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フォニックス 光と闇  作者: ことこん
第四章 フォニックスはさらに強く
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第五部 初の合体

 ちっ。最後に1番強いのを倒せと言われて試してみたが、攻撃が全く効いていない。ツーハも同じようだ。2人で合わせ技をしても、お互いを打ち消しあってしまう。光と闇が協力すること自体難しいことなのだ。どうする。目の前のライオンは家くらいデカいし、飛べばツーハの邪魔になる。超音波を使いつつ木と木の間を走って気を引き、隙ができたタイミングで倒すのが妥当か。ツーハがそこまでの攻撃力を備えているか少々不安だが。

「おい!ツーハ!よく聞け!俺が引きつけるから、攻撃はお前に任せるぞ!」

「わかった!」

俺はライオンの目の前を走り抜けた。ライオンはその巨体からは想像できないくらいのスピードで追いかけてくる。俺はあっという間に追いつかれ、方向転換をしようとしたが、ライオンはその前足で俺の逃げ場を無くした。ツーハも懸命に攻撃しているが、あまり効いている様子はない。俺たちはほぼ同時に弾き飛ばされ、同じところに衝突した。

「大丈夫か、ツーハ」

「うん。強い…」

「そうだな。俺たちでは敵わないだろう。だが、このまま無理でしたなんて言って帰る方がよっぽど屈辱だ」

「ふつうにまだやるって言えばいいのに。こうげきとおとり、ぎゃくにする?」

「いや、やめた方がいい。お前がやってもあの感じだと無理そうな上に、攻撃はどの道効かんだろう。地道に繰り返し体力を削っていくしかないだろう。途中で音を上げるんじゃないぞ」

「やっぱそうなるか。いいよ、わたしは。たおれるまでぜったいにあきらめないから。行くよ、シンシン」

「ああ。…って、今シンシンと呼んだな?それはやめろと言ったはずだ!次言ったら2度と口を聞いてやらんからな!気をつけておけ!」

「わかった。じゃあもう一回。ぜったいたおそうね。シン」

「ああ。絶対成功させてやる」

俺たちは同時に走り出した。しかし、逆にツーハの方に引っ張られる心地がした。一瞬ライオンの技かとも思ったが、ライオンが技を使っている様子はない。じゃあ、何なんだ?そうしているうちにもツーハの方に引っ張られ、ツーハも同様に俺の方に引っ張られていた。やがて、俺とツーハの腕同士が触れ、俺は変な感じがした。


 何でしょうか。急に、強い妖気がどこからか現れました。明るさと暗さ、慈悲深さと冷酷さなどを併せ持っている、不思議な妖気が。私は慌てて森の中に入り、弟子たちの無事を確認しようとしましたが、ライオンの目の前にいるのはさっきの妖気を放っている1人の人間でした。

「やれやれ。急に何かと思えば、まさか合体とはな。意思は一つだが、2人の力を持っているな。これが協力一つのの形だとするならば、まさにあんたのいう通りだったな。師匠さん。隠れてないで、出て来たらどうだ?弟子の晴れ舞台を遠目で見ていたくはないのか?」

見事に言い当てられ、私はこの様子では意味がないと思い、静かに木陰から出ました。おそらく男である彼は口が悪いですが、実は優しいのかもしれません。彼は立ち上がると、一瞬でライオンの目の前に立ちその目をフラッシュで潰し、その勢いで倒してしまいました。あっという間すぎて、まだこの事実を受け入れられていません。合格ではあるものの、強すぎる。何だあの力は。次に育てたい動物の目標は、彼に勝てるようにすることですね。私にも目標ができて、これは中々いい修行になったんじゃないでしょうか。


 ったく。一体全体、何が起こったというんだ。気づいたらライオンは倒れていて、ツーハは妖力を失って眠っていた。俺は師匠を見た。師匠はなんだか嬉しそうだ。俺たちが勝ったというより、動物が全員負けたことで燃えているようだった。やれやれ。人って、好きなことには本気でなるものだな。それよりあれはなんだったのか教えてほしい。じゃないと気が済まない。

「おめでとうございます!合体するなんて、珍しいですね!これにて私の修行は終了です!お疲れ様でした!最後に、これを持っていてください。きっと、役に立ちますから。では、私は報告があるのでこれで失礼しますね!」

師匠は興奮がまだ冷めていない様子でそう言うと、俺たちによくわからない石を渡して去っていった。

「…帰るか」

「うん。つかれたからねむたい。早く帰ってお昼ねして、ごはんを食べたい」

やれやれ。やっぱりお子様だな。俺たちは帰り道を並んで歩いた。ツーハは俺に合わせようと必死で早歩きをしている。疲れたんじゃなかったのか。やがて、全員が待っていた場所に着いた。だが、みんなで楽しそうにカードゲームをしていた。チビのためだとはいえ、大人まで本気になってどうするんだよ。ツーハはライトに突っ込んでいった。

「お疲れ様。そろそろお開きにしよか」

「えー、早いー!」

「まあまあ。また会いに行こ?バイバイ、フォニックスさん」

「じゃあな。さて、俺たちも帰るか。いよいよ、リベンジだな」

そして、翌日にリベンジを控え、俺たちは家に帰ったのだった。

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