転移22日目 記入日 A,C, 27/03/17
神誕祭三日目、最終日です。
日課と稽古を終えギルド本部へ行くと、流石に弛緩した空気がありました。ライゼさんの一言で引き締まりましたが、最終日ですし、皆適当なところで楽しむ許可がおりました。私は充分楽しませてもらったので、代わりに頑張る事にしたのです。
昨日覚えた、広域感知。感知を”強化”することで範囲を広げるっていうものです。
すっごい疲れます……。これを使った後は戦うことが出来ないので、もっと訓練が必要ですね。
広域感知は、全力だと二時間で頭痛がおきました。彼女が休んだ方が良いと提案してくれたので、お言葉に甘える事に。
ゆっくり休みすぎて、業務が滞ってしまいました。祈りに来てくれた方たちにも、悪い事をしてしまいましたね……。
少しだけ、街を歩きました。商業通りと職人通りです。
私たちが離れている間、神さまが広場で祈りを受けてくれました。神さまに感謝です。
特別扱いはしないと言っていましたが、なんだかんだで特別扱いされている気がします。見聞き出来る私たちの存在が嬉しいと言っていましたから、つい、気にかけちゃうってことでしょうか。
人間のような神さまですが、その方が、私は良いと思ってしまいます。
ロミーさんのお店が大繁盛していました。どうやら昨日私たちが笑顔で受け取ったあるすくーらの花をお求めになる方が多かったようです。
まさか、”巫女”特需とは思いませんでした。国王陛下、女王陛下特需って思ってたのに。
少しだけお手伝いしましたが、あれでよかったのでしょうか。
美術館近くまでいけたのに、入れないとは。
明日、ちらっと見てみたいですね。
職人通りでデリアさんと会えました。指輪の進捗を聞くと、予定通り進んでいるようです。楽しみですね。
広場に戻ると、もうゴミ拾いの時間でした。
もう神誕祭が終わると思うと、少し寂しいです。でも、帰るまでが神誕祭です。ゴミ拾いも頑張ってみました。
でも、一つも落ちていないのです。アクセサリー欲しいのに!
皆頑張って拾ってくれました。喜ばしいですし、皆の優しさは嬉しいです。ですが、欲しいのです。アクセサリー。
最終手段として、裏通りにいきましたが、ありません。
北区、北東にいってみました。
そこで、わんちゃんと男の子が居ました。
どうやら、地下闘技場から逃げ出したわんちゃんのようです。
男の子が隠して飼っていましたが、マリスタザリアのことを考えると、それは危険なのです。
アンネさんのご好意でわんちゃん問題は解決しましたが、満足にペットを飼えない世界に、少しだけ悲しみを覚えます。
ずっと一緒に、居たいですよね。
結局ゴミは、拾えませんでした。
エリスさんとゲルハルトさんのお陰で、アクセサリーはもらえましたけど。
彼女へのプレゼントは、自分の力で手に入れたかったです……。
彼女が、私には太陽が似合うから、と太陽のイヤリングを選んでくれました。だから私は、彼女に月を渡すのです。常に月を照らし続ける存在でありたいから。
本当は、逆だって思うのです。
私を照らしてくれているのは、彼女だから。
舞踏会は、楽しかったですね。
彼女のドレス、綺麗でした。 赤のハイ&ロー。赤、が好きと言っていました。
赤が、好き……。
食事を楽しみ、ダンスが始まりました。コルメンスさんとエルさんのダンスから始まり、次々と踊っていきます。
エリスさんとエルさんによって、私たちも踊る事に。
彼女は踊れないって、エリスさんは知っているはずなのですけど。
ドレスを着替え、踊りました。
私が教える暇も与えられず、すぐに。
でも、彼女は私の考えている事が分かっているかのように、ステップも、ターンも、体運びも全部完璧でした。
最高のダンスだったと、思っています。
映像があれば、みたいですね。彼女の踊っている姿を、客観的に。
映像がいいです。彼女が他の人と踊っているのを想像すると、胸の奥が痛むのです。
またいつか、踊りたいですね。
今度は二人だけで、静かに、ゆったりと。
お酒を、飲んでしまいました。
ライゼさんが間違えたそうです。
記憶が、飛ぶほど、お酒に弱かったのです。
でも、少しだけ、覚えていました。
痛む胸と、彼女の悲痛な表情。
何があったのかは、分かりません。
でも、きっと。私の秘密がもれてしまったのでしょう。
彼女は、待ってくれるそうです。私から、話すのを。
全部は、バレていません、多分。
いつか、向き合わないといけないと、ずっと思っていました。でも、そんなに長く待たせてはいけないと、考え直すのです。
宿に帰り、少しだけ、二人のドレスパーティをしました。
お互い着たドレスを、交換して着るのです。
私が、赤のハイ&ロー、彼女が白のミニドレス。
彼女のミニは、誰にも見せられません。
目が釘付けになって、ピクリとも動けなくなったのです。彼女のあの姿は、私だけの秘密です。
天使、まさにそう形容するしかない存在が、部屋に舞い降りたのです。
またいつか、二人だけの時に、あの姿を見たいです。
本当に、楽しい三日間でした。
事件はいくつかありましたけど、大事には至りませんでした。
一抹の不安はあるものの、今は、神誕祭の成功を、喜びます。
明日からまた、通常業務。
魔王探索、どうにかしないといけません。
焦る気持ちはありますが、彼女と共に、平和な世界を歩きたい。約束した事を全部やりたい。
その想いだけで、突き進めるのです。




