1/3
一章 転生って無双するものじゃないの!?
「あー痛いー!」
家中に叫び声が響いた。
ただのニート同然であるアオイは、大学受験を控えた
今年になって足首を骨折してしまった。
辛うじて学校には通えているが、その痛みは深刻で
毎日朝から夜まで叫んでばかりである。
今日は月曜日。祝日でもない限りは学校の日だ。
しかし、アオイは簡単に行こうとはしない。
「学校行きたくない! というか行けない!」
そう。駄々をこねるのだ。
「今日行けたらアイスあげるから……」
「父さんのもあげるぞ」
「チョコ? バニラ?」
「チョコ」
扱いに慣れた母と父は家にアオイの大好物である
アイスを常備していたのだった。
「いってきまーす……」
渋々家を出て、信号を待っていると急にアクセルを
踏む音が聞こえた。何故か動けない。
そしてガシャンとぶつかった音がした瞬間、
フェンスに叩きつけられて意識を手放した。