表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フォニックス 光と闇  作者: ことこん
第五章 一ヶ月越しのリベンジを
21/75

プロローグ 変わらぬ実力

 翌日。私はいつもより少し早く目が覚めた。身だしなみを整えて食卓に向かうと、コウが朝食を作り、フウワさんがホワイトボードに作戦をまとめていた。あと、隠れていて見えなかったけれどソウマさんが天気予報を見ていた。だからテレビがついていたのか。フウワさんが私に気づいたようで振り返った。

「フウワさん。おはよう。ホワイトボードに作戦書いてたんでしょ?」

「アイン、これは見るな」

フウワさんは両手でサッとホワイトボードを隠した。でも、ソウマさんがコウの所に行くためにその前を横切ると、そっちに気がそれ、書かれているものが見えてしまった。フウワさんは再び隠したが、時すでに遅し。全て見えてしまった。どうやら、7人で四列に並び、前の2人を交代させながら戦うという作戦らしい。

「いい作戦なのに。なんで隠すの?もっとちゃんと見せてよ」

「み、見られた!アイン!これは、私の独断というか、だから、みんなに教えるなよ!」

つまり、恥ずかしいし自信がないだけだ。さっきの大声で、みんなも起きてしまったみたいだ。妖気を感じる。そして、しばらくすると姉さんとシン君が起きてきた。姉さんはともかく、シン君は起こされてものすごく不機嫌そうだった。思いっきりフウワさんを睨んでいる。でも、フウワさんはそれを気にも留めず、必死にホワイトボードを消していた。しかし、めざとい姉さんはそれを見逃さなかった。

「何しとんの?フウちゃん。もしかして、作戦が変えてあったとか?」

フウワさんはわかりやすすぎるほどに反応した。姉さんは図星だとすぐに勘付いた。フウワさんが質問攻めにあっているうちに、他のメンバーも降りてきた。台所が騒がしい。いきなりみんなが降りてきて、間に合わないと焦っているのかもしれない。そして、朝食を食べ、いよいよ行こうとなった時。ツーハちゃんも行きたそうにしていた。学校は休みらしい。それでずっとエントと言い争いをしている。シン君は面倒そうに瞬間移動を発動させた。すると、ツーハちゃんも結局付いてきてしまった。もちろん帰るように言ったけれど、ツーハちゃんが従うわけがなく、シン君と合体できるかもしれないという理由で連れていくことになってしまった。私たちは、先月と同じ場所に来た。すると、やはり彼女はいた。相変わらず、光を宿していない茶色の目を私たちに向け、楽しそうに微笑んでいる。まるで、私たちとの戦いをゲームか何かだと思っているみたいだ。

「約束通り、帰ってきたぞ。強くなってな」

シン君がそう言い放つと、彼女はその表情のままこちらに歩み寄った。獲物に近づく獣みたいな気がした。

「逃げてそのまま帰ってこないと思ってたから、これは嬉しいサプライズね。まあ、強くはなったみたいだけど、女の子1人増えたところで覆るほどの実力差じゃないわよ?逃げるなら、今のうちだとだけ言っておくわ」

シン君はシン君で、一歩も退がる様子は全くなく、ずっと彼女を睨み返していた。

「まあ、あいつは基本馬鹿で単純なやつだが、切り札があるから連れてきただけだ。仮に先に倒しておきたくなったとしても、あいつの逃げ足は相当だからな。まあ見ておけ。俺たちはお前らみたいに価値観に囚われないって感じだしな」

ツーハちゃんをフォローしてるのか馬鹿にしているのかはさておき、シン君が帽子なしでも強気でいられることに少しホッとした。彼女はまだその表情のままだったけれど、私たちは戦闘体制に入った。ソウマさんが地面に何かを蒔いているのが見えたけれど、気にしないことにした。彼女は百鬼夜行を発動させた。しかし、ソウマさんのハエトリソウがパックンと食べ、自らの力に変えてしまった。でも、ソウマさんはすぐに引っ込めた。彼女はそれを見て、笑みを一層深めた。

「これも通用しなくなるなんて、ハッタリじゃなかったみたいね。まあいいわ。あなた、廃坑を破壊したって人よね。確かに強いけど、他の人たちはどうかしら?」

彼女はライトさんに一瞬で近づき、至近距離で再び百鬼夜行を発動させた。しかし、ライトさん猛スピードで走って避けた。彼女はもう一度瞬間移動をしようとしたが、シン君の影撃ちに足止めされた。

「これでどうだ。先月の強さは一体どこに行ったというのだ。これではまるで別人だぞ」

彼女は不敵な笑みを浮かべた。すると、シン君が逆に影撃ちされた。

「驚いたでしょ?まあ、そこで大人しく見てなさい。後であなたも一緒に逝かせてあげるから」

さらっととんでもないことを言うな、この人。もし仲間になっても、多分気が合わなさそうだ。そうしている間にも、彼女は私に迫ってくる。私は薙刀を構えた。彼女は薙刀を興味深そうに見た後、私に容赦なく百鬼夜行を放った。私は意を決して百鬼夜行を縦に斬った。案外軽い感触だった。実体のないものを固形化させたからだろうか。しかし、何かが薙刀を伝って私に絡みついてくる。それが影撃ちだと気づいた頃には、完全に動けなくなっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ