表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フォニックス 光と闇  作者: ことこん
第六章 悲しい再会
27/75

第二部 訳の分からないような真実

 俺たちはギルド様が見せた弾を妖気レーダーに反応させようとしたが、全く反応しなかった。

「おかしいですね。妖怪である限り少なからず妖気が残るはずですし、もし人間であったとしても出入り口からこちらへ入る時厳重な手荷物検査があるはずです。考えたくありませんが、一つだけ心当たりがあります。最近噂になっている連続殺人犯です。奴の特徴は顔を隠すほど深く編み笠を被っていることくらいで、妖気も感じないということです。だから、誰もその尻尾を掴めていません。ですが、これは好機かもしれません。向こうからこちらが来るのを待っている訳ですから。奴の最大の誤算はライトさんが正気になり、万全の準備をしてやって来るということでしょう。ライトさん、あなたはあの時どこに行こうとしていましたか?」

「えーっと…。イネイが撃たれた通りを小道から右に行くとある森です。そこに逃げ込んだとばかり思ってましたから」

「おそらくそこにいるのでしょう。ライトさん、もし出くわしても、冷静に仲間と一緒に戦ってくださいね。私も同行したい所ですが、作戦がバレたと思って逃げられてしまうかもしれません。なので、まずライトさんがあえて怒っているフリをして奴に近づき、少し遅れて心配で追いかけて来たとでもいうように皆さんが行ってください。そうすれば、奴は作戦がバレたのを知らずにライトさんと戦い始めるでしょう。私はここから妖気を感じて様子を把握し、本当に危機が迫って来た場合に備えますので。どうか、さらなる被害者とならないことを祈っています」

俺が最初に出た。頭の中は冷静だが、先程の感覚を思い出して同じようになってから森に入った。少し開けた場所に出ると、奴はいた。噂通りの編み笠を深く被った姿で、妖気も感じなかった。相手は何も話さず急に刀を出して攻撃して来た。俺は間一髪で回避した。危なかった。でも、おそらく相手は剣術などは知らない。ただ振り回しているというだけだった。やはり、スインの言う通り、武器の扱いに長けているという訳でもなさそうだ。だったら、勝機はある。俺は雷を相手に落とした…はずだった。雷は跳ね返って天に昇り、消えてしまった。今のって、まさか、いや、そんな訳無い。攻撃を完全に無効化させた俺は、相手の次の攻撃に反応できず、危うく心臓を貫かれてしまう所だった。だが、多分ギルド様の瞬間移動で右に大きく動き、避けることができた。こいつ、本気で殺しに来てる。俺は相手に今までの相手と違う何かを感じていた。相手は銃に持ち替えた。やっぱり、イネイを撃ったのはこいつか。俺はすでに知っていたはずの事実を実際に突きつけられ、冷静になったはずの頭が再び興奮し始めていた。このままではいけないと必死に振り払おうとする俺を、遅れて来たみんなが救ってくれた。実際には、みんなの妖気を感じ、冷静さを取り戻した。ずいぶんと長い時間に感じたが、実際は30分も経っていない。相手を見たものの、顔が見えず劣勢を感じているのかどうかすらよくわからなかった。俺たちは思い思いに攻撃した。しかし、全て跳ね返ってくる。ツーハやシンはただ鬱陶しいと思っただけのようだったが、他のメンバーは俺と同様不思議そうな顔をしていた。武器による強攻撃と、謎の防御。確かに強い。俺たちはどうにかできるわけでもなく、ただ攻撃をかわし続けた。こいつ、全方位に銃を構えて撃ち続けた。どういうことかというと、出て来た銃が何故か浮いて相手を一周するように並び、触ってもいないのに一斉に撃ってくるのだ。まあ飛べるツーハやシンにとっては全く関係のない攻撃だろうが、地上にいる俺たちはそう上手くいかない。技で弾いて自分がくらわないようにするしかなかった。ツーハとシンは上に回り込んだ。すると、合体して1人となった。今度はシン寄りの闇狐だ。そして、謎のシールドの中に瞬間移動し、一発蹴りをお見舞いした。相手は思ったより簡単に蹴り飛ばされた。見た目も小柄だし、まるであいつみたいだ。その隙に、そいつは相手を影撃ちし、動けなくした。そこで勝敗はついた…かに見えたが、武器は触れていなくとも扱えてしまうのでそうはいかなかった。そいつは慌てて退がる。影撃ちも消えてしまい、相手は再びシールドを張った。エントは遠くから突進して来て、そのままシールドを割ってタックルを当てた。相手はその衝撃で宙に浮くとともに編み笠が外れた。しかし、そこにいたのはかつての仲間…ムルルだった。一瞬、見間違いかと思った。しかし、無情にも何度見返そうとも先程まで戦っていた相手はムルルだった。理由を聞こうともしたが、その目には光がなく、ムルルの意思ではないように見えた。俺は慌ててムルルに近づく。ムルルは地面に落ちたまま動かなかった。しばらくの間があったが、ムルルの目に光が戻っていく。そして、この前のようになるとその目から涙が零れた。俺は声を掛けたかったが、すぐには言葉が出なかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ