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六花立花巫女日記  作者: あんころもち
5日目、共同生活なのです
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光の魔法

A,C, 27/02/29



私の掌に(【フラス・パルム】・)光を(イグナス)……」

 

 暖かな光が、私の手を包みました。


「やはり、体への付与は安定して強力みたいです」


 アリスさんが私の手をまじまじと見て、関心を示します。


「アリスさんのように、撃てるのが一番なんだけどね……」


 今、私は”光”の魔法を練習しています。なぜ、私の元気がないかというとですね。



 軽い朝食を済ませ、魔法の練習をアリスさんにつけてもうことになったのですが。


「では、リッカさま。まずは私が使ってみせます」


 そう言って、アリスさんが集中し、瞳とローブの紋様から銀色の光が煌きます。


(いつ見ても、綺麗……)


 その光景に心奪われそうになりますけど、アリスさんの魔法へ注目します。


私に光(【フラス・ラン)の槍を(ツ】・イグナス)……!」


 アリスさんの頭上に三つの光の槍が現れ、眼前の岩に向かって飛翔します。


 岩にぶつかると同時にシャーンッと鐘がなるような音と共に光り輝き、消えました。しかし、岩は無傷です。


「ご覧のように、物や健全な人には全く効果がありません」

「衝撃は、少しあるっぽい?」

「はい、少し仰け反らせる事は出来ます。この”光”は、悪意、悪意を宿す者に対しては、悪意を()()射抜きます」


 防具や防御魔法を無視し、悪意への直接ダメージ、という事です。


「だから、悪意への特効攻撃」


 ただし、悪意の純度次第でダメージは変わります。悪意の純度が上がれば、より強力な光の魔法が必要になるそうです。


「この魔法が、魔王攻略の一番の切り札に、なるはずです」


 実際に、私たちが悪意に向かって撃ったことがあるわけではありません。どこまで、通用するか、これからの努力次第なのです。


「じゃあ、今度は私が」


 強く、想います。眼前の悪意に対して、私が攻撃するイメージを。


 ――……?


「アリスさん。えっと」


 イメージは、できました。呪文も、思い浮かびました。でも……。


「どうしました? リッカさま。同じ魔法でしたら、言葉に想いを乗せるだけで……」


 どういう、ことでしょう、思い浮かんだ呪文が違いました。とりあえず、アリスさんと一緒の魔法を撃ちます。


 集中しやすいように、木刀を正眼に構え、想いを乗せ。私も瞳とローブを赤色に煌かせ――。 


私に光(【フラス・ラン)の槍を(ツ】・イグナス)……!」


 発動はできましたが、これは――。


「こ、これは……」


 アリスさんが驚くのも無理はありません。私が発動し、出てきた槍は……。


「縫い針、かな?」


 そう、まるで縫い針のような、輝きだけは無駄に強い、光の筋でした。



「どうやら、リッカさまは体から離れる、遠距離魔法が……」


 自分以外を遠距離に飛ばす魔法が、苦手、のようです。


 ”火”も”水”も体から離れるのは、下級の一段階でしたが……私ができる特級以外の魔法は、”精錬”と”疾風”のみのようです。


「どうしよう、私遠距離攻撃できないみたい」


 落ち込みますが、一つ気になることがあるので、先にそちらを解決させます。


「でも、アリスさん。私、魔法をイメージしたときに別の呪文想い浮かんだの」


 あれは、私の戦闘スタイルにはぴったりだと思います。


「本当ですか?では、見せていただけますかっ」


 アリスさんの目が光ります。魔法をたくさん使えるアリスさんの、収集欲とかそんなものに火がついたのでしょうか?


「じゃあ、いくよ? ――私の掌に(【フラス・パルム】・)光を(イグナス)……」



 ――と、言うわけで。私は遠距離魔法を覚えられるかと思ったんですけど……現実は、徒手空拳に”光”の力が乗る。くらいのものに、なってしまいました。


「”光”の魔法としては、私と同等の力を感じます」


 アリスさんと同等、そう聞くと嬉しいですし、使えそうとは思います。


「たぶん、ただの攻撃のイメージだったから掌に付与されたんだと思うんだけど……”精錬”と同じイメージでやれば、木刀に光の魔法付与できるかな?」


 せめて、武器につかないと。いくらなんでも、素手でマリスタザリアを攻撃なんて……無理です。


「恐らくは、可能と思います」

「よかった。とりあえずは形になりそうで」


 アリスさんのお墨付きなら、大丈夫かな。前途多難ですが、なんとか。一歩前進。ですね。



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