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フォニックス 光と闇  作者: ことこん
第十四章 絆は見えないけれどやっぱりある
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プロローグ 意味深な寝言

 突然、ソウマがよろけて倒れた。狐は全員倒し終わっていたので、俺は慌ててソウマの方へ駆け寄った。上から覗き込むと、技を受け続けたせいか服が所々破れていた。顔を見ると、寝ていることが分かった。何だ、びっくりした。俺はソウマをカリやハスのる安全地帯へと運んだ。丁度入れ違いでカリとハスが出て行ったが。俺も戦わなきゃいけないし、ソウマをずっと見ていることはできない。俺が立ち去ろうとした時、驚くような寝言が聞こえて来て思わず立ち止まってしまった。

「…エント、君。もし、僕が、いなくなっ…たら、フウワ、さんの、事、よろしく…ね…」

寝言なんだから気にする必要なんて無い…よな?その時、当の本人、フウワがやって来た。やっぱり深刻な顔をしていた。

「ソウマ!大丈夫なのか?遠くからだが倒れたのを見たぞ!」

フウワは寝ているソウマを見た。すると、大丈夫だったという事が分かったらしくホッとしていた。ソウマの不思議な寝言が再び始まった。

「フウワ、さん。もし、僕がいなくなっ、たら、僕の事、忘れて」

フウワは泣きながら怒り始めた。寝ているソウマの肩を持ち何度も揺する。

「何言ってんだよ、ソウマ!ずっと一緒にいるって、約束だったじゃ無いか!」

ソウマは寝ている筈なのに涙を流していた。もう、ソウマが話す事は無かった。フウワは涙を拭ってソウマを心配そうに眺めていた。俺は、放って置けない気持ちもあったがレクフォンを倒す為にアインの隣に立った。目で兄者を探し、それを追うようにレクフォンに近付いた。あれから、ずっと自分のバトルスタイルについて考えて来た。見つかったのかと問われれば、答えはノーだ。でも、最近みんなを見ているとそんなに考えなくても良いんじゃ無いかと思えて来る。例えば、スインは基本遠距離攻撃だが、近付いて来た相手には蹴りを入れている。多分、一つのものを極めるだけじゃ勝てないんだと思う。もちろん、究極まで極めまくった奴に関しては話が別なんだろうけど。それなら、1番やりやすい方法で戦えば良いと最近は思っている。俺は走りながら穴を探す。何の穴かは、言わずもがなハスが開けた穴だ。俺はそこに潜り込んだ。すると、中は想像の2倍以上複雑だった。でも、これを利用しない訳には行かない。俺は勢いよく突っ込んで来たハスと危うく衝突しかけた。

「危ないなあ。ぶつかってたらどうするつもりだったの?間違えて僕の穴に落ちて迷い込んだの?」

俺はハスに作戦の概要を伝えた。ハスは良いけど、と短く答えると地上に出て行った。俺は炎がするように周辺の温度を上げ続けた。正直に言うと俺も暑い。だが、ここで引き下がる訳には行かない。俺はかつてソウマに教えてもらった通りにレクフォンを探した。今丁度立ち止まっている。すかさず、俺は火山のようにレクフォンに向かって炎を発射した。流石のレクフォンでも足元から炎が噴き上がって来るとは思っていなかったようで、ちゃんと当たってくれた。だが、二度も同じ手には引っかからないだろうし、妖力の消費もそこそこあるので、ハスに礼を言って地上に出て来た。ハスには暑いと文句を言われたが。レクフォンはこれで倒れる事は無かった。まあ、そうだよな。こんなんでやられてたら誰でも倒せるよな。事前に分かっていた事ではあったが、落胆は隠し切れない。レクフォンは完全に俺を標的にして来た。俺は慌てて飛んで来た大量の技を捌いたが、それが囮だと言う事に気付くのが遅すぎた。俺も同じように不意打ちをくらった。俺が吹き飛ばされると、丁度フウワとソウマがいた場所だった。フウワは心配そうだった。ソウマはまだ起きていない。あのソウマが戦闘中にこんなに寝るなんて珍しいな…と思っていると、レクフォンの妖気が近付いて来ているのに気付きソウマ達を巻き込んではいけないので直ぐに戦っていた所に戻った。レクフォンはシンのようにライオンを呼び出して俺を襲わせて来た。なんか、懐かしい。最初の依頼、つまりソウマと出会った時にスインがライオンと戦っていた筈だ。そう思った瞬間余計に心配になる。目の前には相手がいるのに、ソウマの事が気になって仕方がない。このままじゃやられてしまうのは分かっているのだが。俺が集中出来ていないのに気付いたのかスインが射撃でライオンの目を潰して俺を助けてくれた。俺はお礼を言おうとしたが、スインが珍しく怒り顔で思わず絶句してしまった。

「エント君。なんでこっち来たんや?」

「え?」

俺は拍子抜けした。てっきり上の空で戦っていた事を咎められたのかと思っていたのだ。

「大事な友達、ソウマ君が心配なんやったら、そこにおったらええ!戦っても集中できんやろ!」

俺は急にソウマの所へ行きたくなった。いや、本当はずっとあそこにいたかったのに、無理矢理こっちに来ただけか。俺は辿り着いた時、やっぱりソウマは眠っていた。フウワは不安そうに俺を見る。やっぱり、来てよかった。

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