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六花立花巫女日記  作者: あんころもち
50日目、お爺さんなのです
735/934

転移49日目 記入日 A,C, 27/04/14



 今日は……いえ、昨日は、ですね。今は朝です。朝の修行は免除となりましたので、彼女にお願いして何時もの体勢で日記を書く時間を貰っています。


 さて、何から書くべきか……。


 とりあえず、自分の調子から、ですね。


 結論から書くと、ピンピンしてます。腕の腱を思いっきり斬ったのですけど、しっかり動いてます。後遺症もありません。彼女の、お陰です。

 その事で、日記を書く前に怒られてしまいました。自傷行為です。こんな事、彼女の逆鱗に触れても仕方ありません。顔を赤くして、私の目を見てくれませんでした。本当に、怒らせてしまったのです。どうにかして謝ろうと彼女の正面に立ったり、後ろから抱き締めたり、前から抱き締めたり、ベッドに押し倒してみたりしました。どれも不発で、一言も発してくれなくなりました。


 ちょっとだけ、本当にちょっとだけ泣きそうになりました。というより泣いたかもしれません。彼女が私の目を拭って、怒りは収まっていて、別の意味で少し、私の顔を見るのが恥ずかしい、との事でした。どうやら、私の考えすぎだったみたい、です。


 良かったと思うと同時に、脳裏に過ぎったある光景に私も赤くなりました。夢、だったのだと思います。彼女が私のおでこに、キ……キ……接……っ! ううっ……。まどろみの中で彼女に何か口走りそうになった事も、夢ですよ、ね? もし本当だったとしたら、残念です。ちゃんと目を見て……意識があるときに……したかっ……出来る、でしょうか。日記を書く姿すら見せられない私に……。


 い、今は、そういった事にかまけている場合では……ないのです。


 そうです。私が自傷行為を行うきっかけである、ゴホルフ……魔王の幹部との戦いです。

 もう、時間はかけていられません。


 魔王は私たちを完全に敵と見なし、用意周到な作戦でもって襲ってきました。はっきり言って、これ以上時間をかけると、また策に嵌りそうで焦っています。


 私は確かに、【アン・ギルィ・トァ・マシュ】を手に入れました。”強化”も”抱擁”も、進化しました。”光”だけは変わってませんけど……。とにかく、強くなれました。


 ライゼさんだって、帰って来ました。まだ会えてませんけど、命に別状はないそうです。

 約束も果たせました。後は残りの幹部に気をつけながら……魔王を倒すだけ。そのはずです。まだやるべき事はあれど、それだけなのです。


 なのになんでこんなに、私は……。


 一歩を踏み出せた。色々な意味でそう思います。でも……油断も喜びもしません。魔王を倒すまで、気を抜けないのです。



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