしてないで行くわよ」


「うん。すぐ行くよ」


 スマホのカメラで下駄箱を撮影してから天音さんの下に向かう。

 証拠集めは大事だからね。

 これから何をするにもさ。


「じゃあ、またお昼にね」


「ああ、また天音さんの教室に迎えに行くよ」


「ええ。では」


 天音さんが教室に入るのを見送って俺も自分の教室に入る。

 やはり、というべきか俺の机の上は落書きや片付けたはずの遺影までもが再び飾られていた。

 どんだけ暇なんだよこいつら。


『今日も来やがったよ』


『マジで学校辞めればいいのに』


 といったようにここ最近で聞きなれてしまった言葉が飛んでくる。

 慣れてきてしまった自分がいることに驚きながらも胸元に入れてあるボタンのスイッチを入れる。


「っとこれも写真を撮っておくかな」


 自分の机の上をスマホで撮影する。

 クラスの人間はその行為を不思議そうに眺めていた。


「なに写真なんてとってるんだ?うれしくなっちまったのかよ?」


「関わるなって言ったはずだが、もしかして日本語が分からなくなったのか?だとしたらご愁傷様だな」


「お前の減らず口も相変わらずだな空」


 毎回毎回話しかけてくる悟に少しイライラする。

 これならまだ一切干渉してこない瑠奈のほうがましに思えてくる。


「減らず口?それはお前だろ?毎日学校に来るたび俺にわざわざ話しかけてきて。もしかして俺のこと好きなのか?だとしたら悪いな。俺はお前みたいな屑は願い下げなんだ。だからその臭い口を閉じて俺の前から消え失せてくれ」


 本当にイライラする。

 そんなに何かしてこなくてもしっかりこの後地獄に叩き落としてやるから心配しないでほしい。


「お前、いい加減にしろよ!!性犯罪者の分際で!!」


「いきなり胸倉掴んでくるなよ。制服が伸びちまうだろ?」


 あくまで余裕の態度を貫く。

 こうすることで相手を更にあおることができるからだ。


「いい加減にしろよ!!お前は瑠奈に無理やり迫った性犯罪者だ!そんなお前が堂々と学校なんかに来てんじゃねえよ!」


「っぐ」


 いってぇ

 顔を思い切り殴られて少し頭がくらくらする。

 でも、まだ煽ることをやめない。


「証拠はどこにあるんだよ。まさかお前たち二人の証言だけで決めつけてるわけじゃないよな?」


「そんなことお前に関係ないだろ!被害者がそういってるしその現場を俺も見ている。今更言い逃れしようとしてんじゃねえよ」


 もう一発腹を殴られる。

 結構痛いけど耐えられないほどじゃない。

 だから不敵に笑う。


「ははっ、笑わせんなよ。裁判になったら二人の証言だけで判決が決まるわけないだろ?もし、それがわからないならお前たち本当にイカれてるよ。そんで俺を性犯罪者って決めつけて糾弾してこんな嫌がらせまでしてる。この状況を第三者が見たらどっちが犯罪者かな?」


 胸倉をつかまれながらクラスを見渡す。

 全員が気まずそうに顔を背けていた。

 やっと自分たちがしていたことがどんなことなのかわかったみたいだ。


「黙れ!!騙されんなよ。こいつは必死に言い訳してるだけなんだからな」


「そろそろ離せよ。俺はお前とイチャイチャする趣味は無いんでな」


 強引に悟の手を引きはがす。

 二発も殴りやがって。


「覚えてろよ、空」


「はっ、随分とモブキャラみたいなことを言うんだな。まあ、覚えといてやるよ。お前の方こそ忘れるなよ?」


 最後にそう言い残して俺は自分の席に戻った。

 これで布石は打てた。

 二発も殴られたのは大きな収穫だったかもしれない。


 ◇


「空、その顔どうしたの?」


 屋上についてすぐに天音さんに頬を触られる。

 綺麗な顔がぐっと近づいてきて心臓がうるさくなる。


「なんでもない。それよりも今日のお弁当もすごくおいしいよ」


「そんなことって私は真剣に聞いているのだけど?誰かに殴られたの?」


「そんなところ。まあ、気にしないでよ」


「気にしないわけないじゃない。私があなたを学校に連れてきてるんだからそこであなたがつらい目に遭ったのならそれは私の責任よ」


「そんなことないって。俺は俺がきたくて学校に来てるしその口実をくれたのが天音さんだ。感謝することはあっても恨むことなんて絶対にないし天音さんの責任でもない」


 これは俺が始めた復讐だ。

 その責任を天音さんに押し付けることなんて絶対にしたくない。

 これは復讐のための布石。

 だから天音さんには責任を感じてほしくないんだけど、

 今の天音さんを見るにそれは無理そうだった。


「それでも、私はあなたに何があったのか聞きたいのよ。それじゃあダメかしら?」


 可愛く首をかしげて聞いてくる天音さんを前にはぐらかすことはできなかった。


「ただ、殴られただけだよ」


「誰に殴られたのかしら?」


「そこまでは言わないよ。別に心配しなくても大丈夫。俺がそうなるように仕向けただけだから」


「それってどういう」


「ほら、こんな話してるとお昼休みが終わっちゃうよ?早く食べよ」


 天音さんは何かを聞きたそうにしてたけど強引に話を変える。

 これ以上天音さんに詳細を聞かれると少し都合が悪い。


「……わかったわ」


 天音さんは何か言いたげな顔をしてたけど結局何も聞いてこずにお弁当を食べ進めるのだった。


 ◇


「じゃあ、また放課後にね」


「うん。またいつもの場所で待ってるよ」


 天音さんがそういって教室に戻っていく。


「で、君はいつまでそこでコソコソしてるんだ?」


「バレてましたか、えへへ~」


 物陰から出てきたのはつい先日知り合った後輩の杉浦七海だった。


「そりゃね。さっきから君の髪がちらちら視界の隅に見えてたからね」


「なんと!それでバレてしまったんすね~いや~失敗失敗」


「それで、わざわざそんなストーカーみたいなことをしていた理由を聞いてもいいかな?」


 もし、理由なく俺のことをつけていたならシンプルに怖い人だ。

 それだけはあって欲しくない。


「理由ですか?なんだと思います?」


「わからないから聞いてるんだけどね」


「連れないっすね。まあいいですけど。簡単ですよ。私はクリスマスにあなたたちがどういう会話をしていたかの一部始終を見ていますし、なんならこのスマホにそのデータが入ってます」


 杉浦さんは舌を出しながらウインクをしていた。

 あの時の映像がある??

 もしそれが手に入れば復讐に使えるどころか最強の逆転の一手になる。


「それを俺にわざわざ伝えて何がしたいんだ?」


 だが、うまい話には裏があるというのが世の常だ。

 簡単に飛びつくわけにはいかない。


「別に何かがしたいってわけじゃないっすけど。ただ、私は面白そうだからあなたにこの情報を渡したいだけっすよ。もちろんただでとは言わないっすけど」


「なるほど。俺に何をして欲しいのか今は言う気が無いって解釈でいいか?」


「そうっすね。とりあえず連絡先だけ交換してもいいっすか?」


「わかったよ」


 とりあえず俺は杉浦さんと連絡先を交換して教室に戻った。

↓にある☆☆☆☆☆評価欄を、★★★★★にして応援して頂けると励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ