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フォニックス 光と闇  作者: ことこん
第十三章 ヒスラとレクフォン
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第二部 百鬼夜行とアイン

 私の置いた氷たちは光を反射してキラキラと輝いている…そう、私の狙いは遠距離攻撃ばかりで移動しようとしていないレクフォンになるべく光を当てて弱らせるというものだ。氷だから意味無いかな…?と思い、キョウさんを思い出しながら鏡の破片を置き直すと、レクフォンの技の威力が心無しか弱まったような気がする。気のせいかな?この戦法は、普段の相手には絶対使わないだろう。しかし、冷静さを欠いている今のレクフォンならば通用するかもしれないと思った。私は少しずつ数を増やしていく。やがて、姉さんの技で打ち消せる程度にまですることが出来た。まあ、あくまでも姉さんだから出来るというだけで、他のみんなはそうでも無いのだけれど。レクフォン、びっくりするくらい私に気付かない…。私は妖力も考えてこのくらいにしておいた。シン君は陰に入り、自分の影を本物の狐の形にして見せた。全身真っ黒なのに、目だけが紫だった。シン君はそれを操って技が飛んで来て戸惑っているヒスラを自分の元へ回収した。ヒスラは名残惜しそうにしていたが、致し方ないだろう。シン君はヒスラを安全地帯まで運ぶと狐を元の影に戻した。あれってあんな使い方が出来たんだ。シン君はもう何度も見た技を目の前でやってみせた。…百鬼夜行だ。私が驚いていると、シン君は何故か不満そうな顔をした。

「なんであいつらが出来る事を俺がやって驚かれなきゃなんねえんだよ。これ、なんでこんな名前付いてるのか覚えて初めて知ったぞ。元々霊属性の技で、使うとその土地にこびり付いてる想念が大量に付いてくるらしい。だから、少ない妖力で大きな威力を出せると評判らしいんだが、…なんか、複雑だな」

それはそうだろう。人の思いを利用するなんて、少し申し訳ないような気がする。それでも、シン君はレクフォンにその技を放った。本当に想念が付いて行ったのかは見えなかったけれど、何となくそんな気がした。場所に強い執着を持っている人も沢山いるのだろう。私もそうだ。もしかすると、私が住んでいた街には私の想念がこびり付いているのかもしれない。それが悪用されているのなら腹立たしいが、誰かの為に使われているのなら、少しだけ気持ちが浮かばれる気がする。百鬼夜行は、一見すると悪い技に見えるけれど、案外いい面もあるのかもしれない。シン君の百鬼夜行も、おそらく賑やかなものなのだろう。私は少し前向きな気持ちになり、ロッセオがくれた薙刀を持ち直した。これは師匠に壊れた方の薙刀を渡しに行った時の事知った情報なのだけれど、この薙刀は『鈍化』という特殊状態を相手に付与出来るものらしい。しかし、それを発動させるのには条件があるらしい。それは、『その攻撃が最初の一撃である事』。つまり、一発目を外してしまうとその効果は得られないという訳だ。難しいので、成功する事を期待して使う事は無い。普通に威力高いし。レクフォンは確実にダメージを受け続けている筈なのに、全く疲れを見せない。操られているのもあるのかもしれないが、元々強いのだろう。私はレクフォンに向かって走り出した。向かってくる攻撃を薙刀で弾き続け、遂に辿り付いたと思ったら想定以上に強い攻撃が来て押し戻されてしまった。そう簡単には行かせてくれないか。当然だろうけど。その時、私の肩に黒い鳥が止まった。一瞬カラスかと思ったが、黒い(わし)だった。…シン君、ありがとう。本人直接言うと照れてしまいそうなので、この言葉はあえて心の中に留めておいた。私が走り出すと、鷲が私を掴んで空高く飛び上がった。足が着かず、しかも宙吊りの状態なのが少し怖く、少しの間硬直してしまったが、すぐに気を取り直した。私はレクフォンの技の合間を縫って鷲に急降下するように言い、すれ違いざまに一撃当てた。紫の弧が現れた。成功したようだ。しかし、レクフォンはその分速く動いているのか変わらなかった。その時レクフォンはようやく私の置いた鏡の存在に気付いたようで、破壊されてしまった。鷲は疲れてしまったようで、私を少し離れた所に下ろすと影に戻ってしまった。その時、丁度ツーハちゃんが降りてきた。いつもの姿に戻っている。力を使い果たしてしまったようだ。こんな感じだけれどまだまだ子供。休憩が必要なのは仕方ない事だろう。私はレクフォンの死角に周り込み、もしかしたら近づけるのではないかと実践してみたら、やっぱり無理だった。安全地帯は空以外にないらしい…と思った瞬間、レクフォンの足元から誰かが出てきてアッパーをかましていた。こんなことが出来るのは1人しかいない。ハスが来てくれた。と言う事は…

「私たちが気を引いてあげるよ!」

カリが空からそう叫んだ。そして、上から下からやって来る攻撃たちにレクフォンの気が向いていた。よし、チャンスだ!2人が作ってくれたこのチャンス、逃してしまったら申し訳なさすぎる。みんなは各々の大技の準備をし始めた。

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