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フォニックス 光と闇  作者: ことこん
第十五部 最後に立っていたのは
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第二部 破られた技

 僕たちは急いでみんなの元へ向かっていた。心配かけた分、ちゃんと貢献しなきゃ。病院との距離はそんなに無く、すぐについた…のだが、この黒い半球はなんだろう。みんなのいた所をすっぽりと覆ってしまっている。レクフォンの技と考えるのが妥当だけど、こんな種類の技見た事無い。こういう時は、なぜかコウが知っていそうな気がする。僕はコウに電話した。忙しくて出られないかもしれないとも思ったけれど、きちんとワンコールで出てくれた。

『ええと、もしもし、ソウマさん。どうしましたか?』

コウの敬語も随分板に付いてきたみたいだ。最初はちゃんと覚えられるのか不安だったけど。

「あのさ、黒い半球がみんなのいた所を覆ってるんだけど、そういう技ってあるのかな?」

『うーん…朧げな記憶ですけど、確か指定範囲内の環境を自分が有利な様作り替える空間術っていうものがあった気がします。それの中はどうなってるんですか?』

僕は恐る恐る中に入ってみた。すると、全てが真っ黒で、シン君とレクフォンが戦っているのが音と妖気で分かった。僕はとりあえず外へ出た。

「とにかく真っ暗だったよ。レクフォンは闇属性だからかな?」

『発動者本人はそういうマイナス効果を受けませんから、暗ければ暗い程有利になるのでしょう。…中に入れるということは、未完全な空間術かと。ならば、妖気を取り去って仕舞えば消せます』

「ありがとう。やってみるよ」

僕は電話を切り、カバンにしまってそのカバンも安全な所に見張りのハエトリソウをつけて置いておいた。僕は妖気によって動くものを思い付いた。フウワさんのテールハンドと、僕の植物だ。僕は先程のハエトリソウの妖気を僕からでは無くこの技から取るように意識してみた。すると、どんどん技の妖気を吸っていってくれた。フウワさんも気付いてくれたようで、同じ現象が起こっていた。僕は効率を上げるためにハエトリソウの数を増やした。真っ黒だった半球に少し隙間が出来た。よし、このまま行けばみんなも自由に動けるようになる。とはいえ完全に消すのには時間がかかりそうだ。ハエトリソウから余った妖気を貰い、その妖気でハエトリソウを増やすのを繰り返してはいるけれど、一本のハエトリソウが吸える妖気の量にはどうしても限界があり、せっかく数を増やしてもその分回収しなければいけなくなり結局増減プライマイゼロになっているのが現状だ。そう思っていると、1番遠くにいたらしいスインさんが僕にぶつかりながらも出てきた。スインさんはぶつかった事を謝ると妖気を溜め技に変換し始めた。確かにそれも良い方法だ。視界が開けた時すぐに攻撃出来そうだし。次に出てきたのは意外にもキリーさんだった。切羽詰まった顔をしていた。

「セレン様は何処ですか?」

「そ、それよりまずこれをどうにかしないと探せな「では協力させて頂きます!」

余程慌てているのだろうか。セレンちゃんの事だから月の力を失ってもそう易々とやられそうにはないけれど。2人増えただけでずいぶん早まった。単純計算で2倍なんだからそりゃそうか。もう半透明にまでなり、みんながはっきりと見えた。キリーさんはセレンちゃんの方に駆け寄っていった。その代わりみんなも協力してくれ一瞬で視界が晴れた。レクフォンと1人で戦っていたシン君はそれを確認するや否や張り詰めた糸がぷつんと切れたように倒れた。レクフォンに攻撃されそうな所をライトさんが救ったが、ライトくんが一瞬遅れて技を受けてしまい、2人は吹き飛ばされてしまった。僕たちはレクフォンに向かって行った。エント君は炎を身に纏って突っ込んで行った。フウワさんはテールハンドを出し、アインちゃんはセロさんに説教されており突っ込んで行くことは無かった。セグリアさんは技を避けつつ前に進んで行った。僕も行きたかったけれどライト君とシン君を助けに行った。幸いそんなに遠くまでは飛ばされていない様だった。ケイルさんも同じように後ろを走っていたのに追い越された。…歩幅かな?僕が辿り着く頃にはライト君は起き上がっていた。シン君はケイルさんがヒョイと持ち上げて運んで行った。ライト君は立ち上がった。僕は心配したけれど目立った怪我は無く、少しホッとした。もし足に当たっていたら、スピードが失われる所だっただろうし。これは運が良かったという事だろう。スインさんは先程から溜めていた技を発射した。レクフォンには当たったけれど、決定打にはならなかった様だ。流石のしぶとさだ。ライト君は走って行ってしまったけど、本当に大丈夫だったのだろうか。そういえばツーハちゃんを見かけないなと思ったら、空の上でカリちゃんと言い争いをしていた。僕は止めに入りたかったけれど残念ながら飛ぶ事が出来ない。どうしよう、あの2人。その時、エント君がこちらに飛んで来た。僕は慌てて受け止めようとしたけれど、やっぱり無理で思いっきり後ろに倒れ込んでしまった。

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