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フォニックス 光と闇  作者: ことこん
第十五部 最後に立っていたのは
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第四部 技神会議

 ここは、犬の国、宮殿。今日ここで大切な会議が執り行われる。しかし…

「全く、あいつは世界をフラフラと旅して今回も来ない気なのか?どうして務めを果たしていないあいつが辞めさせられないのか不思議でしかない」

手元の時計を見て苛立っているのは(しゃち)の技神、キセイだ。それを見てラッコの技神、キロンが笑った。

「ふふっ。分かってないな、君。あの子は別にここで聞いてなくたって今から何を話そうとしてるのか大体分かるんだよ」

2人とも水中に暮らしていて、水着が普段着らしい。そうは言っても流石は王族、水着なのにドレスや正装に見える。彼かは自分たちを水で囲んでいた。床や備品を濡らさなかったら問題ないだろう。事実、陸より海の方が広いのだから、本当は陸より海の国の人口の方が多い。…あと1分で始まりそうだ。今回はキワルが司会だ。この会議で口喧嘩にならなかった試しは無いが。

「それでは、第「君ー、オレの年齢がバレるからそこは言うなー」技神会議を始めます。今回な主な議題は「ベルナラについてだろう?今日私はその為に来たのだ!」…です。皆様、まず意見「はーい、ベルナラは四つに分けられてばら撒かれた…筈だったのに、それが三つ一つの所に集まっているのは良くないでーす」ありがとうございます。他に意「こらキロン、先を越すな!」…意見の時「えーだって説明最後まで聞くのめんどいじゃん」だから意「お前のそういう所がいけないのだ!」意見「うるさいなー、オレ堅苦しいの嫌いなんだよねー」うっさい!話聞けや!」

とうとうキワルが怒り出した。いつもならここで喧嘩が勃発する。でも、今回はこちらが黙っている訳にはいかない。

「皆さん、落ち着いてください。今日は話し合いをしに来た筈です。あと…ベルナラ様を、何故分けるに至った。理由によっては、「それがいけないんだよ君は。ベルナラの本名は誰も知らない。ただ、かの神殿のベルが鳴ったその時本領を発揮することからついた異名ってだけだよ。確かにベルナラは最強だ。誰も勝てない。それだけならオレもただ見守るだけだ。でも、ベルナラは優し過ぎた。目に映る者全てを助けようと、悪人を解放したり罪逃れさせたり。君も馬鹿じゃない。あいつがいると悪人がはびこる世界になっちゃうんだよ。それでも納得いかないのか」

僕は立ち上がった。キワルの呼び止める声ももはや耳に入って来ない。

「別にベルナラ様はただの悪人を助けていた訳じゃない。それが分からないのなら、もう話し合う必要は無い」

僕は瞬間移動でこの場を去った。


 ギーヨ…私はただ、ギーヨのいた所を見つめるしか無かった。こうすることは事前に聞いていたが、ギーヨの行動を見て初めて実感が湧いた。キロンが不機嫌そうだ。もう帰る、と呟いて消えてしまった。それに乗じてキセイもいなくなり、そこに立っているのは私だけだった。

「あいつらはいなくなったぞ、ギーヨ」

ギーヨが再び姿を現した。

「キワルを巻き込みたくは無かったのですが、今回の議題を加味し猫の国では開催されませんでした。今なら逃れられない訳ではありません。…どうしますか?」

「いや、私もベルナラ様に助けられた。こんな形でしか恩の返しようがないだろう。あいつらは遠くから見ていただけだから分からないんだよ」

「しかし、やはり出さねばならない様ですね、こちら側の奥の手を」

「本人は忘れているからこんな事に付き合わされると思ってもいないだろうが」

ギーヨは遠くを見つめた。一体何を見ているのか、私にも分からなかった。ベルナラは肉体と魂を切り離し、さらに魂を四つに分けてそれぞれ違う生命に…絶対にお互い出会う事は無いだろう生命に宿した。しかし、死ぬ筈だったのに生きていたり、人生を変えられたりして、出会ってしまった。関わっていたのは時の館の主人。あいつはベルナラの復活を望んでいるのか?ちなみに、ベルナラの肉体の場所は不明だ。あいつらが隠しているのかもしれないし、既に消えているのかもしれない。だが、ベルナラ様は魂だけでも復活出来ればあとはどうにできる。

「ただ、ベルナラ様自然な流れでそのうちの一つが二つに分かれている様な気がします。あれを一つにまとめておくのは他の三つで抑えつけない限り無理だったのでしょう。余計に厄介な事になりました」

「だが、一つでも欠ければベルナラ様は感情の均衡を保てなくなるだろう。これは、陸上と海中の国同士での腹の探り合い。向こうも完全にベルナラ様の事を知っている訳じゃない。勝算は五分五分って所だな。あの人が旅に出てなかったら話は別だっただろうが」

「そうですね。慎重に行きましょう。ベルナラ様は犠牲を払ってまで復活する事、望んではいないでしょうけど。残念ながら、僕たちではベルナラ様になれなかった。…さらに苦労を増やす事を許してください。今、僕たちは、たとえどんな苦しみがあっても『皇帝』と『君主』の力を借りる必要があるのです。

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