15話
そろそろはじめようかな。
「さあ、始めようか楽しい遊戯を」
呆れたよ。バトルマニアだったなんて。
「ひょっはあ!」彼から焔弾が複数放たれる。
「戦うのは嫌いなんだけどなあ」僕はそう言いながら、左手で魔力弾を放ってそれを相殺させる。
複数思考を使って、家族に居場所がバレたことを悔やむ。
「君のせいで、僕の家出計画が台無しじゃないか。どう責任とってくれるの?」
彼の動きが止まって顔を真っ赤にさせる。
「――せ、せきにん?」
「そうだよ。親に居場所がバレちゃったんだから」
「いや、もう遅いが?」――この声で気付いた。
「と、とうさん?」
自分で言った言葉を理解した。父さんに見られたことを。
「いや、いやあぁぁ!」僕のまわりに魔力弾を放つ。
魔力弾が炸裂して、辺りが光の奔流に包まれた瞬間に、首に衝撃が加わって僕は気絶した。
気が付くと、自分の部屋に寝ていた。
僕は頭だけを動かして時刻を確認する。あれからまだ2時間しか経っていない。
静香も待っている事だし戻りますか。
僕は起きあがって、階段を下りて玄関に向かおうとしたが途中で母さんに会った。
「静香ちゃんのところに泊まるんでしょう? 気を付けてね」と母さんは微笑んで部屋に戻った。
母さんが部屋に入った直後に父さんの悲鳴が聞こえたけれど僕は無視して静香の家にワープした。
僕はいったい何を間違えたのやら。ワープした場所はお風呂でした。
「あ、あや?」静香が入浴中でした。静香の肌って綺麗だな。
「そ、そんなに……。見たいの?」顔を俯きながらも瞳は僕に向けている。
世間で言うところの上目遣いって、これのことなんだ。
「あ、うんっ!」
「そ、そうなんだ……」静香は顔を真っ赤にさせて、僕に背を向けた。
「ごめんねっ!」その言葉と同時に僕は逃げ出した。