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フォニックス 光と闇  作者: ことこん
第三章 虫好きで孤独な戦士
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プロローグ 虫が多すぎる!

 今回は虫がたくさん登場します。想像するだけでも駄目だという方はご注意下さい。

 六月。梅雨の時期なのに、珍しく今日は晴れていた。でも、なんだかじめっとした暑さで、私たちは室内で修行していた。ひと段落つくと、私は郵便受けを見に行った。すると、一通の手紙があり、私はそれを開いてみた。多分ギルド様からだ。

『フォニックスへ

今回は、ちょっと変わった闇狐の依頼です。虫が苦手な方は控えておいてください。

ギルドより』

相変わらず挨拶も『拝啓』や『敬具』もない簡潔な文章だったけれど、虫と何が関係あるのかわからなかった。私は苦手だけど。ライトさんにこのことを伝えると、

「相手が虫の特殊能力だったり、虫と戦ったりするんじゃねえの?そうだったら虫が苦手な奴はひとたまりもないだろ?」

確かに、そうかもしれない。私たちは、行くメンバーを決めた。でも、行けそうなのはライトさん、シン君、姉さんだけだった。

「さすがに、3人は少ないよな…」

ライトさんはギルド様に電話で相談し始めた。すると、ぱあっと明るい顔になった。一体なんだろうと思ったら、その答えはすぐにわかった。なぜなら、その人が現れたからだ。

「僕のマジックをお見せし…」

「ふん。本当に大丈夫なんだろうな。裏切ったり、役に立たなかったりしたら俺が許さないからな」

相変わらず、はっきりとした物言いだ。でも、向こうは向こうで全く気にしていないようで、

「僕は裏切りは嫌いだから、そんなことしないし、僕のマジックは結構すごいよ?」

「自己中が。はあ。今日は気疲れしそうだ」

「とにかく、行くぞ!」

とライトさんがドアを開けるより先にドアが開き、何かと思ったらソウマさんがいた。でも、まだ戦えそうにもない。

「迷惑かけるけど、光狐と闇狐の起こした戦争のせいで怪我人が多くて、病室がいっぱいいっぱいだったから。もう自分で動ける僕が戻って来たんだ。ちょっと失礼」

ソウマさんはソファに腰掛けた。エントが心配そうに見ていたけれど、ソウマさんは一応動けるようだ。よかった。

「ソウマ、今から任務だから悪いけど俺たち行くわ!」

そして、ライトさんたちは出ていった。


 「ここ、だよな」

「そうみたい、やな」

「あいつらを置いてきて正解だったな」

「今日はお客がいっぱいいるようだ」

「お前が虫平気なのが意外だったがな」

俺たちの目の前には、色々な種類の虫たちが蠢いていた。もはや道路を埋め尽くす勢いであり、倒さないと前に進めなさそうだ。スインが攻撃した。しかし、その辺りだけ虫がいなくなり、誰にも当たらなかった。俺が攻撃したら当たるだろうかとやってみたら、大量のクモによって作られた巨大なクモの巣に阻まれた。シンは影撃ちをしようにも数が多すぎて苦労していた。

「やはり、僕のマジックをお見せするしかなさそうだね!」

名前は知らないけれど、そいつは自信満々に虫たちの中を歩いていった。虫たちは威嚇し出したが、そいつには全く届いていない。俺たちに使ったあれだろうか?そして、自分の攻撃を瞬間移動させ、虫たちを不意打ちした。同じことを繰り返し、そいつはあっという間に虫たちを1匹残らず倒してしまった。しかし、奥から怒りを帯びた妖気が近づいてきた。姿を現したそいつは、闇狐ではあったものの、光狐がペアでいるわけではなく、虫を頭や肩に乗せ、ポケットにもいるのが異様だった。

「僕は怒っているんだ。僕は虫が好きでたまらないからね。誰にも理解されなかった。でも、僕は虫の愛しさや、可愛らしさ、面白さ、小さいからこそ出せる素晴らしさを全部知ってる。だから、虫を傷つける奴は絶対に許せないんだ。君たちみたいなね。僕は虫の気持ちがわかるんだ。じゃあ、行くよ」

そいつのポケットから大量にハチが出てきて、俺たちを毒針で刺そうと意気込んでいた。びっくりして逃げる俺たちの反応を楽しんでいるようだった。スインは1匹1匹撃ち落としていたが、間に合いそうになかった。そこで、シンの黒い手が現れ、ハチを一気に叩き落とした。その他色々な種類の虫たちを倒し終えると、やっとそいつが動き出した。相当怒っている。勢いよくこちらに来ると、こちらは黒い手を2個出した。つまり、力がシンよりも上だということだろう。シンの黒い手は薙ぎ払われてしまい、俺たちの攻撃も弾かれてしまった。シンはもう一度手を出そうと四苦八苦していた。マジックのやつは瞬間移動を利用して虫好きのやつに技を当てていたが、瞬間移動させることで威力が落ちてしまい、ダメージは少なかった。虫好きのやつはマジックのやつに黒い手を伸ばした。しかし、マジックのやつはそれを避け、瞬間移動で少し退がった。虫好きのやつは虫の死骸を集めるとそこから妖力をとり、手を大きくした。とんでもないことをするな、こいつ。とにかく俺たちは手を避け続け、シンはまだ無理なようだ。普通に考えればこんなに時間がかからないはずだが、何をしているのだろう。スインはすでに妖力を消費しているようだ。水の弾丸を撃ちすぎたのだろう。ますます不利になっていくな。

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