表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フォニックス 光と闇  作者: ことこん
第十三章 ヒスラとレクフォン
61/75

プロローグ 来たる決戦

 三月になり、ようやくその時が訪れた。オスコさんがついにレクフォンの居場所を突き止めた。ここショボウ町からそう遠くはない森にいるらしい。本人曰く、『ずっと移動してたから場所を確定できなかったけど、ようやく立ち止まってくれて助かった』とのことだ。ちなみに、ロッセオとレナちゃんはまだ戦えそうにないので留守番となった。そして、シン君が瞬間移動をしようとした時、誰かが割り込んできた。そのまま瞬間移動をしてしまい、誰だろうと思って着いてから見てみると、ヒスラだった。

「お前が来て、役に立つのか?」

シン君、相変わらずだ。いつものヒスラだったら、ここで『来てやっただけ感謝しろよ!』とでも言って来そうだが、今日のヒスラは至って真面目だった。

「今日、レクフォンと戦うんだろ?レクフォン、俺を認識出来るかどうか分からないけど、もう一度だけ会っておきたいんだ。じゃないと、後悔する気がして」

ヒスラとレクフォンの間に何かあるのかは分からないが、なんとなく聞けなかった。ヒスラの顔が何処か悲しげに見えたからだ。みんなもそれは同じで、何も言わずに歩き出した。なんだかエヴェルの時と似ているが、あの時とは決定的な違いがあった。蛇の科学者やレナの話を聞くと本当はいい人だと思えてしまって、躊躇う気持ちが生まれて来てしまう。でも、レクフォンを救う方法はこれしか無い。そう言い聞かせることにした。一歩進むごとに強まる妖気から、レクフォンの強さを読み取れた。鬱蒼とした森を歩き続け、洞窟に入ると、突き当たりがとても広くなっており、レクフォンはそこにいた。美しい琥珀の目は光を失っており、エヴェルと比べて冷静さが無かった。そんな中でもヒスラは前に出た。走る度、背に担いでいる忍者刀がカタカタと音を立てる。レクフォンは一瞬戸惑ったような顔になったが、すぐにヒスラを攻撃し始めた。ヒスラはそれを避けながらも前へ進んだ。…見ていられない程危なっかしい…。ヒスラはどんどん余裕が無くなっていく。私は氷の壁を作ったが、効果は雀の涙程度だった。ソウマさんはやはり突っ込んでいく。そして、ヒスラに向かってくる攻撃を弾きヒスラを援護した。それにつられるように、ツーハちゃんは初めから本気でいくつもりなのだろう、あの姿に変身して空から援護し、他のみんなもそれぞれの方法で援護し始めた。私は、遠くから援護している姉さんたちに向かって来る攻撃を弾き、援護の援護をしていた。ヒスラは着々とレクフォンに近づいて行く。レクフォンは絶対に本気を出していない。もし本気なら、攻撃をこんなに簡単に弾ける訳が無い。もしかすると、ある程度はヒスラを認識出来ているのかもしれない。ヒスラはついに到着し、レクフォンに触れた。レクフォンははっとした。

「ヒス…ラ?なんで、ここに…?私なんか、放っておいてくれれば、良かったのに…」

ヒスラは半泣きになっていたが、ちゃんと言い返した。

「馬鹿!なんで俺がお前を見捨てられると思ったんだよ!レクフォン!お前は何があっても俺の姉だろうが!」

その言葉を聞いた瞬間、その場の皆が驚きで硬直した。ヒスラが、レクフォンの、弟…?改めて2人を見比べてみる。言われてみれば、何処か似ている。どうして今まで気が付かなかったのだろう。レクフォンは攻撃をやめたまま、そこに立ち尽くしていた。徐々に目に光が宿っていく。これで戦いは終わった…かに思えたが、空恐ろしさを含んだ声が、辺りに響き渡った。

『これで終わりだと思った?残念!君にはまだ働いて貰うよ!弟君、君がどうにか出来る訳ないじゃん?せっかくボクの支配から出してあげたのに、またボクに従いたいの?』

ヒスラは宙を睨む。この声の主が誰なのかは何故か分かった。

『…時の館の主人…』

キキ様の言葉で確定した。

『創造神は黙っててくれないかな?と言う訳で、戦いはまだ終わりませーん!』

レクフォンは目に涙を浮かべながら攻撃して来た。ヒスラは大きく下がった。今度は本気らしい。この攻撃達は避けるしか対処のしようが無かった。ソウマさんですら避けている。レクフォンの攻撃はだんだんと洞窟を破壊していく。空中にいたツーハちゃんは何を思ったか洞窟を破壊してしまった。シン君は納得した顔をしていた。

「成程な。闇属性の技は暗ければ暗い程威力が上がる。ツーハはそれを知っていたから、わざわざ洞窟を破壊するような真似をしたんだろう。早めに決着を付けないと、夜になった時ピンチになるぞ」

闇属性にはそう言う絡繰があったのか。

「じゃあ、光属性は明るければ明るい程強かったりするの?」

「まあ、そういう事だな」

シン君は自分も不利になった筈なのに平然としている。

「俺がこういう事を見越していないとでも思ったか?」

シン君も結構戦略を考えているようだ。私は氷の礫を作り、レクフォンではなくその側に投げた。そして、それを繰り返ししてみる。シン君は私が何をしようとしているのかもう分かったようだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ