14話
――「今日、私だけだから泊まっていく?」
静香の言葉が、僕の頭をぐるぐると回る。
「えと、もう一回言ってくれる?」
「私だけだから泊まっていかない? っていったんだけど」なぜか頬を薄くだが赤くさせている。
両親に会いたくないから、いいかなあ。――あっ、魔力波も偽装しておかなきゃ。
「お言葉に甘えさせてもらうね」
「ええ。……それで、食材の買い物に付き合ってくれない?」
「いいよ。じゃあ行こうか」泊めてくれるんだしそのぐらいしないとね、と心の中でつぶやく。
「うんっ!」
静香の家から、スーパーまでは歩いて5分と非常に近い。
「いつも、歩いてくるんだ?」
「ええ。ワープすればすぐに着くんだけど、体力が落ちるじゃない?」
雑談をしながら食材をカゴに入れていく。
「亜耶は、炭酸飲める?」
「あぁ、うん大丈夫だよ」
「だったら……。サイダーを買うわ」と言いながらサイダーのペットボトルを取ってカゴにいれる。
「このぐらいかしら」
僕はレジでカードを出してそれを使って購入した。
静香に組織に入ってることをバラしたくないので、学校で出しているカードを出した。
ちなみに色はイエローだ。組織は、ブラックだけどほとんど使っていない。
「私が払ってもよかったのに」
「泊まってる僕がこのぐらいしないとね」
僕は、買ったものを亜空間に入れておく。
買い物が終わり、静香の家に向かってる時の事だった。
「亜耶って組織に入ってるでしょ?」静香の言葉に僕は驚いて思考が止まる。
「なっ……」
「入ってるんでしょ?」
おっと、思考がフリーズしていたよ。誤魔化してみようかな。
「いや、入ってないよ?」あっ、声が……。
「ふーん」と静香は冷たい視線を僕に向けてくる。
ふと、後ろから気配がする。静香は気付いていないみたいだけど。
僕は立ち止まって、後ろを振り向いた。
「僕を尾行してるなんて誰だ?」
「あ、亜耶?」静香は急に僕が変わった事を驚いていた。
「気配を隠していたのに気付くとは、さすがはトップ3だ」と言って、しかし一般人にバレるとはな、と鼻で笑われる。
僕はその挑発に乗らずに静香を守る。
「静香、逃げて」
「えっ。でも亜耶がっ!」
「僕は大丈夫。……だって、魔法組織のトップ3だから」ね、と静香に言う。
僕は静香を抱き寄せて、転移魔法を静香にかけてこの場所から逃げさせる。
――僕の戦いが始まった。