いやどこだよここ
冒険者の街、ラウドの大広場で寝ている人間に
注目が集まる。
この街ではほとんどが勇者、英雄を目指す冒険者と
いう職業の人間で、稀に魔人や獣人といった種族の
冒険者がいる。
準備を急ぐ彼らにとって、ラウドで寝るなんて発想
は思い浮かばないのだろう。完全に変人扱いである
「んー……ん?」
ついに身体を起こした変人にさらに注目が集まる。
「おい……見ろよアイツの目」
「なんだあの色」
「青?」
「いや緑だろ」
「え、赤じゃない?」
「紫にも見えるけど?」
なんの話かも、この異様な光景も分からずに首を
傾げる変人はアオイである。
「いや待って、ここどこ」
どっと笑いが起こる。
「アイツ馬鹿じゃねぇの?」
「自分から寝たくせにね」
「ラウドで寝るなんて失態隠そうとしてんのか」
「なるほどね」
アオイはさらに混乱した。
ラウドが何なのか、ここはどこなのか、聞きたい
ことはたくさんある。
「あのーすみませんここどこですか」
「ラウドだって言ってんだろ」
「ラウドって?」
「んなことも分からないで来たのかガキ!
ここはな冒険者様が冒険の準備をする場所
なんだぞ! テメェには一生無理だろ!」
アオイは煽りに対して耐性があった。
そして、さらに掘り下げる。
「そのー日本ってどこか分かりますか?」
「どこだよそれ、秘密の土地かなんかか?」
しかし、
「ここはなんという国ですか?」
「アルディンだが?」
「いやどこだよそれ……」
さらに混乱するだけなのだ。