11話
くっ、並列思考で術式構成と回避をしているけど、かなりきつい。
今、僕と戦っている魔法人は戦闘改良型らしい。…そういえば、なんとなく『KOKU-D』に容姿が似ているな。と、考えている内に氷の矢が左肩を掠めた。
……危ない。余計な事にリソースを割いている場合じゃないね。
洗脳を解く魔法の術式構成は、最終調整をすれば完成だ。回避してるけど、避けられなくなってきてるし…。どうしようかな。
その時だった。――僕の左腕に氷の矢が刺さった。咄嗟に僕は、痛みと云う人間に備わっている生存プログラムを切る。
そうする事で、痛みが感じなくなる。ただこれを切ると生命に関わる事もある。
はぁ、はぁ、と荒い息をしながら相手を見る。
「洗脳を解く鍵となれ!」一瞬の内に『KOKU-G-P』の後ろに魔法で行き、魔法を帯びさせた拳で『KOKU-G-P』を殴って洗脳を解かせて気絶させた。
殴った直後に、女性が動き始めた。――動きと放出してる魔力量を見ると、相当な手練れだと分かる。
僕はちっ、と舌打ちをして後退する。
「役に立たなくなりましたし、私がやらなければなりませんね」と僕の後ろで言って、衝撃波が僕を襲う。
崩れる体勢を魔法で修正し気配を探って、周囲に炎弾を捲き散らす。
「あら、魔法組織のトップ2ってこんなもんなのかしら?」と僕を挑発させる言葉を女性が発する、がそれを無視する。
「うちの組織を倒す事を目的としている組織の要員が、この位の実力ね……そろそろ本気を出させてもらうよ」
僕の言葉を聞いた後、女性はハッとした顔をするが僕は無表情な顔で見つめる。
不意に、焔弾を女性に投げた。
「…そろそろ、名乗ってもらおうか?」と僕は女性の背後に立ち声を低くして言い、首に魔力で形成した刀を添えて、逃げられないように押さえる。
「花織。これが私の名前よ」女性――花織は観念した様で、やっと自分の名前を言った。
「花織……僕を襲ったのはなぜだ? 命令か自分でやったのか、地位は?」刀を首に添えたまま僕は尋問する。
「命令よ。他は言えないわ…っ」くっ、僕とした事が! 逃げられないように押さえてたのに、すり抜けられてしまった。
焔弾をあえてターゲットを決めないで発射させて、花織の反応をうかがう。――瞬間移動の術式構成を感じる。
「させるかあああぁ!」焔弾を直撃するコースで放った。
「避けられなっ!?」着弾すると同時に爆風が起こり辺りを薙ぎ払う。
僕は、魔力反応が微かにしているのを確認すると組織へと戻るのだった。
勝手でございますが、この話を最後に受験が終わるまで『停止』とさせていただきます。