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フォニックス 光と闇  作者: ことこん
第五章 一ヶ月越しのリベンジを
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第四部 師匠たちは四兄弟

 フォニックスたちが無事任務を終えた日の夜。それらの師匠たちは全員寄り集まって宴会的なものをしていた。

「いやー!やっぱりあいつらの特殊能力は私が鍛えただけあって役に立ちまくったな!ライトは相手を救ったし、スインに至っては任務が終わるまでずーっと誰にも気づかれなかったんだからな?」

「分かっておらぬな。やはりアインの薙刀は優秀であっただろう。属性が違うというのもあったが、かの有名な百鬼夜行を斬ってしまったのだからな。エントも見事な技の受け方であった」

「2人とも、えこひいきにも程があるよ。僕はほぼ放置だったから特にないとして、今回のMVPは完全にセムロのお弟子さんたちでしょ。本人たちがどう思っているのかは別として」

「「放置してたのかよ!」」

2人の息ぴったりなツッコミが終わると、セムロは口を開いた。

「そう、でしょうか。わ、私としては、あんなに興味深いものを見せてもらって大満足なのですが、むしろこっちに利があったんじゃないかって…。2人に大したことを教えられてないのかなって、不安になったりして」

末っ子のオドオドした様子に、上3人はふっと微笑み、中でもセグリアが立ち上がってセムロの頬を手で包み込んで自ら目線を合わせた。

「んなこと気にすんなよ。少なくとも、あいつらの合体はお前の修行の中で生まれたものだ。それで充分じゃねえの?大事なのは、弟子が満足したかどうかだろ。それに、わざわざ師匠なんて面倒なことして、こっちには何の得もなかったら私たちもしてねえよ。特にどっかの誰かさんはな」

セムロは小さく微笑んだ。セグリア、とっくにいいお姉さんだった訳か。こうやって、子供の成長を見守っていけるのは子育ての特権かも。セムロの暗い表情が晴れたのを皮切りに、セロとセンクはどこからかビンゴの用意を持ってきた。ここには6人しかいないのに。ただやりたいだけなのか、妹を元気付けたいのか。2人の表情は明るく、真っ先にセムロにカードを配っている所から察するに、両方だとわかる。特に、妹思いのセロと、面倒くさがりで自分の興味のあることしかしようとしないセンクが一致団結してやっているところとか。

「母さんもする?景品は大したものじゃないけど。エトクにも配ったよ」

控えめな執事のエトクが受け取ったのなら、私に断る理由は1つもない。

「ええ。まあ、セグリアが一等なのは目に見えているけどね」

私は一枚受け取り、真ん中を開けた。負けず嫌いなセグリアは、こういった遊びの時でも容赦せず、特殊能力を使って優勝してくる。カードゲームなど運によって勝ち負けが左右されるようなものでセグリアに勝つのはほぼ不可能と言っていい。その後、予想通り最短でセグリアがビンゴとなり、一等の景品が当たったが、それは大きな熊のぬいぐるみだった。セグリアが好きそうなものだ。セグリアが絶対勝つと予想していたんだな。その後、セムロ、セロ、私、エトク、そしてセンクの順番にビンゴとなった。しかし、センクが途中から面倒くさがって開けるところを開けていなかったのが判明し、生真面目なセロがやり直しを提案していたが、センクはそれすらも面倒だと六等の駄菓子をもらっていた。最初は楽しそうだったのに…。あの子のことは私でもよくわからない。わかってあげられない。小さい頃は普通だったのに、いつしかこうなってしまった。まあ、『生きるのが面倒くさい』とか言って何かしでかさない限りは見守っておくけれど。でも、その駄菓子の封を開け、口元にカスを付けながら食べているのを見てしまえば、そんなことどうでもよくなってしまう。エトクはティーカップ、私は手鏡、セロは靴、セムロは小さな動物のぬいぐるみが5個ほどだった。成る程、これは3人の共同企画だった訳か。おそらく、センクが発案し、セロが会場準備、そしてセグリアは各々の好きなものを買ってきて、特殊能力による予想の順番に景品を置いたのか。センクが不憫に思われるかもしれないが、あれはセンクが好きな駄菓子屋でしか売っていないような少しレアな味だ。各々に景品を喜び、そして散っていった。部屋に残ったのは終始座っていた私と駄菓子を食べていたセンクのみ。センクはすでに食べ終わっていて、空になった袋を持ったままぼんやりと窓から見える景色を眺めていた。

「センク」

「なに?母さんの方から話しかけてくるなんて、珍しいじゃないか」

「センクは、したいこととかないの?あなたはまだ時間があるじゃない。別に、無理して見つけろとは言わないからさ」

私が甘やかしているせいなのかもしれないと思って、追い出してしまったこともあった。しかし、センクは帰って来ようともせず、ただ街外れの草原で寝ていた。理由は面倒くさかったから。

「ないかな」

センクはそのまま出ていった。今やセンクが興味を持つのは食べ物くらいしかない。困っているのは事実だが、焦らずに見守ろうと思ってしまうのはいけないことだろうか。

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