表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
六花立花巫女日記  作者: あんころもち
8日目、剣士としての誇りなのです?
92/934

二人のバイト生活③



 アリスさんから聞いたけど、今日浄化に参加してくれた人数は――王都市民約十一万人中二万四百六十七人だそうです。


(そんなに浄化したかな)


 私は、一人ずつ。アリスさんは複数人だったとしても……その半分も行っていない気がします。アリスさんはギルドから聞いたと言っていたから、計測して貰った数なのでしょう。


 多分、並んでくれた人がそれだけ居たのだと思います。そして実際に参加してくれた人数はもっと少ないはずです。私の浄化を見て……帰った人も居るでしょうから。


(何にしても……)


 これが全てというわけではないでしょうけど、王都の人口を考えると『感染者』の数が少ないですね。この世界の人は負の感情のコントロール?が上手なのでしょうか。元の世界だと、全員『感染者』になっていそうですよね。


 明日もこれくらいの人数になるのでしょうか。まぁ、私が浄化した人たちは……ちょっと恨めしそうに私を見てましたけど。許して欲しいです。明日は、アリスさんだけでいけるかもしれませんから。


 私はまた、給仕です。今日は支配人さんの顔がつやつやでした。儲けは良さそう。今後もよろしくお願いしますと、言ってましたね。


(『感染者』相手に、総当たりっていうのは……)


 今回は、並んでくれた人数よりも少なかったようですけど……それだけの人が興味を持ってくれているのです。何れ、本当に何万人も来るかもしれません。別の方法も、考えていかないとですね。


 そんなことをぼーっと考えてます。


 アリスさんがシャワー浴びて着替えて出てくるのを待ってる感じです。


 初めてのバイト、きつかったですね。人生初って、どうしてこんなに疲れるのでしょう。


「リッカさま、おまたせしました」


 アリスさんが上がってきました。いつも、この瞬間は落ち着きません。髪がしっとりとしていて、肌は少し紅潮し、甘い香りが漂うのです。


「んーん、大丈夫だよ」


 私は平静を装うことに全力を出すのでした。


 この時に行う魔力コントロール訓練が一番効果的です。……それに逃げてるだけですけどね。別に集中してないと悶えそうになるのです。


 唐突ですけど、お花屋いきたいですね。森を……感じたい。


 そういえば、アリスさんと触れ合ってると、森を感じます。”神林”もだけど、”神の森”に居た時を、思い出すのです。


(なんでだろう)


 ”神林”は分かります、アリスさんはずっとそこにいたんですから。でも、”神の森”まで感じるのは、どうして? んー?


「リッカさま?」


 どうやら顔に出てたようです。


「んーとね、おかしいと思うけど……。アリスさんと一緒に居ると……”神の森”を感じるの」


 むしろ、”神の森”以上に”神の森”。何思ってるんだろう私。凄く馬鹿っぽいです。


「リッカさまは本当に森が好きなのですね」


 アリスさんがクスクスと微笑みます。


「そうだね。森大好きなんだ。初めて”神の森”に入ったときからずっと」


 この話するの、初めてでしたね。なんか恥ずかしくって。


「私も、”神林”に入ったときは高揚しました」

「アリスさんも?」


 アリスさんも昔を思い出してるようです。私は少し嬉しくなって、声が弾んでしまいます。


「はい。居場所を見つけたような……包まれるような。そんな感じでした」

(え――)

「私も、そんな感じだった」


 ここまで一緒になるものなんだ。


 同じ巫女で、同じように初めて森に入った時に高揚して、同じ気持ちになって。


「一緒。ですね」


 アリスさんが嬉しそうに言います。


 その姿に私は疑問を棚上げにしました。


「うん、一緒。だね」


 アリスさんと戯れることを選びたかったからです。



 じりりりっと音が震えます。何でしょう? 


「はい、アルレスィアです」


 アリスさんが突然話し出しました。でもその姿は、魔法を使用している証である、銀色の煌きに包まれています。


(これが、”伝言”魔法かな?)


 初めて見ますけど、スマホでの通話みたいですね。


「……わかりました。すぐに参ります」


 アリスさんの顔が強張りました。これは、準備したほうがよさそうです。


「リッカさま……。もう気づいていらっしゃるかと思いますけれど……出ました。マリスタザリアです。場所は王都から数キロ離れた場所にある小さな町です」


 やはり、といったところですか……っ。


「いこう、アリスさん。こうしてる間に犠牲者が出ちゃう」

「――。はい、リッカさま」


 私は、準備を済ませ入り口へ向かいます。アリスさんが少し、私を心配するような声音で返事をし、ついてきてくれました。


 今日はまだ、終われそうにないですね。




評価をまたいただきました!

感謝です!

これを励みにし、精進いたします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言]  少々気になるところもありますが(最初の感想の方ほどではないが、ちょっとは気になった程度には)、楽しく読ませて頂いています。立花とアリスの関係も好きです。  92部分に「初日で浄化しきれたの…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ