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▶桃神の郷  作者: 三坂いおり
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第5話 ▶決闘! 1vs1の闘い

 あらすじ:真津璃はAランク、唯人はDランクだった

 煽ってきたゴーマンをボコボコにしようと企む俺だったが、真津璃にあっさり止められるのでした。

 てか、なんかこいつの身体、柔らかくね?


 冷静さを取り戻していると、正面の掲示板近くからマイクの音があがった。

 (かなめ) 先生である。

「テステス。よーし、ランクの確認は終わったか? じゃあ次はいよいよエキシビションマッチだ」


 エキシビション。

 その魅力的な単語に、やかましかったフロア内もピタリと静まり返る。


「簡単に言えば模擬戦だ。『力』『智』『心』、この三分野のトップ二人に、それぞれ実戦形式で『決闘』をしてもらう。もちろん成績評価には一切影響しないから安心してくれ」

「ちょっと待て」

「どうした、年上好きの備前(びぜん)


 それ、毎回言うの? 誰も手ぇ挙げなくなっちゃうよ、先生。

 とか思ってたらBランクの掲示板前にいた深紅の着物を着ている女性がプッツン。公開説教タイムが始まりました。


「要さん、あなた自分の立場がわかってんですか?」

「ハイ……ハイ……」

「あなたには、もっと教育者としての自覚をですね」

「反省してますぅ」


 マイクを挟んでの痴話喧嘩。身長差は頭二つ分ほどある。

 前言撤回、怒っているのは着物の女性というより浴衣の幼女だ。

 それにおっさんが叱られている図は、どう見ても娘に怒られる週末のオトンである。


「まあまあ、鳥子(とりこ) ちゃん。そのくらいにしとき~」


 黄緑色の着物を身に纏った女性が止めに入るまで、幼女の説教は続いた。ここまで一連のコントにしか見えない。

 そして、一番の被害者は。


「……おい、そろそろ質問してもいいだろうか」

 今の今まで放置されっぱなしだった、独守備前(どくもりびぜん) である。五分くらいずっと右手挙げてたぞ、こいつ。

「いやあ、すまない。ちょっとばかし悪ふざけが過ぎた。で、何が訊きたい?」

「『決闘』とは何だ」


 単刀直入な質問である。すっかり驚くことにも慣れてきたが、確かに耳慣れないワードだ。まさかカードゲームをするわけでもあるまい。


 要先生は待ってましたと言わんばかりの笑みを浮かべる。

「その質問に答えるには、まずお前たちの()()()()を知っておいてもらう必要があるな」


 そこで一旦言葉を区切ると、要先生の声が少し低くなった。

「……これから、お前たちには桃神郷で一年間生活してもらう。もちろん、ただのんびり過ごすだけじゃない。鬼を狩る優秀な桃太郎になるため、……周りのやつらを蹴落としていくんだ」


 背筋に悪寒が走る。

 さっきまで一緒になって盛りあがってたこいつらが、向こうでは全員敵になるというわけだ。やっぱりデスゲームじゃねえか!


 連中は驚いている様子もない。

 真津璃もこのことを知って……いや、たぶん俺だけが知らなかったんだろうな。


 要先生は言う。

「察しのいいやつは気づいてるだろうけど、何も命を取り合うってわけじゃない。お前たちが桃神郷でやることはただ一つ。『決闘』に勝ち続けることだ」


 よかった、デスゲームは無かったんだな。でも、そりゃそうだ。桃太郎を育てるっつー機関がわざわざ断捨離を行うわけねえよな。

 しかし、『決闘』ね。これがを制することが生き残る鍵になりそうだ。……いや、俺は向こうに着いたらすぐ帰るけどな。


「『決闘』には三つの勝負方法があり、桃神郷ではこの三種類以外での争い──具体的には、暴力や窃盗だな。そういったものは発生しない。発覚したら一発でレッドカード、強制送還だから注意してくれよな」


「どこまでも『決闘』主義ってわけね……」

 真津璃は独り言のように呟く。なんだ、その語尾。女みたいだぞ。


「で、その勝負方法だが……」

 要先生はパチンと指を鳴らす。

「実際に見てもらった方がわかりやすいだろ。お前ら、ちょっとばかし後ろに下がれ。『決闘』のフィールドを設置するからな」


 ざわざわ、と訳がわからないまま俺たちはフロアの後方に固められる。その間、前方では掲示板が撤去され、着物の女性たちが機材やら何やらを運び始めた。

それを悠然と傍観する要先生。「あなたも手伝ってください」と、着物の幼女にドロップキックを食らっていた。


 手際よく進むセッティングを見て、俺は呟く。

「今、ここでおっ始めるってのかよ」

「実戦形式……か。ふん、小粋なことを考えるじゃないか」


 ニヤリ、と笑う真津璃。純粋にワクワクしているように見える。

「随分余裕だな。各分野のトップ二人ってことはお前が前に出る可能性もあるんだろ?」

「まあ、そうだな。僕は『力』の代表で選ばれる。絶対だ」

 大した自信だな。さっきの一戦を見る限り、強いのは確かなんだろうけど。


 まあ、どの道Dランクの俺には関係の無い話だ。真津璃が出るのなら、適当に応援してやろうじゃねえか。

「ほーい、フィールド完成っ。じゃあ、まずは『智』のトップ二人に『決闘』してもらおうかな」

 俺はフロア前方の()()を見る。


 一言で言い表すのなら、クイズ番組のスタジオセットだ。解答席が横並びで二つ仲良く並んでいる。席の上には、回答ボタンやペンタブレット。側面には獲得点数が表示される画面まで完備されている。わりと本格的なセットだな。


 一同がどよめきの声を漏らすと、それに機嫌を良くした要先生が、声を弾ませ喋り始めた。

「えー、見てもらったらわかる通り、これが『智』で『決闘』する際に使用するフィールドだ。今から番号と名前を呼ばれた者は前へ出るように」


 前方に並んだ二台の解答席。そこから一歩引いたところで、要先生はマイクを握っている。

「まずは、最年少10歳! 『35』番、御影京太郎(みかげきょうたろう)ー! 」


 10歳だと。聞き間違えたのかと思ったが、そうだ、ここは高校じゃない。それに今さら年齢に突っ込むのは野暮ってもんだ。ゴーマンなんかどう見ても高校生のナリじゃないしな。


 壇上に現れたのは小学生くらいのガキ。猫背で、無駄にでかい丸眼鏡をかけている。無地のシャツに特色のないジーンズ。ザ・インドア派って感じの風貌だ。


「京太郎は総合でこそCランクだが、その圧倒的な頭脳で『智』のトップに躍り出たツワモノ! そして対するは……生ける雑学王! 『32』番、明石猫丸(あかしねこまる) ー!」

「おおーっ! ワシが選ばれたかっ。うへへ、うんちくも捨てたもんじゃないのう」

 スキップで壇上にあがったのは、糸目の爽やかお兄さん。襟付きのシャツを着ており人当たりもよさそうだ。初対面だろうに、要先生とハイタッチなんてしている。


「猫丸は総合Bランクの秀才だ。お勉強が得意な京太郎と違い、こいつの領分はあくまで雑学。そこの違いがどう『決闘』に響いてくるか見物だな!」

 


「それでは、お待ちかね。ルール説明といこうじゃねえか! 花歌(はなうた) ちゃん、よろしくっ」

「はぁ〜い、うちの出番やな」

 ぱたぱたとやってきたのは、黄緑色の着物を着た女性。高身長に加えスタイルも抜群。着物美女四人の中ではぶち抜けて色気を感じさせる。


 じーっ、と隣から冷ややかな視線。

「なに鼻の下伸ばしてんだか」

「男なら当然だろうが」

 ふん、と真津璃はそっぽを向いてしまう。なんなんだ、この美少年様は。

 説明&バトルパートです

 この実践演習でキャラ紹介もできたらな、と考えています

 ……しっかしキャラクター増えてきたなぁ……

(正直、当面は主人公と真津璃さえ覚えておいてもらえたら十分です)

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