峰
この作品は牧田紗矢乃さん主催、第四回・文章×絵企画の投稿作品です。
この作品は、桧野 陽一さんのイラストを元に執筆しました。この場を借りて、御礼申し上げます。
桧野 陽一さん:https://10819.mitemin.net/
遠い。
はるか、遠い。
峰々は、剣だ。
心を突き刺し、それでいて離さない。
私を遠く、どこかへといざなってくれる。
社会に疲れた私は、こうして時折旅に出る。
その旅先は大体国内だ。
その多くは山に向かう。
そこからの見る景色は、社会を抱合し、あまりにも切なく、あまりにも広い。
平面に生きるためにはたまに高さが欲しくなる。
それが理由かは知らないが、きっとそうなのだ。
私がいうから、それが事実かは関係ない。
それが真実となるのだ。
だから今日も私は峰へ上り、山で気づく。
社会は、世界の一つなのだと。