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フォニックス 光と闇  作者: ことこん
第十四章 絆は見えないけれどやっぱりある
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第二部 兄弟ってやっぱり似るらしい

 ソウマが全然起きない。不安で不安でどうしようも無くて、戻って来たエントを懇願するような目で見てしまった。エントは意を決したような顔をしていた。

「フウワ、今のソウマから妖気を感じるか?」

…確かに、ソウマの妖気が…弱い。余計に狼狽えてしまった私を見て、エントはソウマをおぶった。

「やっぱり、何処かおかしいと思うんだ。俺はソウマを一応病院に連れて行こうと思う。フウワは付いて来るか?私は声が出ず、縦に首を振る事しか出来なかった。エントは私が肯定するのを分かっていたようで、ソウマが重い筈なのに私の手を引いて走り出した。あまりの速さに付いて行けなくなりそうで、ちょっと速すぎるぞ、と言おうとして、やめた。エントの横顔がいつに無く真剣なものだったからだ。私は一生懸命エントに付いて行った。


 エントがソウマをおぶってフウワと一緒に何処かに行ってしまった。ハスもそれを見ていたようで、不満げな顔を俺に向けて来た。

「3人も減っちゃったのに、勝てるの?」

「きっと、いや絶対、大丈夫だ。3人減っても、他の奴らが来てくれるさ。あの3人を咎めはしない」

「ええ?でも、来る気配なんて全然しな「またお会いできて嬉しいよ」

まさにその時だった。目の前には、今挨拶して来たマジシャンみたいなのに…エヴェルとハクムさん!?

「本当は来るつもりなど毛頭なく、そもそも行けなかったのだが、ムルルが背中を押してくれた」

「あれ、ムルルって、寝てるんじゃ…?」

「正確には、半分起きてる。トルキを置いていけば行けるらしいので来た」

どうやらトルキには会えないようだ。

「何故親の仇に会えなくてガッカリしてるんだ?」

「変かもだけど、親父の話聞けんの母以外にトルキしかいないし。それに、今の俺は、誰を恨めばいいのか分かんねえ。トルキはエヴェルに操られていた。でも、エヴェルは時の館の主人に操られていた。じゃあ、時の館の主人を恨めば良いじゃ無いかとも思ったけど、なんか納得し切れなくて。親父は、どう思って死んでいったんだろうな。でも、きっとトルキの事は恨んでいないと思う。少なくとも、俺の見て来た親父ならな」

「…そうか。だが、俺たちの罪が消える事は無い。どこまで行っても人を殺したという事実は付き纏って来るんだよ。消した命が帰って来てくれる訳でも無いしな」

エヴェルの言葉に、ハクムさんは心底意外そうな顔をしていた。マジシャンみたいなのは既に戦っていたので、俺たちも流石に戦い始めた。レクフォンよりは劣っているのかもしれないが、やっぱりエヴェルとハクムさんは強かった。お互い認めたく無いのかもしれないが、立ち姿はすごく似ていた。ハクムさんはなんかアニメで出て来そうなかっこいい剣を持って攻撃していた。もちろんみんな凄いのだけれど、師匠の凄さには思わず舌を巻いた。常に相手の動きが予測できるので、ノーダメージで的確な攻撃をしていた。多分、操られていると尚更読みやすいのだろう。特殊能力恵まれすぎて無いか?俺なんて足が速いだけだ。しかし、レクフォンの素早さで予測してから避けるまでの時間が無く、攻撃が当たり始めて来てしまった。そこにセロさんが助けに来たが、2人纏めて弾かれてしまった。この2人も動きがそっくりだ。もしかしたら、俺とエントも似ているのかもしれない。自分たちが気づいていないだけで。レクフォンの妖気は衰える事を知らない。対して、俺たちの妖力はだんだんと擦り減っていく。人が増えてもこんなに苦戦するとは、やっぱりレクフォンは強いようだ。みんなで地道にダメージを与え続けているということ状況だ。仕方ないとはいえ、3人にはいて欲しかった。でも、色々な人が集まって来た。

「来たよ。今日は元々店だったんだけど、休みにして来た。役に立てるような気がしないけれど、よろしくお願いします」

ケトクだった。店休んだって、大丈夫なのか?来てくれたのは嬉しいけどさ。レクフォンの技を割と身軽に避けていた。体が小さいからか?失礼だけれど。で、ケトクは一体どんな攻撃をするのかなあと思いきや、レクフォンを思いっきりぶん殴っていて目から鱗だ。意外過ぎる。デッカいハンマーを軽々と持ってウンモがやって来てケトクに加勢すると、中々斬新な絵柄になった。しかし、シムがやって来た時の喜びは小さかった。そこら中から蜂が出て来て、あまりに壮絶な光景に絶句してしまった。シムはもうちょっと冷静になってみるのが大事だと思う。こいつあんまり友達出来んだろうな…。シムは俺たちのそういう目線でさえも虫に夢中で気づいていない。もうここまで突き抜けてしまったら何も言えない様な気がするが。フェルクも来ていたが、そんなに目立ってはいなかった。本人に言ったらぶっ飛ばされそうだが。エヴェルの時みたく全滅しかけない様にしないとな。俺はレクフォンの動向をしっかりと観察し、隙が出来たら走り出した。戦いは結局攻撃しないと倒せないのだ。

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