表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
六花立花巫女日記  作者: あんころもち
6日目、私は弱かったのです
82/934

二人のギルド生活⑨



 何か夢を見ていた気がします。まだ私が、何も知らなかったころの――。


「ん……うん……」


 目を開けると、アリスさんと目があいました。


「おはようございます。リッカさま」


 どうやら、シャワーから戻ったあと、寝てしまっていたようです。


「おはよう、アリスさん」


 私は起き上がります。もう体から痛みはありません。


「アリスさんが、治療してくれたの?」


 こんなに綺麗に痛みがなくなっているのです。治療されたのかと思い聞きます。


「はい、少しだけですけど……。楽になりましたか?」


 アリスさんが照れたように笑い応えてくれました。


「うん。綺麗に疲れとれてるよ」


 私も微笑み返します。


「リッカさま、また夢を見ていたのですか?」

「そうみたい、昔の夢だったような?」


 アリスさんから指摘されま――って、夢を見ていたのがバレている……。


「……なんか、寝言言っちゃってた?」


 前もこんなことありましたね……。


「いえ、寝言はありませんでしたけど。前の時の幸せそうな寝顔と、少し違う幸せそうな顔をしていたもので」


 ふふふ、とアリスさんが楽しそうに笑顔になります。


「そんなに顔に出てた?」


 と顔を抑え、はっとします。


「……。前の時もそんなに幸せそうにしてたの?」


 前の時、なんの夢だったかは覚えていませんが、そんな顔をしていたと……。


 アリスさんを見ると、やっぱり慈しむような笑顔をしていて。


「さぁ……秘密、です」


 少し跳ねるように言葉を紡ぐのでした。


「私も絶対アリスさんの寝顔、観察するから……」


 私は少し膨れてアリスさんに宣言します。


「楽しみにしていますね?」


 アリスさんは余裕を崩すことなく笑顔で応えました。


「むぅー……」


 そうは言ったものの、アリスさんは私より先に起きてるようです。


 私と違って昼寝なんてしそうにないし……もっと早く起きるしかありませんね。


「ふふ……」


 アリスさんの笑顔が更にまします。


「? どうしたの? アリスさん」


 気になって聞いて見ます。アリスさんは口に手をあて、くすくすと笑ったままなのです。


「いえ、そんなに、私の寝顔を見るために真面目に計画を立てているので……つい」

「だってぇ、私だけ見られてるなんてズルいよぉ……」


 アリスさんの、笑いを堪えた表情に、私は頬を更に膨らませました。


「ごめんなさい。リッカさま」


 アリスさんは笑顔で、私の膨れた頬を指で押します。


「ぅ――。もう」


 私は思わず笑ってしまいます。


「さぁ、リッカさま。今日の晩御飯を買いにいきましょう?」


 アリスさんが微笑みながら立ち上がりました。


「うん、今日は何にしようか」


 私も起き上がります。


「そうですね……。なんにしましょう?」


 アリスさんが思案しながら私に尋ねます。


「市場で見ながら考えよっか」

「はいっ」


 二人で微笑みあいながら、市場へ向かいます。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ