13話
僕はなぜか、家を飛び出していて気づいたら近所にある公園に来ていた。
この姿で両親に会うことに抵抗があるから? そうかもしれない。
――特に父さんには"この姿"を見られたくない。やっぱりあの悪魔を恨もうかな。
「はあぁ」
「お困りのようだね、お嬢さん」僕は声のした方へ振り向くと、いかにも紳士的な服装をしている青年が、たっていた。
「いえ……」
「そうかい? 俺にはそう見えたんだが」似非だったのか。
さっきから、凄い気配を感じると思ったらこの人か。
「――目的はなんだ?」
僕の態度が急に変わった事に驚いたのか、それとも別の理由なのかは知らないけど驚愕の表情を浮かべる。
「まあ、僕が関係しているでしょ?」
「魔法組織の人員は優秀だな」
僕は一瞬でその男の背後につき身体を拘束して尋問を始める。
「お前はどこの組織だ?」
「外国の組織」
「あっ。名前はなんだ?」
「――賢治だ」それより、賢治の耳が赤くなっているのはなぜだろうか?
「もういいや。ありがとう、賢治」と言って拘束を解いた。
僕は友人に会うべく、空間移動した。賢治が何か言っていたが、僕は気が付かなかった。
ワープが終わると、玄関の前。
僕はチャイムを鳴らして出てくるのを待つ。扉越しから「今、行きまぁす!」と元気な声が聞こえてきて少し落ち着く。
扉が開く音がして僕を見つめる。
「久しぶり。終業式以来だね。静香」
「亜耶?」魔力波を読んで、僕の名前を言ったのだろう。
「うん」
「どうして、その姿に?」
「新しい魔法を作ろうとして、構成を間違えてしまってね。それで戻るための魔法を創ってるんだけど、なかなか……」
「そうなんだ。夏休みが終わるまでになんとかしないとね」
そう、静香の言う通りなのだ。――夏休みが終わるまでになんとかしなければ、この姿で学校に行かなければならないのだ。
「亜耶。上がっててよ、お茶用意するから」
「うん。……お邪魔しまぁす」静香に気付かれないように気配察知で家の中を調べるが、一つしかなかった。
つまり、僕と静香しか居ないわけだ。――入る前に、無意識に出している魔力を出さないようにした。
静香に言われたように、ソファに座って待ってるのだけど。なかなか来ない。
「ごめんね。お菓子探してた」テーブルに紅茶と様々なクッキーが置かれていく。
「いや、いいよ。お邪魔してるから」僕はそう言いながら、持ってきてくれたクッキーを口に含む。
もぐもぐ、と口を動かしながらクッキーを味わって食べる。
「このクッキーおいしいね」
「そう? よかったわ」
その後も、クッキーを食べながらの談笑は夕方まで続いた。
僕はふと、外を見るときれいな夕焼けが出て夕陽が部屋に射し込む。
「もう、こんな時間かあ」
「今日、私だけだから泊まっていく?」