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第5話 ≪速水なずな登場! 中編≫


 速水なずなは性格が明るく、おしゃべりが好きな女の子で、

 髪の毛はポニーテールが多いが、たまにおろしている時もある。


 クラスメイトからも慕われており、休憩時間はクラスメイトと喋っている姿をよく見かけ、笑い声をよく耳にする。

 

 しかし、青太はなずなと1ラリー以上の会話をしたことがなかった。


「消しゴム落ちてるよ」


「あ、ありがとう……」


 そんな会話が数回あったのみだ。


 しかし、青太はなずなと日直を一緒にやることになり、朝の時点で早速2ラリー以上の会話をしている。


「それにしても、寒くなってきたよねぇ。朝とか布団から出る気起きないもんね。ベッドに車輪ついたら寝たままで学校まで来れるんじゃないかな。キャハハ」

 

 なずなは一人で喋って一人で笑っている。


 青太はなずなの横を歩きながら、この時間が早く終わればいいと思っていた。口下手である自分が明るい彼女の前で恥をさらしてしまう前に、この会話が終わってほしかったのだ。

 

 だが、なずなは喋りかけてくる。


「安田君って休みの日とか何してるの?」


「え?」 と青太はたじろぐ。


 するとなずなは笑いながら言った。


「それって、『聞こえなかった』って意味合いの『え?』なの?」


「いやそういう意味じゃなくて」


「じゃあ、『いきなりプライベートなこと訊いてくんなよボケが』って意味合いの『え?』っていうことなんだね」


「い、いや、そうじゃないよ」


「ハハ冗談冗談。そんな怯えた顔しないで」


「いや、ま、ハハハ……」


 二人は下足場に到着し、スニーカーから上靴に履き替える。


 そして廊下を歩くだが、青太にとって、なずなは身分が全く違う貴族のようなものに思えてしまう。そして、周りの生徒たちの視線が気になって仕方がない。


「で、安田君は休日には何をしてるの?」

 なずなは逃がしてくれなかった。


「いや、別に普通だよ」


「普通?」

 そこでなずなは笑顔ではなく真顔で訊き返してきた。

 さっきまでのリアクションとは違う、その冷淡な反応に青太は当惑する。


「普通って何? それを教えてよ」

 なずなは笑顔で言った。一瞬前の表情は何だったのだろうか……?


 青太は伏し目がちになり、口ごもる。

「ゲーム……だよ」

 明るい女の子からしてみれば、休日に部屋にこもってゲームをしているなど、印象どおりなのだろうと青太は思った。


 今の時代ゲーム好きであふれている。スマホで手軽にゲームができるような時代だ。

 だけど、青太はみじな気持ちになった。


 二人は二階にあがる階段にさしかかる。階段は左側通行となっており、のぼりとくだりでテープが貼られて分けられていた。

 そのため、なずなが青太の前で階段を進む。

 なずなのスカートがちょうど目線に来るので、青太は視線をそこから外した。


「それってどんなゲームなの?」

 振り返りながら、なずなは青太に言う。


「ア、アニマルランド」


「それってどんなゲームなの? わたしゲームってあんまりやらなくてさ、それって面白い?」


 なずなは矢継ぎ早に訊いてきた。


 これ以上、自分の話をすることが苦手な青太にとって、質問攻めは非常につらかった。だから、青太は勇気を出して質問返しを行うことにした。


「は、速水さんは、何をしてるの。や、休みの日は……」


「わたしは音楽と漫画と小説とネットサーフィン、釣りとか、ドラム。最近は一眼レフカメラにもはまっちゃって痛い出費だよ。バイト代が一気にパァー」


「…………」

 青太はあっけにとられてしまう。


「でもね、何より、休日に必ずやってることは……」


「う、うん……」


 なずなは満面の笑みで口を開いた、と思った瞬間に、「青太ァー!」と上の方から大声が聞こえてきた。

「ヒヒィィィィィィ」

 青太は慌てて声がした方を向くと、階段の上からさつきが顔をひょこっと出して青太を見下ろしていた。

 なずなは階段の踊り場に立ち、青太と同様にさつきを見上げた。


「そのまま動かないでッ!」

「え、え、え!」


 青太は動揺している。なずなは何が起こっているのかと驚いている。

 さつきは手すりに尻を乗せてスサーっと素早くおりてきたかと思うと、踊り場にいたなずなをじろじろと眺めた。


「ふうん。青太ってこういう女子がいいんだ」


「な、何を言ってんだ!」


「別にィ。ボッチの青太が女子と喋りながら歩いてるなんてさ。ま、いいや」


 なずなとさつきの間に面識はなく、なずなは半笑いで事の成り行きを見守るしかなかった。


「あんたさ、そのリュックの中、ちょっと見せてもらえるかな?」


「急に何だよ」


「あんたが学校に変なものもちこんでるって噂だよ」


「な、何を言ってるんだ! それはさつきが……」


「ちょっとそのリュック見せなよッ!」

 さつきは青太のリュックにつかみかかった。


「う、うぎゃああ」


「あんたがリュックの中に変なDVD入れてること知ってんのよッ!」


 なずなは二人の様子を傍観している。


 階段途中の場所で、さつきは青太からリュックを奪い取り、そして中に手を突っ込んでDVDケースを取り出そうとする。


「階段で乱暴はやめろ、危ないって!」


 しかし、そう言ってもさつきは聞く耳を持たない。

 そしてとうとうDVDケースの取り出しに成功した。


「……うっわああ。ナニコレ。ナニコレ~。青太、学校に変なDVD持ってきてるじゃん」


「それはさつきが」


「ねえ、そこの人ォ」とさつきはなずなを見る。「安田青太ってこんなDVDを学校に持ってきてるんだよォ~。やばくない?」


 や、やめろ! と青太は叫んでさつきにつかみかかろうとするが、さつきの運動神経に勝てるわけはなくサッとよけられて、今度は自分の運動神経の無さから階段で思い切り転んでしまう。


 ドシンッ!


 そして、階段に倒れた状態で、青太は踊り場を見上げた。

 

 その時に、なずなの白い二本の脚の間から上品な光沢を放つ水色のパンツが見えてしまった。青太は思わずそこに一瞬だがくぎ付けになってしまう。


 さつきとなずなは対面していた。なずなの方は黒いパンツで尻がほとんど出ている。


 青太はそこで、それどころじゃない、と思い直し「さつき、やめろ!」と言ったがさつきがそれを聞きいれるわけもなく、さつきは青太を見てニヤリと笑う。


 さつきはなずなにDVDケースを渡した。

 青太は絶望的な気分になる……。




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