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フォニックス 光と闇  作者: ことこん
第四章 フォニックスはさらに強く
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第二部 特殊能力を極めた2人

 1ヶ月後。中々いいんじゃねえの?あいつら。どうやら、“特殊能力の進化”に成功したようだな。ライトは“俊足”から“神速”となり、スインは“透過”から“無認識”となった。この短期間で特殊能力を進化させたのは、私が見た限りでは初めてだな。しごいた甲斐があったぜ。でも、合格条件は『2人のどちらかが私に1発当てること』だ。ちなみに、今まで一度たりとも合格していない。それは、私の特殊能力があるからだ。私の特殊能力は、ありとあらゆるパターンを予測し、よりよい結果になるように仕向けることができる。

「よし!今日も行くぞ、お前ら!」

「はい!」


 今日も始まったな。このままでは、永遠にできないなとスインと昨日作戦会議をしてきた。イネイに変な勘違いをされて説得するのに骨が折れたけれど。それはともかく、師匠も普段の相手も、『いつもの俺たち』から行動を予測する。だから、いい加減自分の戦い方に囚われるのはやめろってことだ、たぶん。師匠はバリアを張った。いつもの俺なら、とにかく攻撃で破ろうとするけど、それは読まれている。だから、別の方法でバリアをどうにかしたい。俺はバリアの上に乗った。師匠はそこから攻撃するのだろうと思ったのか、さらにバリアを重ねた。完全に勘違いなのに。でも、ここまでは読まれていなくてよかった。簡単に使えて、効果的な技と言ったらこれくらいだろう。

「フラッシュ!」

師匠のバリアが解けた。これで、俺はただ攻撃を仕掛けるだけだ。しかし、がっしり腕を掴まれた。

「フラッシュか。確かにいい選択だ。でも、この私には効かねえ。目潰しにはなっても、妖気の動きですぐにわかる。ライト、惜しかったな。あと一歩だ」

そして、俺は吹き飛ばされ、再びバリアが張られた。俺は一旦下がった。スインはどこだ?俺に作戦を言わせておきながら、結局自分の作戦は全然話してくれなかった。2人で連絡を取れるようにしておくべきだったか?その時、茂みがカサッと動いた。まさか。師匠はそれを見逃さず、すぐさま攻撃した。そして、それに反応したのか茂みが素早く動く。しかし、スインは一向に姿を見せなかった。俺は心配になって追いかけて行った。すると、茂みに水のボールがついており、それが弾けて茂みが揺れているのを見てしまった。つまり、スインはここにいない。もしかして、自分の作戦を悟られずに成功させるために、俺にも話さなかったのかもしれない。だとしたら、俺は師匠の気を引いてやる!俺は素早く走り回り、師匠はそれを目で追った。しかし、師匠の技に囲まれてしまい、諦めるしかないのかとも思ったが、少しは体張らねえと、ソウマに申し訳ないなと思い直し、技の一角に向かって走った。何度も直撃し、ダメージはあったものの、かなりの技はかわすことができた。当然ながら、師匠は次々と技を出して俺に向けてくる。俺は最高速度を出したら確かに速いが、すぐに限界が来ることを知っている。むやみやたらに使っていいものじゃない。せめて、スインから何か知らせがあれば…。師匠の技が足に当たった。しまった。動けなくなっても、師匠の技は止まらない。なぜなら、敗北条件は気絶か降参かだからだ。ここで負けたら、スインの作戦が台無しになる。それだけは、絶対に避けたい。俺は気合いで立った。そして、妖気ではなく電気を体に張り巡らせ、足を動かせるようにした。そのまま師匠の技を踏み台にして進み、勢いに任せて電気の渦をドリルのようにし、バリアに穴を開けた。その瞬間、師匠にわずかな隙ができた瞬間、スインがふっと現れ、俺とほぼ同時に技を当てた。師匠はそこに座ると、高らかに笑った。

「大したものだ!どっちかだけが当ててたら当てなかった方だけ不合格にするつもりだったが、その必要はないみたいだな!技をうまく使って撹乱し、バリアをあんな形で破って味方のサポートどころか攻撃までしたライトも、バリアが消えたあの一瞬でその中に滑り込み、私に隙ができるまで忍耐強く待ち続けたスインも立派な私の弟子だ!戦いの時は私の名を出せ!そうすれば、無用な争いが避けられる時がきっとある!ザコはそれで大体ビビるはずだ!2人とも、確かあの王族光狐野郎を倒しに行くんだろ?次また負けましたなんてズコズコやってきたら許さねえからな?そろそろ、他の奴らも終わる頃だろう。ちょうどプログラムは今日までだったからな」

「えっ?」

「あ、言ってなかったか?でも、勘違いするな。私は手加減なんてしちゃいねえ。もし無理だったら、本気で延長する気だったし。ま、おつかれさん。上手く活かすんだぞ?特殊能力」

「はい!」

「あ、ちょっと待て。これ、持ってけ」

俺たちにひとつずつ握らされたそれは、一見ただの飴だった。

「それは、本気でヤバい時に舐めろ」

最後の意味深な言葉は気になったけれど、とりあえずもらっておき、礼を言ってその場を去った。みんな、どんな修行してたんだろ?

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