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六花立花巫女日記  作者: あんころもち
8日目、剣士としての誇りなのです?
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私は強くなる②



 町民からのお礼もそこそこに、王都への帰路につきます。


「しかし、あんさんらは強いな」


 私とアリスさんの後ろを着いて来ているライゼさんが、ぼそりと呟きました。


「その歳でここまで闘えるのはそう居らん。連携も取れとる。敵は居らんだろう」


 急に褒められて、照れます。しかしですね。


「……あなたのほうが強いと思いますけれど?」


 アリスさんが少し不機嫌に応えます。


 私とライゼさんの戦い。理解はしてもらいましたが、納得はしてなかったようです。


「アリスさん、ごめんね?あんなこと言ったのに、勝てなかったよ……」


 見ていて。とかっこつけたものの、結果はあの様です。


 せっかく送り出してもらえたのに、あれでは……。


「リッカさまが謝ることでは……。それに、真剣に戦うリッカさまを、観客として見たのは初めてです……。かっこよかったです」


 アリスさんは笑顔でそう言いました。その言葉に、私は思わず顔を覆ってしまいます。


 真っ赤に茹で上がった顔を見られるのは恥ずかしいのです。



「あ、ありがと――」


 消え入りそうな声でお礼を言います。


 アリスさんは死闘をする私しか知りません。私が戦ってるところを、ただ見るというのはありませんでした。それもあるのでしょう。


 怪我はする可能性はありましたけど、死には……しないのですから。


「まぁ……本当にそう思っただけだ、なかなかに強い化けもんだったしな。あんなに早く討伐してくれて助かった。後ろを守りながらじゃ、無茶もできんかったしな」


 ライゼさんは町民を守りながら対峙していました。犠牲者がなかったのは、そのお陰です。


「――町民の皆様を守っていただき、ありがとうございます。私たちだけだでしたら、間に合いませんでした」


 アリスさんが、少し機嫌を戻し、礼を述べました。


「気にするな、これが仕事だと言ったろ。それに、アンネちゃんにいい土産になる」


 そういえばアンネさんと知合いなんでしょうか。


「アンネさんを知ってるんですか?」


 失礼ではありますけど、軽そうなこの人とアンネさんが繋がりません。


「おぉ、知っとるぞ。なんせ俺の担当だ。あんな美人そうは居らん。もっと親密になりたいんだが……」


 アンネさんを想ってるのか、イヤラシイ顔をしています。


「……」

「……」


 私たちからの視線に気づいてるはずですが、構わずに想像し続けています。


「あんさんらも綺麗だがアン」

「アリスさんに」

「リッカさまに手を出したら」

「本気で戦います」

「覚悟していてください」


 私は、いつの間にか魔力を放出していたのか、あたりが赤く煌いています。アリスさんも身の危険を感じたのか銀色を纏っていました。


「あ、安心しろ。あんさんらに手を出さんとギルドで言ったろ。何より”巫女”に手を出すほど身の程知らずじゃねぇ」


 それなら、いいですけど。警戒は解きませんよ。


「一気に好感度下がった気がするが、まぁいい。ロクハナ嬢よ。ほれ」


 そう言って私に剣を差し出します。


「いいんですか?」


 剣は剣士にとっては魂です。私の剣も集落皆の想いがつまっています。


「構わん、あんさんにならな」


 よほど同じ剣士にあったのが嬉しいのか、信用されています。


「ありがとうございます」


 そういって、慎重に鞘から抜きました。

 

 刀身は厚いものの、研ぎ澄まされ、切れ味が確かにあるのを感じます。重厚、ですね。私には重く感じます。強度も高いです。


 この大きさを振るのは”強化”魔法必須ですけど、切れ味があって尚且つ重みがある分、むしろ消耗は圧倒的に抑えられるでしょう。


 なにより――。


「綺麗な刀身です。刀に、近い」


 これなら、後は片刃にして柄の部分を木刀にするだけで。


「どうだ、気に入ったか」


 ニヤニヤと私を見てきます。その顔はムカつきますが、気に入ったのは確かです。


「お願いが、あります」


 とにかくお願いしましょう。武器が、必要です。今回の敵は刃が通りにくかった。次は、もう……時間がありません。


「いいぞ」

「私に剣――え」


 私は思わずきょとんとします。


「いいと言った。作ってやる」


 いいのでしょうか。


「ただし、礼はもらうぞ」


 ですよね、しかし私自身のお金がありません。ローンとか、ダメでしょうか。


「そうだな、金はギルドので十分だからな」


 そう言って私をじっと見ます。なんだろう。肉体労働でしょうか。


「……ライゼさん? 何を考えているか知りませんけれど、それ以上言うと」


 アリスさんは何かを感じ取ったようで、ライゼさんを牽制しています。


「いや、だから手はださんて。……”巫女”は落ち着いた威厳のある聖人のような少女と聞いていたんだが……これはただの友達思いの少女だな。いや友達思いというより」

「ラ イ ゼ さ ん」


 なんでしょう、二人で話してますが……。


「ロクハナ嬢。どうだ、俺の弟子にならんか」


 ん? 剣の代金と弟子、どんな関係が? 弟子になれるのは、嬉しいですけど。正直、それも頼もうと思っていましたから。


「今まさに世界が注目する異世界からの”巫女”が俺の弟子になったとなれば、少しは剣術の注目度もあがるだろう」


 ああ、そういうことですか。支配人さんと似た理由ですね。


「注目されれば、剣術の有用性も知られる。なんせ”巫女”が化けもんと戦うときに使ってんだからな」


 支配人さんとは違うようですね。

 

「多くの戦う人に剣術知ってもらうことで、犠牲者を減らせるかもしれない。ってことですか」

「そういうことだ。まぁ、有名になりたいっていうのもあるが」


 戦う術さえ整えることができれば、蹂躙されるだけの人が生き残ることができるかもしれない。気高き理想です。手伝いたいと、純粋に思います。


 それでも、剣の代金には程遠いような。


「なぁに、あんさんの守りたいって想いに中てられただけだ」


 ――そういう、ことなら……。


「ありがとう、ございます。よろしくお願いします」


 そういって、今持っているライゼさんの剣を見ます。


 これで、戦う力が整います。守る力、あとは――私自身です。アリスさんを守りきる。そのための力を、身に着けなければ。



「巫女様も良かったな。あんなに想ってもらえて」

「はい。私は幸せです。ですけど……」

「どうした」

「……私、のせいで……リッカさまは」

「詳しくは知らんが、あまり思いつめるな。そんなことロクハナ嬢は望んじゃ居らん」

「わかってっ……います。私には、そんな資格すら――」

「そういうんじゃねぇんだが。まぁ、自分で気づくしかあるめぇよ」

「二人ともどうしたの? 内緒話? ――ライゼさん、まさかアリスさんを口説いてたんじゃ」

「あんさんらは俺を勘違いしとるぞ……?」


 ギルドについたときすでに、今日が終わりそうでした。



三人目です。

師匠キャラは必須。

魅力のあるキャラになるようにしたいです。

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