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第39話 銀髪弓使いはレベルから

「入るのね」


 セリニの宣言を聞いたアルーセは肯定的に捉える声と表情を見せていたが――


「うっかりしてたわ」


 何かを見落としていた様子となった。

 それを直に見たセリニは突然起きた事に困惑していた。


 ――ど……どうしたんだろう?

 アルーセの内で一体何が起きたのか分からないセリニであったがある予想が脳裏に姿を見せた。


 ――わ……わたし……調子に乗り過ぎました?

 数秒前にアルーセに自身が決めた事を口にしたがその際のとても明るい声を出していた。

 友人である爽陽に対してならともかくとして数分前に出会ったばかりの人に向けるものではないのでは?

 そんな考えにセリニは至った途端に思考が混乱へ繋がる。 


 ――失礼だった……ですよね。 

 同時に全身が縛られる様に硬直して冷汗を感じたセリニはどうするべきかと思い詰められる最中に新たなアルーセの声が身体に届いた。


「レベルの事を聞き忘れてたわ」


 アルーセが語り始めたのはゲームに関わる事であった。


「レベル……ですか」


 聞いた途端に驚いたセリニ。そして身体が不可視な拘束から解放された居心地となった。

 話の流れに唐突さを感じていない、何故なら今いるのはゲームの世界なのだから――されども。


 ――早とちりした。

 心の中で早合点していた事をセリニは恥じていたその最中もアルーセは話を続けていた。


「セリニちゃんのレベルはどれくらい? わたしは20よ」


 聞く事と並行して自身のレベルを明かしたアルーセ。


「20……」


 その情報が頭の中に入ったセリニであったがそれが不思議に思えた。


 ――ゴブリンに一撃で倒されていたよね?

 魔法が直撃して倒される。それがアルーセとの最初の出会いであった。

 その光景に驚きがあった故にセリニは疑問を感じる。


 ――レベル20なのに……魔法で倒される……。

 自身の二倍以上のレベルがあるのなら、ゴブリンの一撃なら耐えられる。ゲームでの経験からそう思っていたセリニ。


 ――モンスターと戦っていた……とかかな?

 だがこの場所に来るまでアルーセがどうしていたのか分からないセリニは事前にHPが減っていた可能性を考えた。


「けどHPが満タンなのにゴブリンに一撃で倒されたのは……」


 しかしアルーセはそれを否定する事を口にすると、一時敵にこの場から退場した理由を語り出した。

 話の流れに驚いたセリニであったがどうして倒れたのかと、話の続きに耳を傾ける。


「MPにポイントを振っているからよ」


 開示されたそのステータスはセリニにも身に覚えがあるものであった。


「アルーセさんもなんですか?」


 何せセリニ自身も同じ様なステータスの振り方をしている為であった。


「使うスキルのMPの消費が早いのよ。それにさっきは油断したけど、身を護るスキルもあるわ」


 一通り自身の事を話したアルーセは「セリニちゃんのレベルは?」と先に話していた事を口にする。

 聞かれたセリニは少し前に自身のレベルを確認していた為に即座に答えた。


「わたしのレベルは……8です」


「8……」


 セリニが明かしたレベルを聞いたアルーセは驚きの表情を浮かべる。


「一桁のレベルであの速さ」


 その驚きは声としてもセリニに届いた。


 ――疾走力にステータスを多く振ってます。

 レベルに反して早く動ける理由は自身がよく知っている為に少しの恥ずかしさを感じながらも驚きはない。

 しかし現在のレベルを聞いていた事がどの様な意味があるのか分からなかったセリニは下手に口を開かずに相手の言葉を待つ事にしたのも束の間、アルーセはレベルを聞いた理由を話し始めた。


「だけどそのレベルだとまだミストフォルスに入れないわね」


「もしかして……制限があるんですか」


 プレイヤーのレベルを上げる事で要素が増えるゲームを遊んだ事があるセリニはアルーセが何を言いたいのか何となくだが理解できた為にその事を訊ねた。


「そうよ、ミストフォルスに入るにはレベルが10以上である事が条件よ」


 その予想は当たっていた。それを聞いたと同時にある疑問が脳裏を過ぎたセリニはアルーセに尋ねた。


「ギルドと創作……機関でしたよね、入るのにも同じ条件が必要なんですか?」


 それは純粋な興味心からの質問であった、それに対してアルーセは直ぐに答えた。


「不要よ、レベルが必要なのはミストフォルスだけ……もしかして、創作機関にも興味があるの?」


 そう聞かれたセリニはどう返答するべきか数秒悩んだ後に応じた。


「興味は……あります……入ったらどうなるんですか?」


 組織の名前から色々と物を作る事が出来そうだと思い。それは楽しそうだと考えたセリニにアルーセは楽しそうに応じる。


「入るだけで色々な恩恵が受けられるわ」


「恩恵?」


「ええ、採取可能回数が増えたり、倒したモンスターからアイテムのドロップ率が上昇、アイテムを作成する時には必要なアイテム数が減少したりと色々とあるわ」


「色々ですね」


 聞いた情報だけでも所属する事に価値があると思えたセリニであった。


 ――だけど色々と出来過ぎなような?

 されども所属するだけでそこまでの恩恵を受けられる事に一抹の不安を密かに抱いたセリニ。


「けど人によってはデメリットになる要素があるのよね」


「デメリット……どんなのですか?」


「まずモンスターを倒して得られる経験値が10分の1まで減るわ」


「そんなに減るんですか!」


 デメリットと聞いた直後から様々な事を想像していたがそこまで極端なものなのとは考えつかなかったセリニは驚愕の声と表情を見せる。


「そうよ、だから戦闘が好きなプレイヤーが所属のはオススメしないわ」


「そうですね」


 アルーセの意見と一致したセリニ。


 ――決めた……創作機関には所属しない。

 ――やっぱり……ミストフォルスに入ろう。

 これから積極的に戦闘をしてレベルを上げて強くなる事を決めていたセリニは心の中で再び自身の選択を発した。


 ――だけどカンストしたら。

 しかし大半のゲームにはレベルの限界がある。


 ――所属する選択もあるかな?

 故に経験値が減るデメリットがデメリットでは無くなったタイミングで創作機関に入るのもありかもしれないと思ったセリニ――だが物事がそう都合よくならない事をアルーセから知らされる。


「それに直接的な戦闘能力も下がるのよ」


「――下がる?」


「そうよ、()()の最終的なダメージ量の倍率が下がるのよ」


「どのくらい……ですか?」


「10分の1よ、後衝戟力(しょうげきりょく)を全く与えられないわ」


「そんなにですか!」


 そこまで与えるダメージが下がるとは予想していなかったセリニは驚きの声を出した。


「与えられる……ダメージ量がそこまで減って……経験値も減る……レベル上げはどうするんですか?」


 ミストフォルスに入ると既に決めていたセリニであったがそこまで極端な調整がされていると知ってしまうと疑問が口早に噴出する。


「アイテム関連の事をすると経験値が得られるわ」


「え……そうなんですか」


「そうよ、アイテムを作成したり、アイテムにスキルを付加、馬車でアイテムを町まで運んだり」


 ――その方法……ですか。

 アイテムを作成する事でより良い物を作る為に必要なレベルが上がるゲームを遊んだ経験があるセリニは即時に納得する。


「後、素材の採取が最も重要よ」


「採取?」


「採取する場所で経験値の量が変わるの。基本的に町から離れてモンスターが蔓延る危険な地帯な程、高い経験値が得られるわ」


「そこはモンスターを倒すのと同じですね」


 聞こえた情報に対して感想を口にしたセリニだが疑問が現れる。


「ですけど……その……モンスターを倒せるんですか?」


 それは創作機関に入るだけで与えるダメージ量が激減する事を知った故に思った事であった。

 フィールドを進む最中にモンスターが道を阻むのは一日目でありながらもセリニは経験済みであり、それらを倒すのに時間が掛かるのは非常に困ると感じた。

 

「わたしが直接倒すのは難しい……じゃなくて無理ね……トラップモンスターを引いたら一瞬で倒される。けど他の方法はあるわ」


「――どんな方法ですか?」


 その方法に興味を持ち、聞きたくなったセリニにアルーセは応じた。

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