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六花立花巫女日記  作者: あんころもち
前日譚.日常を噛み締めるということ
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立花はおちる A,D, 2113/02/25



 今日も祝日で学校は休みです。だからという訳ではありませんが、私は今パトロールの真似事中です。


 久しぶりに私服を着ました。動きやすいようにジャージでもいいかなぁって思ってたんですけどね。父から服をプレゼントされているのを思い出して、なんとなく着てます。結構動きやすいですね。肩や脚は出てますが、このご時勢、これくらい普通ですから。


 通学路を重点的に回って、パトロールを終えます。そして”神の森”へいくのでした。結局の所、森へ行くついでの行動だった訳です。


 淡々と終わるのも無理はありませんよ。事件なんてそんなに頻発しません。ナンパも、撃退を重ねるうちに生徒に手を出す人がほとんどいなくなりました。


 人数問題さえクリア出来れば、手を出さずに撃退なんてわけないのです。この前は本当に久しぶりの出来事だったのですよ。そういえば、見たことない人たちでした。外から来たのかな。町自体が閉ざされている訳でも、男子禁制って訳でもありませんからね。


 ただ、これからも定期的に来るのかって思うと、面倒って思ってしまいます。


 部活の助っ人も、今日はありません。明日は確か、水泳部の練習相手がありますけれど、今日は本当の本当に暇なのです。


 この数日間ずっと、ずーっと。中途半端に終わってしまったお花見が頭を離れませんでした。だから、今度こそちゃんとしたお花見をしにいくのです。


 コンビニにてチョコの塗られたあのお菓子と、雰囲気でるかなーなんて甘酒とか買ったりしまして。アルコール飲料でもないのにちょっとドキドキ。街の平和を感じつつ森へ向かいます。


 湖に到着したとき、そこに人がいました。後姿だけですが、きっと綺麗な人だろうと確信できる雰囲気があります。


 ここは綺麗な場所ですし、静かで過ごしやすいので入ってみたい気持ちは分かります。だけど、立ち入り禁止区域です。


(どうやって入ったんだろう。スカートであの柵を越えたのかな。有刺鉄線とかあるんだけど)


 色々と疑問はありますけど、巫女としての初お役目を果たそうと声をかけようとしたとき、その人は湖に身を投げて――。


「―――!」


 考えるより先に体が動きました。助けようと手を伸ばすと、その人は逆に私の手をつかんで――――。



『やっと この時が来たよ。リツカ』



 頭に直接響くようなそんな声が、待ち侘びていたかのように歓喜に染まっています。


 その声の妙な懐かしさに、薄れいく意識の中で私は……心が満たされていく感覚に……落ち着きを覚えて、いたのでした……。


(私は、これを―――)


 意識が途切れ、私は……おちて行きました。



A,C, 27/02/25



 息苦しさに目を覚ましました。


(なんで、水の中で寝て……?)


 そう考え、そんな場合ではないと、私は浮上しました。


 咳き込み、大きく息を吸おうと顔を上げた時に、私は――息をするのも忘れてしまったのです。永遠と眺めていたのではと錯覚してしまう程、私は私を包む森の空気、気配、香り、暖かさ。それら全てに気づくことなくある一点を見つめ続けていました。


 私の人生。私の運命。私の……私の―――大切な人を。



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