表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フォニックス 光と闇  作者: ことこん
第十三章 ヒスラとレクフォン
65/75

第五部 振り切った者

 何が…起きたの…?あれだけ頑張ってもびくともしなかった鉄格子が、気づけば忽然と消え失せている。僕が戸惑っていると、どこからともなく声が聞こえて来た。

『聞こえるかな?ゼノ君。ボクは時の館の主人って言うんだ。よろしくね!今日はね、君と交渉をしたいんだ。簡単な話だよ。外に出られる代わりにボクの部下になるか、一生ここにいるか。あーでも、後者を選ぶと君が大好きなシャニー君とオサラバしちゃうけどね!』

怪しい。だけど、本当にシャニーが殺されてしまうのなら、この人の部下になるしか無いのか?だめだ、仕組まれている様な気がする。

「本当にシャニーを殺せるのかよ!」

『まあ、普通なら証拠欲しくなっちゃうよね!んー、どうしよっかなー』

「嘘だろ」

先程までの無垢な少年から発せられたとは思えない程に鋭い声は洞窟内に響き渡った。

『もー、そんなに怒らないでよー。正直に言うと、シャニー君はどっちを選んでも殺せないよ!いやー、こんなに苦労する子久しぶりだなー』

「俺はここから出て行く。だから、お前はさっさと諦めて他の奴を当たるんだな」

『そうなの。でも、そこからどうやって出ようって言うの?君の体は日光に弱いんだよ?』

「うるさいな。それくらいちゃんと考えてるよ。良い加減にしろよ」

だんだんと口調が荒々しくなりながら、俺は出口へと走った。外へ出ると、鬱蒼とした森。日光はあまり無かった。初めて見る外の世界に感動するのもそこそこにして、あいつから逃げるように先へ先へと進んだ。やがて町が見えて来た。あいつの声は聞こえなくなっていた。しかし、あの洞窟へは戻ろうと思わない。俺は暗い裏路地へと足を運んだ。誰もいないだろうと思っていた。しかし、少し幅のある所に出ると大勢の男達がいた。なんだか奇抜な格好をしている。そいつらは俺を見ると怒り始めた。

「お前みたいなガキが俺らのシマに入ってくんじゃねえよ!ボコボコにされてえのか!」

「うっせえな。誰かが近づいて一々目くじら立てるとか、どっちがガキだよって話だ」

余計に相手を怒らせたようだがまあ良い。これでもし戦いになったら、自分の力がどれくらい通用するのか量ることが出来る。案の定相手は襲って来た。しかも、5人一度に。大人気ない奴らだ。俺は走ってみた。ずっとあそこにいた筈なのにこんなに早く走れるとは。俺は少し感動しながらも相手の拳を掻い潜り、反撃の蹴りを入れた。大人の筈なのにその一撃でよろけてしまった。こんな程度なのか?俺は少し裏切られたような気分になった。俺があっという間に襲って来た5人どころか全員倒してしまった。1人が持っていた刀に俺の姿が映る。いつもは真っ白な体に違和感がある赤い目をしているのに、今の俺は血のせいで体の所々も赤くなっていた。どうやら、俺はやらかしてしまったようだ。でも、空腹なのに気付くと罪悪感も消し飛んでしまった。丁度そいつらが溜め込んでいた食料を頂戴した。俺は自由になったと、その時実感した。俺はリーダーらしき奴の顔を覗く。明らかに怯えている様子だった。

「おい」

「はっ、はい!」

「命だけは助けてやる代わりに、俺の部下になれって言われたらどうする?」

明らかに困惑している目だった。1人が「生意気な」と呟くと、そいつをさらに蹴り飛ばしてやった。その場は凍りついた。

「わっ、分かりました!何でもします!」

成程、人は恐怖で支配出来るのか。それなら、俺も少しは夢を持っても良いよな?

「お前ら、よく聞け。俺はこれから、この町の支配者を目指す」

ざわめきが起こった。確かに、側から見たら妄想が激しい少年だ。しかし、俺はそんなバカじゃ無い。

「なあに、簡単な事だ。お前らみたいな奴を部下にして行って、圧倒的な力を持てば他の奴らはひれ伏すしか無い。お前ら、戦いくらいは出来るだろ?」

反応が薄いな。まあいい、これから少しずつ信頼関係を築いていけばいい。その時、他の集団が来た。こいつらは全員下がってしまった。確かに、人数も感じる妖気もこいつらより上だ。俺は駆け出した。

「何ビビってんだよ、お前ら。そんなんじゃ」

俺はどんどんと相手を蹴り飛ばして行った。

「下剋上なんて、夢もまた夢だぜ?」

そう言うと同時に全員倒し終わった。すると、歓声が辺りに響き渡った」

襲って来た奴らもまた部下になった。

「お前ら、この町の勢力について知ってる事あんのか?」

すると、参謀のような奴が前に出て来た。

「抜きん出て恐ろしく強い集団がい「じゃあ、そいつらの居場所教えろ。とっとと乗り込むぞ」

全員が驚いていた。

「だって、回りくどい事してても時間の無駄だろ?俺はさっさとこの町を乗っ取って、さらに高みを目指したいんだ。下剋上はスピード感も大事だ。着いてこいよ?お前ら」

「「は、はい!」」


 こうして、ゼノは見事時の館の主人の支配を振り切り、下剋上を目指し始めたのだった。これらの出来事がフォニックスに関わって来るのかどうかは分からない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ