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六花立花巫女日記  作者: あんころもち
3日目、しばしの別れなのです
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旅立ち③



 しばらく、エカルトくんとエルケちゃんと談笑。


 エカルトくんは将来守護者になって、アリスさんを守りたいって事。エルケちゃんはいっぱい勉強して、この集落をより豊かにすることでアリスさんに貢献したいという事を聞きました。


 驚いたのは、エカルトくんは三歳、エルケちゃんは五歳ということでしょうか。こんなにしっかりとしているので、もう少し上かと思いました。


 そんな二人の夢は別の方向でしたが、アリスさんを助けたいということは一緒でした。


 二人の夢には、やっぱりアリスさんの存在は必要不可欠で、だから――。


 そんな私たちを、慈愛の目でみつつ、アリスさんが帰ってきました。


「おまたせしました、リッカさま」


 私の膝の上のエカルトくんを撫でながら、アリスさんが言います。


「二人とも、リッカさま貰っていきますね?」


 はーい。とお辞儀をして、二人が住宅側へ走っていきました。


「……二人が、皆が笑顔で居られるようにしたいね」

「ええ、必ず……」


 私の笑顔に、アリスさんも笑顔で応えてくれました。


 神さまに頼まれ、神さまの調整が出来るようにする為の旅。それは”巫女”に課せられた、神さまからの絶対不変の”お役目”。でもその先には――”人”が居ます。


 私達が守るべきは世界ではなく人です。


 さぁ……いよいよ、出発です。




 恐らく、集落の全員でしょう。広場に集まっていました。アリスさんが両親と抱擁しています。私はその光景を、目にやきつけます。


 そんな私にオルテさんが――剣を、渡してくれました。この集落にある武器で一番のモノだそうです。守護長しか使うことを許されない剣……。私は、託されました。


「では、我々を……世界をよろしくお願いします」


 ゲルハルトさまが私たちに祈りを捧げます。


「リツカ様、アルレスィア様を、よろしくお願いします」


 オルテさんからお願いされます。


「はい。おまかせください」


 そう、応えますが……。


「あの、守護者の方はご同行されないのでしょうか?」


 オルテさんからお願いされはしましたけど、私一人に任せていいものでしょうか。


「襲撃のことも、あります。”神林”を守らねばなりません。アリスも了承済みです」


 もう、”結界”は安全ではないのですから。と、集落長のゲルハルトさまが答えてくれます。


「わかりました。アリスさんは、おまかせください。必ず、守ります」


 森も守らねばなりません、もう森は絶対に安全というわけでは、ないのです。何より森は、神さまの悪意への調整場。一番、狙われるはずですから……っ。


「……ご負担でしょうが、お守りください。私の、私たちの娘を……っ」


 ゲルハルトさまが、集落長ではなく、一人の父親として私にお願いをします。


「絶対に守ります」


 と、声に出して言います。私は、約束で自分を塗り固めていきます。でも一つだけ、心の中で否定します。負担ではないです。

 


 全員からの祈りを受け、入り口から外へ出ようとしました。その入り口に、神さまが背中を預けてました。


『頼んだよ、世界を』


 えっと……神さまは行かないのでしょうか。


『私が干渉できるのは、この”森”までさ。世界は見れるけど、ついてはいけない。アルレスィアの日記に加えて、ここに私がいることで、”結界”も少しは強化されるだろうしね』


 そう、なんですか……。私は少し不安になってしまいます。


『安心するといい、一人じゃないんだから』


 隣を見ると、アリスさんも顔を私に向けるところでした。


『二人なら何でも出来る。だろう?』


 と、神さまが、娘を見るかの如く――それこそ、まさに神さまの微笑みと言える。そんな慈愛の目で送り出してくれました。


「「はい、行ってまいります」」


 今日、二人で歩き出します。それがどれくらいの長さかは、分かりません。


 でも、終わるまで……魔王を倒すその時まで。そして、二人でこの集落へ笑顔で帰るために――――力強く、一歩を踏み出すのでした。




ようやく世界へ。


長い長い序章が終わった感じです。

ここからは戦いが多くなるかと思います。


がんばって描写力 あげていきます。

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