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フォニックス 光と闇  作者: ことこん
第九章 光狐の分裂
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第二部 神になる仕組み

 私たちがキセキさんと長のやり取りを茫然と眺めていると、急に障子が倒れて誰かが入って来、そのまま跳んで長に蹴りをお見舞いした。長はそれをノーガードで当てられ、よろけて倒れた。一体、何が起こったのだろう。その人はこちらを向くと、驚いた顔をした。

「こんな所にノコノコとやって来る馬鹿がいると思ったら兄貴だったのか。全く、このクソ野郎とうとう客人にまで手を出しやがって」

「あっ、シャラト!久しぶり!でも、こんなことして大丈夫なのか?」

「大丈夫だよ、兄貴。ある意味すごかったのは今は亡き先代で、こいつはそのドラ息子。だから、光逆戦争を起こしたのはこいつじゃない。今の戦争もそそのかされた形だし。周りもこいつを認めてなかったし。これは、選挙が起こるほどの暴挙だね。目的は変わっちゃったけど、親父かセツさんみたいなこちら側の人が選ばれたら光狐は収まるだろうし。手伝ってくれる?」

「ちょっと待ってくれ。色々疑問があるんだが。まず、完全にこちら側の人間であるお前がなんでここにいる?」

シン君がもっともな質問を投げかけた。

「それは、ただ単に従うフリをしたってだけだよ。おかげで一発蹴れたよ。あー、せいせいした」

「なぜ選挙にお前の親父みたいな奴も参加できるんだ?」

「光逆戦争で降伏した時の条件にあったみたい。まあ、こいつの派閥だけに政権を奪われないようにするためかな」

「選挙の仕組みは?立候補制なのか?」

「いや、ちょっと特殊なんだ。対象は全ての人。期間中は全員が自己アピールをするんだ。期間中と言っても、1日だけなんだけどね。そして、全員で投票して一番票が集まった人が長になる」

「なぜ長と呼ぶんだ?オムギは神と呼ばれていたが」

「それは、長は選挙で決めるけど、神は一族を守護する神獣に決めてもらうからね。神は長の立場でね、時折自分だと名乗り出てくる人がいるんだけど、全員違ったらしい。神になれる人は絶対に1人いるはずなんだけど」

「あの馬鹿嬢とは大違いな弟だな。神を見つければ手っ取り早いんだがな」

「だれがバカだ!」

シン君に何かが突っ込んだ。シン君はそれを冷静にかわし、その飛行物体は壁に激突した。やっぱり、ツーハちゃんだった。

「いてててて。かわさないでよ!」

「ちなみに、神かどうかはどうやって確かめるんだ?俺はそっちに興味がある」

ツーハちゃんを無視して話を進めていくシン君をツーハちゃんは殴った。シン君はさほどダメージを受けていないようだが。

「お前の家は暴力一家か?ライト」

「どうなんだろうな」

「それは簡単だよ。神獣の祠に行って、その人が祠の正面に立った時に神獣が現れるかどうかだよ。僕も一度興味本位でやってみたけど、なんともなかったよ」

「神の話?そういえば、やったことなかったな」

「なら、その僅かな可能性に賭けてみるか。行くぞ、ツーハ」

「はい?」

「ほとんどあり得ないことだけどね。まあ、やってみればいいよ」

シン君は私たちを瞬間移動させた。


 私たちは祠に辿り着いた。しかし、光狐が大蛇の列を成しており、いつまでかかることやら。でも、シン君は諦めていなかった。ツーハちゃんの手を引いて列の最後尾に並んだ。私たちも一緒に並んだ。大蛇の列と言っても、一人一人が一瞬で終わるため回転は悪くなさそうだと安心していたら、後ろに並んだ人が話しかけて来た。

「おい、お前らなんで並んでいる。ここは光狐の場所だろう」

シン君はツーハちゃんを見せた。しかし、その人は鼻で笑った。

「ただのガキじゃないか。ここは遊び場じゃないんだ。さっさと帰りやがれ」

「うっせーな。これだから年寄りはめんどくさいんだよ」

「いい加減にしろよ。おい、お前ら、ガキが混じってたぞ!どう思う?」

並んでいた人全員がこちらを向いた。しかも、手を鳴らしている。これって、まさか。

「本当に神なら、こんな人数どうったことないよな?」

並んでいた人全員が襲い掛かって来た。避けようにも反撃しようにも人数が多すぎる。逃げるのも無理そうだし。

「だが、勝利条件は全員倒すことじゃない。ツーハが祠の前に立って、終わったら逃げればいい。あいつらが言いたいのはこいつが神じゃないってことだから、この手段しかないだろう。ツーハ、合体するぞ。お前らは時間を稼いでくれ」

さらっと言われても、この状況で瞬間移動をするあの一瞬の隙を見つけ出すのはかなり難しいことに感じる。無情にもそんなことを考えているうちに技や人が迫って来た。私たちは合体したなんとか君を囲むようにして陣取ったけど、あまり意味はなさそうだった。ソウマさんは攻撃にも全く怯まず反撃していたけれど、全員がそういうわけにはいかない。しかも、ちょっとやそっとで倒せるような相手でもなさそうだ。私の目の前にも今にも殴りかかろうとしている人が迫って来ていた。私は薙刀を持った。しかし、あんなのを受けたら薙刀が壊れてしまいそうだ。私は後ろに跳んでかわした。でも、まだ油断は出来なさそうだ。

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