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六花立花巫女日記  作者: あんころもち
1日目、私って森フェチなのです・・?
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転移1日目 記入日 A,C, 27/02/25

  


 空気が、澄んでいます。

 森の息吹をこんなにも感じるのです……。ここは、私がいた森とはまるで違います。


 どれも、新鮮です。頬をなでる風の柔らかさ。草花の匂い。触れる木のぬくもり。歩くたび表情を変えていく森に、私は”神の森”との違いを強く感じ・・・悲しさを覚えると同時に、この森に来れたことに喜びを感じてしまっていました。


 集落へ向かう道すがら、”巫女””神の森””神さま”についての話を聞きました。私は、生きなければいけません……。大好きなあの森を守るために。


 私は知ってしまいました、彼女の………コホン。私のも知られてしまっていたのですね。そういえば……。恥ずかしい……。


 私は、自分に自信をもつ必要がありました。でも急ぐ必要はありません。まだ時間はあるのですから。


 集落に到着しました。守護長という役職、彼女を守るために生きるという方たち。彼女の名前を呼んだ守護長の目には硬い決意がありました。きっと彼なら、彼女を守るために本当に命をかけるのでしょう。そんな彼を見て私は―――。


 お風呂に、入りました。温泉といっても遜色のない広い、お風呂に。彼女は……その、恥ずかしくなかったのでしょうか……。私はただただ困惑するばかりで……。やっぱり私は彼女の笑顔を見ると、落ち着くような落ち着かないような、そんな不思議な気持ちになるのでした。


 服を借りました。私の服はこの国では、浮くようでした。借りた服は、えっと……。彼女とお揃いでうれしかったというお話です。えぇ、”お揃い”です。


 彼女が狙われるかもしれない、そんな場所で私にできることは何なのか。できることなら力になりたい。私も彼女を……守りたいと、思ったのでした。でも、平和な国で育った私に何ができるというのでしょう……。


 集落の人々は、優しかったです。彼女が私は怪しいものではない、と説明してくれたお陰もあるでしょうが、私を、私自身を疑うような人は、いませんでした。集落の人たちと彼女は家族のようで、私も笑顔がこぼれます。そして思うのです、私にも家族がいて、今頃心配しているであろうと……。 


 集会前に、祈りが捧げられます。彼女の鈴の音のような綺麗な声で神さまへの祈りが捧げられます。私は思い出していました……あのとき、私におきたこと、そして、私の人生の第一分岐点を。


 私、この国にきて……彼女に恥ずかしいところしか見せてません。頼りなく見えていることでしょう……。もっとがんばらないと、と思うのでした。


 日記を手に入れました、彼女とおそろいの表紙です。彼女もしているとは。

 うれしい気持ちでいっぱいです。彼女は何か準備をしているようで、私は今、待っています。

 


 食事はまったく別のものでした。穀物・木の実を中心に、家畜たちから獲られた卵類や乳製品。聞けば祝い事などのときはお肉などもいただくようです。そして私の歓迎会だと言い、用意してくれました。どれも初めて食べる未知の食材でしたが、どれもおいしくてたくさん食べてしまいました。……彼女の手料理は格別においしかったです。




 敵が……やってきました……。二足歩行の……牛……?。命からがら撃退しましたが……。その時私は……? 私の身におきたことを……今は説明できません。明日、絶対話しますから、と彼女に言われたから……待つのです。これを知った時、私の日常は終わるのでしょう。でも、それでも……信じているのです―――。


 そんな私に……彼女は、私たちの英雄になって欲しいと言いました。

私は……望んでいたはずのその言葉に……。


 何もかも、わからないのです。でも私の心は穏やかです。そして私は静かに理解しました。


  ここは私のいた世界では、ないのだと……。



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