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六花立花巫女日記  作者: あんころもち
5日目、共同生活なのです
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二人の王国生活②



 宿というより、ホテルといった建物でした。


 この重厚感溢れる、佇まい……私の世界で泊まろうと思ったら、所持金全部使っても足りないことでしょう。


「ア、アリスさん……。ほんとにここ?」


 私は不安になってしまいます。


「はい。陛下にはここだと、教えられたのですけれど……」


 見ればアリスさんも不安そうです。無理もないでしょう。私たちは本当に、旅は初めてなのですから。


「とりあえず、入ってみよ?」


 こんな時は、私が行くべきでしょう。私のほうが、活動範囲は広かったのですから……リードするべきです。


「は、はい」


 アリスさんを促して、中へいきました。そして内装を見て、確信します。


(ここは絶対高い)


 ランプの火によって仄かにライトアップされた空間。仄暗いのに、雰囲気は暗くありません。むしろ落ち着く色合いです。これだけで、軽い気持ちでやってきたお客さんは弾かれそうです。


 待合所と思われる場所にある机、椅子には緻密な装飾が施されています。正直、王宮にあった調度品より高そうな物ばかり……。


 受付の佇まいは……まさに、執事と見間違うほどです。


(王様は、間違えたのかな?)


 普段王様が市井に来た際に泊まる場所かな? と思いましたけれど、王宮は近くにあるのでわざわざここに来るとは思えません。


「リッカさま。どうすれば……」


 見ればアリスさんが珍しく、目に見えて困惑しています。恐らく、普通の宿に泊まるつもりだったのでしょう。私も、ソウ思ってました。


「受付に行ってみるから、ちょっと待っててね?」


 入り口に立ったままなのも失礼なので、受付にいきます。大丈夫。学校でそれなりに……社交を学んでいます。


「ごめんください。陛下の紹介で訪ねたのですが」


 とりあえず、陛下の名前を出します。


「大変失礼ですが、お名前をいただけますか」


 アリスさんのフルネームはしっかり覚えてますが、発音が……。


「はい、あるれしーあ・ソレ・クレイドルと六花立花です」


 やっぱり舌足らずになってしまいます。はずかしい。


「――巫女様のお二人ですね。たしかに陛下よりご連絡をいただいております。どうぞ、こちらへ」


 連絡してくれていたのですね、助かります。でも、生活は自分たちでやると……。そう思いつつも、アリスさんに声をかけ、受付の案内を受けます。


 通されたのは、先ほどロビーにあった机と椅子ではなく……明らかに特別な人だけが通されると思われる部屋でした。


「陛下より、伝言を賜っております。本日は旅の疲れもあるでしょうから、一晩だけでも当宿へ泊まってください。とのことです。お代もすでにいただいておりますので、ご安心ください」


 どうやら、最後までお世話になってしまったようです。


「ありがとうございます。陛下にお礼を言いたいのですが」

「いえ、お礼はいらないのでどうか、よろしくお願いします。と」


 どうやら、陛下はお見通しだったようです。


「では、しばしお待ちください」


 そういって受付の方が退出しました。



「結局、御世話になっちゃったね」


 一晩だけだし、気にしてもしかたないですね。お言葉に甘えて、休みましょう。


「ありがとうございます、リッカさま。こういった経験はないもので……」

「んーん、気にしないで。アリスさんにしてもらったことに比べれば、全然だよ?」


 感謝したいのは私のほうです。だから、アリスさんの為になれるのなら――。


「私の全部あげても足りないくらいだよ」


 と、はにかむように()()()伝えます。


「えっ!? ……は、はぃっ。ありがとうございます」


 アリスさんの声が上ずってしまいます。どうしたのでしょう。


(私の全部を、あげ……)


 コンコンとドアがノックされました。


「どうぞ」


 私は冷静に招き入れます。


「お待たせしました。ではお部屋へ案内します」


 私たちは――お互い顔を染めたまま……案内を受けました。



 通された部屋もまた、先ほどの王宮より……よほど豪華でした。どう使うのかわからないような家具が多くあり、部屋にお風呂がついていて、調理場まであります。


 そしてベッドが、キングサイズのベッドが一つ。

 

(集落でも一緒に寝たんだし、今更だよね。今更)


 ――私の全部をあげても。


「~~~!」


 思い出さないように別のことを考えます。


「アリスさん。ご飯は、一応宿のものもあるみたいだけど。どうしようか」

「はっはい。私が、作り、ましょうか……?」


 アリスさんに視線を向けると、アリスさんは顔はまだ赤く、視線は……ベッドにいっていました。



 約束通り、今日はお料理教室です。やっとお互いの顔の熱がひいたころ、外に買い物にいくことにしました。


「リッカさま。どちらへ先にいきましょう」


 アリスさんも普段通りに戻っています。


「じゃあ、武器屋先にいいかな? 魚買うなら、すぐ宿に戻れたほうがいいから」

「はい。では参りましょう」


 ナマモノは危険です。気をつけないと。生きていましたし、まだまだこの世界は寒いですけれど、体調の管理が最優先なのです。


 アリスさんと笑顔で、街を歩きます。これからの共同生活に、想いを馳せて――。



日常編です。


戦闘も入れてメリハリつけたいと思っております。


テンポは大事にしたいですが、うまくいきません。

ご容赦くださいっ

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